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D.C.Ⅲ〜ダカーポⅢ〜 己の守る物の為に

作者:政之
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第一章 桜の秘密
  第1話 『サクラフタタビ』

 
前書き
高秀「随分と筆が進んでいるようだな」
ーいやあ、なっはははは。思いついたら即書き込むが信条なんで。
ジル「それって行き当たりばったりって言わないかな?」
ーそうとも言いますね。で・す・が!こういうのは構想を練って、進める範囲を定めれたら進むんですよ。
高秀「そういうものか?」
ーそうですとも!では本編に行きましょうか。 

 
俺たちの目の前には大きな桜の木があった。今いるのは部室ではなく、桜公園の奥にある“元”枯れない桜の木と言うべきかもしれないさくらが群生するこの初音島で最も多く群生し、その中心となっている大木だ。樹齢は分からないがざっと100年は経っているだろう。ーその気を囲むように立っていた。



話は数十分程前に遡る。
俺たちに注意をした後、立夏は席に座った。
「んじゃあ改めて、公式新聞部卒パ号の編集会議を始めるわよ」
立夏は仕切り直しのために笑顔でそういうのだった。



「じゃあまず、手元にある資料を見てちょうだい」
そう言われて素直に事前に配られていたA4サイズの資料には公式新聞部卒パ号資料とワードでパソコン打ちされた資料の表紙を捲るとそこにはテーマは『魔法』と書かれていた。
「今回のテーマは『魔法』にしたいと思います!」
全員が読み終わったのを確認した後立夏は胸を張ってそう言った。
それを聞いて俺とジル以外の部員の顔が微妙そうな表情になる。
「皆、どうしたの?」
そんな皆の態度に立夏は不思議そうに周りを見る。無論、俺やジルには特にそんな視線は寄越さなかったが。
「はい、立夏さん」
そんな沈黙のをいち早く破ったのは清隆だった。
「何?」
「『魔法』がテーマって一体どんな紙面を作るんですか?」
至極最もな意見だろう。確かに学校新聞なんかに『魔法』なんファンタジーな物が出て来たら、全員が驚くだろう、というか驚く。
「そんなの決まってるじゃない。遠い過去、この世界の何処かにあった魔法学校を特集するのよ!」
立夏のその言葉が出た瞬間清隆達の立夏への視線が変わった、まるでイタイ子を見る目のようになった。
「巨大地下世界に広がる学園都市……そこには世界中から魔法使い達が集まってくるの」
「さらにそこには地表から続く魔法で動くエスカレーターがあって、島になっており、その島それぞれに施設が建てられてるって言いたいんだよね。立夏が言いたいの?」
立夏がそんな視線も気にせず語ると、そこにジルが付け足すように言う。
「そうよ。さっすがジル!」
「そのうえ立夏はそこの学園長と古くから友人であり、同志でもあっったってことだろ?」
ジルに立夏がウィンクすると高秀がも一つ付け足す。
「ええその通りよ高秀。流石は『氷刃のデストラクター』!」
俺の二つ名を呼ぶ。
その二つ名はかつて、俺が前世の頃の記憶で初めてリッカ達に会う前に付けられた贈り名だ。
魔女狩りで関係のない人を片っ端から殺していくのが我慢できなくて、殲滅した。
その後もそんなことを繰り返すうちにそんな風に呼ばれるようになっていた。
「えっと……話を戻しますけど、立夏さんと高秀さんそれにジルさんはそこの生徒さんだったんですよね?」
「そうよ。私は『孤高のカトレア』とか呼ばれちゃってて、高秀とジルにはそれぞれ『氷刃のデストラクター』『祝福のアロマーゼ』なんて呼ばれちゃって!3人共カテゴリー5の魔法使いだったの」
立夏がうっとりした感じに呟く。その目は過去を振り返っている目だった。
そういやそんな二つ名あったな?ジルは主に治癒系の魔法を得意としてたもんな
「それって凄いんですか?」
「当然。なんせカテゴリー5は世界に5人しか居ないんだから。まあ、教会でそれらのカテゴリーは決められるから、そのカテゴリーが魔法使いの能力の絶対値を表す訳じゃないんだけどね」
