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琉装

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第三章

 沖縄を満喫した、観光もしてそして遂にだった。
 その運命のバレンタインデーになった、しかし日中は。
 男女共にそんな日は最初からない様に楽しんでいた、それは光も同じで。
 那覇市の土産もの市場を大助と共に見回りつつだった。
 そしてだ、こう言ったのだった。
「今日だったよな」
「ああ、十四日だからな」 
 大助も今日のことをわかっていて答える。
「皆忘れてないよな」
「忘れるかよ」
 それこそと言う光だった。
「普通にな」
「そうだよな、皆」
「けれどな」
「沖縄での修学旅行だからな」
 一言だった、今は。
「だからな」
「どうしてもだよな」
「ああ、今はな」
 それこそというのだ。
「皆わかっていて修学旅行の方を楽しんでるんだよ」
「俺達はあえて言わずに」
「女の子もな」 
 やはりあえて言わずに、というのだ。
「修学旅行を楽しんでるんだよ」
「そういうことか」
「そうだろうな、まあ本当に今回貰えることはな」
 それこそというのだ、大助に。
「期待しないでおこうな」
「修学旅行で充分か」
「人間欲を張り過ぎてもな」
「いいことはないぜ」
 それで、というのだ。
「だから今回はな」
「チョコレートは諦めてか」
「沖縄のアイス食ったし」
 こちらの課題はクリアーした、そしてというのだ。
「後はちんすこうだな」
「それもか」
「ああ、食おうな」
「そういえばちんすこうまだ食ってないな」
 ここでだ、大助もそのことに気付いた。
「それじゃあそっちも食うか」
「そうしような」
「じゃあここで買ってか」
「食うか」
「ついでだしな、ただな」 
 こうも言った光だった。
「ステーキも食いたいけれどな」
「沖縄だからか」
「ああ、ここステーキ休んだよな」
「そうらしいな」
 沖縄の名物の一つだ、これも。
「何かでかくて安いステーキがな」
「食えるらしいからな」
「それじゃあ食うか?ステーキ」
「そうしようか?それかタコライスな」
 光は大好きにこの料理の名前も出した。
「どっちか食うか」
「安い方にするか?いや」
「いや?」
「多分だけれどな」
 大助はその目を光らせて光にこう言った。
「ステーキはホテルで出るぜ」
「晩飯の時には」
「こうした旅行の時は大抵その土地の名物が出るだろ」
「ああ、特に晩はな」
「これまでもそうだったろ」
 ホテルの食事は、というのだ。 
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