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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十五話 テキーラの国からその三

「お年寄りっていうのだけではなく」
「オーラですね」
「そうです、それです」
 言われてみればだった、まさに。
「それが凄くて」
「ご当主様は八条グループの総帥であられます」
 その世界的な企業グループのだ。
「携わっておられることも膨大で」
「それで、なんですね」
「あそこまでの気も備えられているのです」
「伊達に世界的グループの総帥じゃないってことですね」
「その規模はロックフェラーやロスチャイルドに匹敵します」
 実際に日本のロックフェラーとも言われている、八条家は。
「ですから」
「その総責任者だから」
「気も大きいのです」
「何か僕だと」
 一介の高校生だとだ、それこそ。
「とても」
「そうですね、それは仕方ないです」
「左様ですね、しかし」
「それでもですか」
「若し義和様がさん付けで呼んで頂きたいのなら」
 この話をするのだった。
「その時はです」
「ご当主さんにもですか」
「許可を頂かないといけません」
「厳しいですね」
「そしてそのことをご当主様にお話されるのは」
「僕自身が、ですね」
 僕はご当主さんのお顔を思い出しつつ言った。
「言わないといけないですね」
「そうなります」
「会えますかね」
 忙しい人だ、何度も言うけれど世界的企業グループの総帥であるだけに。
「そもそも」
「それは」
「かなり難しいですよね」
「アポなしでは」
 とても、とだ。畑中さんも言ってくれた。
「そう簡単にはお会い出来ないかと」
「一族の人間でもですね」
「そうです、ですから」
 それで、というのだ。
「アポを取られて」
「そして、ですよね」
「そこから義和様ご自身がです」
「ご当主さんにお話されて」
「許可を得ないとですか」
「私達はとても」
 僕をさん付けで呼べないというのだ。
「仕事なので」
「何か仕事ってことでそこまでしないといけないんですね」
「はい、仕事は何かといいますと」
 畑中さんは僕にあらためて言った。
「ただ糧を得るだけのものではありません」
「他にもありますか」
「矜持でもあります」
「矜持、ですか」
「人間としての」
 それになるというのだ。
「私なら執事、そして」
「他の人もですね」
 小柳さんも小野さんもだ、勿論小柳さんのお父さんの運転手さんもだ。
「そのことは」
「そうです、それぞれの仕事の矜持があります」
「だからですか」
「お仕えしている者として」
「さん付けはならないのですか」
「働いている間は」
 執事としてだ、働いている時はというのだ。 
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