『自分:第1章』
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
『金』
翔平は、零那が離婚してから更に独占欲が強くなった。
確かに、大事な想いとかは在った。
『愛』かと問われたら...正直、解らん。
愛の定義すら解ってないから。
独占欲や嫉妬心は『愛』されてるからこそ。
って言う人が居た。
でも、其れが本当の愛なら面倒極まりない。
窮屈やから要らんって思った。
重苦しい。
それを言ったら、それは愛を受けてないからそう感じてしまうだけ。
愛されることに慣れたら嫉妬される喜びを知ると言われた。
いや、だったら...ほんまに心から要らんと想った...
『冷酷』そう言われることは多かった。
ほんまにそぉなんやろなって改めて自覚した。
どうせ異常者で、異端児で、欠陥品で、どうしようも無い、人間の形をした悪魔みたいなもんやから。
最初から、まともな愛なんか受ける資格は無いんよ。
そんな運命は無いんよ。
だから、翔平とも、すぐ終わる。
心配してくれるのは有り難い。
でも、泣きつかれるのは迷惑。
しょっちゅう仕事休まれたら生活能力無くなるやん。
デリしょった時も、辞めてくれ辞めてくれ言う割に、何処行っても金出すのは零那だった。
当時は零那も馬鹿だったから、金は在れば出してた。
金で揉めたくないやん?
食費や交通費から、ブランド物の財布とキーケース、時計にアクセサリー、服も...
でも、別に嫌ではなかった。
『金を使ってやってるのに』って概念すらなかった。
風俗に来る態度の悪い新規客が良く言ってたから。
『金出してるのに』
『金使ってやってるんやから有り難く思え』
その度に『使ってやってる』とか上から目線で偉そうにヌかすなら、わざわざ使ってくれんでええけん来るな!!って内心キレてた。
使ってるのは自分。
頼んでない。
わざわざ金を使って呼んでるのは客。
それで偉そうに『使ってやってる』は筋が通らん。
自己判断で金使ってるくせに、それで偉そうにするのは納得いかんくて...。
だから、零那は、金は使ったり渡した時点で終わり。
文句も言わんし偉そうにもせん。
てか、当たり前やと思うけど。
金さえあれば楽しい時間も手に入る。
皆呼んでワイワイ楽しく飲んで騒いで出来る。
辛いときに病院にも行ける。
誰かに何かあったとき、タクシーで駆けつけることも出来る。
何より、娘との生活を守れる。
金だけは決して裏切らん。
でも、人間には裏切り行為が付き物やから。
翔平は零那の何に嫉妬してるんやろ。
束縛の理由は?
金目的だったとか?
零那が他に男つくったら金使ってくれんくなるとか?
そっちだったりするんかな?
だったら相当笑える。
友達に、翔平のこと話したら『うざっ!仕事は行けよ!』だった...
思わず笑ってしまった。
『金目的なら、そんなコトで泣かん。愛されとんよ!』
別に嬉しくないって想った自分が怖かった。
たぶん、ほんまに愛するってことを経験してないと思う。
強いて言うなら、元旦那と付き合う前(片想い中)が1番『愛』を実感できてたかも。
翔平は、たぶん零那に依存してる。
執着してるだけ。
別に愛があるわけじゃ無いと思う。
なんとなく、そう感じた。
それくらい、零那が普段から何かと金出してたから。
だから、零那のことが好きで一緒に居るわけじゃ無く、お金が無かったら困るからやろな...って。
金は人格を変える生き物だからねー...。
男の立場になって冷静に考えると、何でも金出してくれて買ってくれて、ヤレる女とか都合良いし?
零那の感覚ではズルズル一緒に居る感じ。
翔平は、好きとか愛してるとか大事とか言うけど...なんてゆうか、それが嫌になってきた。
特別好きじゃ無い罪悪感?
翔平の実家に住まして貰ってる身。
別れるほどの何かがあるわけじゃ無い。
ページ上へ戻る