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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十四話 今度はメイドさん、本当に色々な人が来るその六

「あの国はね」
「それはまた面白いわね」
「しかもね」
「しかも?」
「フィリピンって陽気だから」
 ダエさんはフィリピン人の国民性についても話した。
「一緒にいて楽しいわよ」
「そうそう、あそこの人達って明るくてね」
「愛嬌があるのよね」
 同じ東南アジアの国、ダエさんもそうだがその国々の出身であるラブポーンさんとイタワットさんも話す。
「だから付き合いやすくてね」
「一緒にいると楽しいのよ」
「少なくともですわね」
 円香さんはダエさん達の話を聞いて言った。
「悪い人達ではないのですわね」
「悪人もそりゃいるわよ」
 ダエさんは円香さんにこのことは断った。
「けれどね」
「いい人はいい人で」
「そのいい人達に愛嬌があるのよ」
 そういうことだというのだ。
「だから一緒にいて悪い気持ちはしないわ」
「わかりましたわ」
「まあ八条荘もね」 
 このアパートの住人自体もというのだ。
「悪い人いないけれどね」
「そうね、確かに」
 千歳さんは同じ学年なのでダエさんにはタメ口だった。
「皆いい人よね」
「まあダエはともかくね」
「ダエだっていい娘よ」
「本当に?」
「私嫌な人とは付き合わないから」
 これが千歳さんの主義らしい、話を聞いて僕が思ったことだ。
「だからね」
「それでダエはっていうの」
「そう、性格悪くないわよ」
 特に、というのだ。
「別にね」
「だったらいいけれどね」
「とにかくね」
 また言う千歳さんだった。
「ダエはいい娘でね、フィリピンのメイドさんも」
「おおむね明るくていい人よ」
「それはいいことね」
「ホー=チ=ミンにもメイド喫茶があって」
 ベトナムにもあるらしい、メイド文化は世界に花開いているらしい。
「そこがまた面白い、可愛い娘揃いなのよ」
「それでダエもフィリピン人のメイドさん知ってるのね」
「そういうことよ、ただね」
「ただ?」
「日本のメイドさんとイギリスのメイドさんは違うから」
 ダエさんはこのこともは強く断った。
「イギリスの場合は貴族に仕えてるから」
「ああ、そこはね」
「日本だと殆どお店でしょ」
「メイド喫茶ね」
「あくまでそっちのメイドさんだから」
 貴族の屋敷に住み込みで働いている、そうした存在ではないというのだ。
「同じお仕事でも違うのよ」
「メイド喫茶のメイドさんと本物のメイドさんは」
「そう、あとね」
「あと?」
「昔はどうか知らないけれど」
 この前置きからだ、ダエさんは真剣な眼差しになって言った。
「メイドさんに手を出したら大変よ」
「あっ、よくあるお話ね」
「今やったらセクハラで訴えられるわよ」
「ベトナムでもそうよね」
「我が国で?そんなことしたらその場で包丁が出るわよ」
「また物騒ね、ひっぱたかれるどころじゃないのね」
「そう、刺されるから」
 ダエさんの言葉は本気のものだった、僕も話を聞いてわかった。特に語るダエさんのその目を見てだ。本当によくわかった。 
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