葵の疑問に立夏は自慢げに答えながらも、その凄さについての説明を加える。
「へえ〜、意外と詳細な設定なんですね」
「設定言うな。本当なんだから!世界中を旅しながら大活躍してたんだから………」
立夏はさらの設定発言を取り消すように、立ち上がって強く迫る。その勢いに気圧されてさらはタジタジになった。
「お〜い立夏。帰ってこ〜い、現実の世界に帰ってこ〜い」
「私はいつでも現実の世界に生きています‼︎もうっ、どうして伝わらないかな?」
シャルルが呆れたようにそう言うと立夏ははっきりとそう言い、愚痴りながら席に座る。
「どうしてって言われても………」
「何よ、清隆までそういう反応するの?じゃあ前世から続く私との運命の赤い糸も信じてないっていうの?」
清隆の反応に立夏が不機嫌な顔で言葉を紡ぐと俺ら以外の部員が冷たい目で清隆を見つめる。
「えっと、俺が運命の赤い糸を信じる信じないは置いといて」
実際は本当なんだがな、清隆と立夏には孫がいるし。確か、さくらだったかな?
「あー⁉︎清隆誤魔化した」
「えっと何で魔法なんですか?」
おっ?本気で話の流れ変えたな。
「ふ〜んだ」
おいおい、拗ねんなよ。拗ねなくても、俺らは信じてるから。さて、そろそろこの脱線を立て直さなきゃいけないな。
「皆もその辺にしとけ、俺達は編集会議中だろ」
全員はその言葉に頷くと会議に戻った。
「まあ、高秀たちが信じてくれてるから良いけどね。理由は………非公式新聞部に勝つためよ!」
非公式新聞部、その名前は前世でも忘れることはなかった。彼らは活動場所も活動内容も部員の数さえも不明だということとその彼らを率いているのが杉並だということだけだ。
立夏は表情を厳しくしてバンと音をたてて立ち上がりながら理由を言った。まあ前世でも今世でも杉並と立夏は犬猿の仲だからな。
杉並とは下の名を始めとするすべての個人情報が謎な学園一の問題児だとだけ言っておく。
「非常に遺憾ではありますが、現状私達公式新聞部よりもアイツら非公式新聞部の方が、知名度、発行部数ともに勝っているのは皆さんもご周知はずです」
そうなのだ。彼らー非公式新聞部はどうやって情報網を持っているのか謎すぎて怖いが、テストの解答を貼ったりするなどといった行動をするため生徒会及び風紀委員会では彼らは見つけ次第確保し連行するために、そして杉並を捕縛することに全力を挙げている。何せ学園のイベントがある度にハチャメチャなことをしている。奴本人は、イベントを盛大に盛り上げようと努力させてもらっているだけだと言うが、余計なお世話極まりない。
「それは事実だけど」
「新聞部部長としては、いつまでもこの状況に、甘んじているわけにはいかないのよ!」
そう言って机をガンと叩いた。
「でもそれって杉並くんに対する立夏の個人的な怨み、私怨だよね〜?」
「はい、私怨ですね」
「私怨だと思います」
「ですよね〜」
シャルルを筆頭に姫乃とさら、それに葵ちゃんが私怨だと言う。
「そこ!うるさい」
立夏がヒソヒソする4人に怒鳴りつける。
「そうだよ。非公式新聞部は生徒会でも対立してるから私怨じゃないよ。ね、高秀?」
「ああ、俺もそう思う。生徒会だとしても公式新聞部部長だとしても、2つの違う立場だがどちらにしても杉並とは対立を回避できないからな。そんな言葉が出てしまうのも当然だと俺は思っている」
俺としては杉並には大人しくしてもらって、楽しい思い出を作りたいんだがな。まあ叶わないだろうな。
「ありがと2人共。話を戻すけど、私たちは新聞部として劣っています。なので次の学校新聞でどっちの新聞がより学校新聞として優れているか、見せ付ける必要があるのです」
「だったらもっと正攻法な記事にしたほうが良くないですか?一応学校新聞な訳ですし」
確かにその方が人々への印象もいいだろうな。それにホワイトデーでもあるから売れると思う。
「例えば?」
立夏は清隆へと視線を向ける。
「発行予定日は卒業式の前日ですよね高秀さん?」
