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オズのムシノスケ

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第十一幕その十

「どうにも」
「ふむ、筋肉質なんだね」
「筋肉が多いからですか」
「そうなると水に浮きにくいんだよ」
「そうだったんですか」
「筋肉は重いからね」
 そのせいでというのです。
「水に浮かないんだよ」
「じゃあ筋肉質の人は」
「水に浮きにくいから」
 それで、というのです。
「そうなるんだよ」
「そうだったんですか」
「君は陸上競技やバスケもするね」
「はい」
「それにサッカーも」
「色々します」
「その中で脂肪がかなり少なくなっているんだ」
 教授はカルロスのこのことを指摘しました。
「それで水に浮きにくいんだよ」
「そうだったんですか」
「そうだよ、ただね」
「ただ?」
「脂肪も増やせるから」
 だからだというのです。
「そんなに落ち込むことはないよ」
「そうなんですか」
「そう、身体を動かしながらですね」
「太ることはですか」
「いやいや、太るんじゃなくてね」
 そうでなく、というのです。
「脂肪を付けるんだよ」
「筋肉と一緒に」
「実は筋肉だけでも駄目なんだよ」
「あっ、そうなんですね」
「そう、筋肉だけだとね」
 どうしてもというのです。
「これがよくないんだよ」
「お水にも浮かなくて」
「それにね」
 それに加えて、というのです。
「案外寒いからね」
「脂肪がないと」
「そうだよ、だからね」
「筋肉だけじゃなくて」
「脂肪もないと駄目なんだよ」
「そうなんですか」
「だからいいね」
「はい、脂肪も」
 それもとです、カルロスは教授に頷いて答えました。
「つけていきます」
「そういうことでね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 教授と一緒にプールにも行きました、この大学のプールは室内プールです。その室内プールに入るとでした。
 ボタン=ブライトがいました、ですがここでも彼は寝ていました。カルロスはそのプールの箸の安楽椅子の上に寝ている彼を見てです。
 そうしてです、こう言うのでした。
「ここで寝ていて」
「ははは、彼らしいね」
「そうですよね、本当によく寝ますね」
「寝る子は育つっていうけれどね」
「この子はいつもですよね」
「とにかく寝ているよ」
 今朝までそうだったみたいにです。
「こうしてね」
「ですよね、けれど」
「けれど?」
「ここはプールなので」
 それで、というのです。
「結構湿気があって暑くて」
「寝るにはね」
「あまり向いてないと思いますけれど」
「それでもね」
 こう言うのでした、教授は。 
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