八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十五話 テキーラの国からその四
「それは断固としてです」
「守られるんですか」
「そうです、しかし」
「しかしですか」
「私が執事でなくなれば」
他の人もだ、メイドやシェフ、運転手でなければだ。その時はというと。畑中さんは僕にこう話してくれた。
「また違います」
「それじゃあその時は」
「さん付けでも宜しいでしょうか」
「お願いします」
プライベートの時とはとだ、僕は畑中さんに答えてくれた。
「その時は」
「わかりました」
「はい、ただ」
「ただとは」
「それは何時でしょうか」
僕は首を傾げさせて尋ねた。
「一体」
「プライベートの時ですね、私達の」
「はい、畑中さん達いつも働いておられませんか?」
僕はこのことを尋ねた。
「朝から晩まで」
「いえ、そうでもありません」
「本当ですか?」
「私にも家がありますし」
それにだった。
「後はです」
「この八条荘にもですよね」
「部屋を用意してもらっています」
「そうですよね、ですから」
「プライベートはです」
その時はというと。
「お部屋の中、お風呂の中です」
「そうした時はですか」
「私達はプライベートです」
そうなるというのだ。
「お仕えしている者は」
「そうなっているんですね」
「左様です」
「何かお仕事も」
僕は畑中さんの言葉を聞いてあらためて考えてだ、そのうえで言った。
「大変ですね」
「いえ、守らなくてはならないことを守ることがです」
「それがですか」
「仕事なので」
「じゃあ僕もですね」
「左様です、義和様は学生ですね」
「はい、今は」
「学生の方のお仕事はです」
それはというと。
「学業です」
「それですよね、やっぱり」
「そちらにお励み下さい」
「それが僕の仕事ですね」
「そして学業の他にも」
それ以外にもというのだ。
「部活に。遊びに」
「遊ぶこともですか」
「そうです、学生のお仕事とは人生を学ぶことです」
「若いからですか」
「そうです、人生を学んで生きる」
それこそ、というのだ。
「まさにそれが学生なのです」
「学生ってそういう意味なんですね」
「私はそう考えています」
「人生を学んで生きること、ですか」
「そうです、人生を学ばれて下さい」
「わかりました、僕の仕事に励みます」
「もっとも義和様は相当にお仕事に励んでおられますね」
人生を学ぶこと、そのことをというのだ。
「非常に」
「そうですか」
「はい、とても」
そうだというのだ。
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