「ああそうだな。なるほど卒業特集ってわけか」
清隆の質問されその意図を理解し、どういった記事を書くのかを言うと清隆は頷く。
「いいね、それ。今までの学園生活を振り返ると同時に卒パのオススメクラスを紹介して特集するとか」
シャルルは胸の前で手を合わせながら意見する。
「だったらそこに入れるのはオススメクラスとクラブの出し物とかも入れると来場者もごった返さないと思うよ」
「そうですね。それに前日がホワイトデーなので恋愛の特集とかすると女子が盛り上がると思います」
シャルルに続きジルやさらも特集のお題を上げていく。
「そうですね、女の子は恋愛ごとには弱いですからね。特にホワイトデーには女の子がバレンタインの時のお返しのことでそわそわすると思いますし」
そこに姫乃が賛同する。
「それだったら私ホワイトデー売れ筋商品ランキングとか作れちゃうかもです」
葵が自信満々に言えるのはひとえにバイトを掛け持ちしまくってるからだ。
「いい感じだね。後卒業生と在校生の代表から一言ずつコメント貰えば完成だね」
「いい感じですね」
「いいと思います」
三人から高評価を得たのが嬉しいのかえへへと葵に瞳を閉じて笑う。そしてウンウンと頷く立夏がいた。
「そうねそれならばバランスも良くないと思います。素敵なアイディアだと認めるわ。しっか〜し!ありきたり過ぎる!、それじゃ杉並には勝てないわ」
そう言いながら指をビシッとする。
「よってその案は予備案とします」
「やっぱり私怨だよね」
「はい、私怨ですね」
「私怨だと思います」
「お子様ですから」
「だからそこ煩い!いいの私怨でも、今回ばかりは杉並の鼻を明かしてやるんだから!!」
4人がまたもヒソヒソすると立夏がまた怒った後に私怨だと断言する。
「ならテーマは魔法として、題材にするのは枯れない桜か?なら色々調べる宛はあるな」
「そうだね。高秀の家なら蔵書とかあるかもね。それに枯れない桜の木のある場所に直接行ってみるのもいいと思うよ」
俺達はどんどん話を進めて行きながら予定を立てて行くのを立夏達は呆然と見ていた。
「うん?どうした皆固まって」
俺は皆に問いかける。
「高秀、アンタの家ってそんなのあるわけ?」
どうやら立夏はそこに疑問を持ったらしい。
「まあな、俺の5代の祖がちょうどこの初音島に枯れない桜が咲いた頃に生きてて、調べてたからな。その辺の文献は多数あるぞ」
俺は少し嘘をついて説明する。本当は俺の前世が立夏達が桜を植えた頃から色々なことを聞かせてもらっているのでそれを本に残しただけだ。
「高秀それ今度持ってきて、もしくは重要な部分写真にして持ってきて頂戴」
「任せろ」
立夏の頼みを快く引き受ける。
「それで今から枯れない桜の木の場所に行くんですか?」
「そうね、思いついたら吉日って言うわ。これから行きましょ」
そうして俺達は部室を閉めて枯れない桜の木の元に向かった。
こうして冒頭の文に戻る訳だ。
「ねえ、どうせだから試してみない?」
「立夏試すって姫乃が言ってた枯れない桜の噂話のこと?」
ジルが尋ねると立夏は大きく頷いた。
「皆、桜の幹に手をついて目を閉じてお願い事をしてみて。どうせ叶わない、魔法なんてありえないなんて思わないで、心から………叶いますようにって」
立夏の指示に従い全員が目を閉じて意識を集中させる。




不意に桜の匂いを感じ目を開けてみる。するとそこにはありえない情景があった。
「桜が咲いている………」
俺の言葉に全員が目を開けてその景色に息を飲む。
「これは一体…………」
「分からないが、言えることは一つだ」
清隆の疑問に答えながらも俺はやるべきことを見出した。
「俺達はこの謎に全力で当たらなければならないということだ」
 
 

 
後書き
遅くなりました。ハーメルンで作品書いたり、pixivで作品書いたりで慌ただしくほとんど手付かずでした。
次回もゆっくりですが挙げようと思います。 
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