八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十七話 不思議な先輩その八
「あるんですね」
「そのいい因縁のせいで助かる」
「ううん、そうですか」
「そう、大変な目に遭っても」
「ならいいですけれど」
「大家さんは悪運が強い」
トータル的に見てだ、僕はそうだというのだ。
「そして何時かは」
「何時かは?」
「因縁を終わらせられる」
「親父の頃からの悪因縁を、ですね」
「そう、何時かと言ったけれど」
今度は期間の話だった。
「近いうちにそれが出来る」
「親父からの因縁を断てるんですね」
「お父さんの因縁は前世での因縁」
あの親父は前世で何をやらかしたのかと思った、けれど考えてみると何をやらかしたのか大体想像がついた。
「それを持って生まれてきて」
「僕がその親父の息子に生まれて」
「その因縁を受け継いでるけれど」
「その因縁を断てるんですか」
「それが出来る」
「じゃあ女難もですね」
これは間違いないと思った、悪因縁だ。そうとしか思えなかった。
「終わるんですね」
「因縁を断てば」
「わかりました」
僕はここで元気な言葉を出せた、気が上向いたからだ。
「それじゃあ頑張ってみます」
「頑張ること、それが大事」
一言で抑揚のない言葉だけれど僕にはエリザ先輩のその気持ちが伝わった。そしてそのうえでだった。僕は畑中さんに言われた。
「それでは」
「あっ、もう」
「はい、時間です」
それで、というのだ。
「そろそろです」
「学校に行く時間ですね」
「既にバスは用意しています」
通学に使っているマイクロバスのそれが、というのだ。
「それでは」
「はい、それに乗って」
「お行き下さい」
「わかりました、それじゃあ今から」
「皆様も」
畑中さんは女の子達にも声をかけた。
「どうぞお乗り下さい」
「はい、それじゃあ」
「今から」
「私も?」
皆が応える中でエリザさんが畑中さんに尋ねた。
「乗っていいの」
「はい、どうぞ」
畑中さんはエリザさんにも親切に答えた。
「お乗り下さい」
「わかったわ、それじゃあ」
「皆様本日も頑張って下さい」
畑中さんはここでも紳士だった、執事さんはあまり見てきていないけれど畑中さん程紳士的な執事さんはそうはいないと思う。
「文武共にお励み下さい」
「文武ですか」
「はい、そうです」
千歳さんにもすぐに答える。
「文は学業、武は部活とお考え下さい」
「じゃあ私もですか」
「千歳様は演劇部でしたね」
「はその演劇もですか」
「武になります」
畑中さんの考えの中ではというのだ。
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