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流星のロックマン STARDUST BEGINS

作者:Arcadia
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憎悪との対峙
  36 燃え盛る光炎

 
前書き
え〜かなり更新遅くなりました、すいません。
検定と試験、レポート、小論文の日々でようやく休みといえる休みになったのでようやく更新できます。

今回は前回、ハートレスと合流してメリーにワクチンを打ち込んで事なきを得たかに見えたにも関わらず、まさかの追手が待っていました。
それに対してノー免許、バイクに初めて触って数時間というスターダストがバイクチェイスに挑むというのがざっくりとした内容です。

かなり更新が遅れたので、もしかしたら今回までの流れを覚えていないっていう人は本当にすみませんm(__)m 

 
「おい!いやがった!!」
「あぁ!!ぶっ潰してやる!!」

スターダストとジャミンカーは高速道路で向かい合う状態で接近していた。
するとスターダストはジャミンカーの考えていることを感じ取り、とっさにシフトダウン、ブレーキを弱めに掛けて速度を落とし、ハンドルを左に切った。
それだけでも車体は地面スレスレで状態でドリフトのように道路に強烈なタイヤ痕を残す。
そしてその予感は的中し、ジャミンカーたちは一斉に左手にマシンガンを構えると、一斉に乱射した。

「キャァ!!」
「危ない!!!」

料金所や広場の付近にいた人々を銃弾の雨が襲う。
しかし幸い、全弾が外れ、スカイタウンのエレベーターに僅かな跡が残る程度だった。
スターダストはそのまま左手の分岐、先程のシーサイドタウンとは逆方向の道路へと入り、シフトアップして、アクセルを開く。
そこには『グリーンタウン 21km』と書かれた青に白い字で書かれた標識が設置されていた。

「クッソ!!あの距離で外れるとか、嘘だろ!!」
「あの機動力、どう考えたって普通の大型じゃねぇ!!」

ジャミンカーたちは全員が料金所手前の分岐スペースでブレーキを掛けると、ハンドルで切ってターンする。
それでこそ紛争地帯や災害によって道が封じられた被災地の道無き道で鍛えられた運転技能だ。
道路のコンディション、他のドライバーとの位置関係、そして自分の走っている速度などを総合的に判断して、クラッチの切るタイミング、繋ぎ方、アクセルの開き加減などを変化させる。
そのためすぐにスタートできるようにスターダストがしたのと同じように後輪を若干回転させながら方向を転換し、すぐさまスターダストが向かったのと同じグリーンタウン方面へと走り出した。

「ん?遅ぇな?」

スターダストは180km/h前後の速度を維持した状態で走っていた。
当然、違法な改造が施されたジャミンカーたちのマシンならすぐに追いつける。
しかし、これには思惑があった。
スターダストの目的は逃げ切ることではない。
ジャミンカーの2人は迷うこと無く、アクセルを開き、スターダストの左右を囲むように並ぼうとする。

「ハッ!!ご自慢のマシンは調子が悪いみたいだなぁ!!」

先に左に並んだ390 DUKEから体を乗り出して、スターダストに殴りかかろうとした。
だが次の瞬間、目に飛び込んできたもので動きが止まった。

「!?うわぁぁ!!!」

ジャミンカーはマシンもろとも爆発して中央分離帯に激突した。
スターダストは横に並ぶと予測して右腕をバズーカにして待機していたのだ。

「いや?絶好調だ」

腕を下に戻すと、1回スロットルを開き、暴れたくて仕方ないと叫んでいるようなエンジン音を響かせた。
そして半立ちの状態になると、シフトペダルにかけていた左足を離して、体を捻り、右方向、後方から迫ってきていたジャミンカーを蹴りつける 。

「ぐあぁ!!」

そのままコントロールを失った390 RCは横転し、運転していたジャミンカーを巻き込んで大破した。
そしてスターダストシフトアップし、速度を上げた。
そう、スターダストの目的は逃亡ではなく、追手の殲滅だった。

「…クッ」

スターダストはようやくマシンの扱いに慣れ始めた。
電波変換している段階で常人を遥かに超える身体能力が備わっていたため、彩斗が運転という技能に順応してきたというのが正しいかもしれない。
もともと常人が乗ることを前提としていない、つまり電波人間のような超人的な人間なら乗りこなせる可能性が高いが、それが可能かどうかは乗るものの技能に左右される。
正直、驚いていた。
慣れてきたら、まるで手足のように軽く扱える。
マシンが自分の力に呼応しているようだった。
とっさに自分も横転する覚悟で標的とは反対の足をペダルから離して蹴りつけるという危険な攻撃も難なく成功した。
それが一気に自信に繋がった。

「クッソ!?急に速度を!?」

アクセルを開くと速度を上げ、距離を広げる。
しかし目的は突き放すことではなく、次の攻撃でスロットルから手を離さなくてはならないからだ。

「!?…おいおい…うわぁぁぁぁ!!!」

スターダストは自身のヘルメットの両耳を模したバックミラーで狙いをつけながら、再びバズーカに変形させると後方のジャミンカーに向かって放った。
390 DUKEが爆発し、乗っていたジャミンカーが火だるまになって吹き飛び、海へと落下する。

「チッ!...当たらない!」

スターダストは再び次の標的を狙ってバズーカを連射する。

「クッ!アイツ、頭イカれてんじゃねぇのか!?」
「バズーカをおもちゃにしやがって!!」

ジャミンカーたちはそれぞれのマシンを巧みに操り、全ての攻撃を交わした。
だが全てギリギリだ。
余裕を持ってのんびりハンドルを切ったのでは、どう考えても間に合わない。
通常の射撃と違い、バズーカには爆風という副産物がついている。
片手で凄まじい反動のあるバズーカを乱射するスターダストも異常ではあったが、それを交わすジャミンカーも異常だった。
排気量が400cc、1100ccの中型と大型の車体を手足のように操る。
長年の経験、そして運動神経が無ければ不可能だ。
まさに電波人間同士の常識離れした戦いと呼ぶにふさわしかった。
爆発により道路は既に原型を留めない程に崩れ、いくつも穴が開いていた。
スターダストは乱射を続けていてはマシンが止まってしまうため、腕を戻すと、シフトダウンしてスロットルを開き、クラッチを繋いで速度を回復させる。
だがバズーカによる砲撃が落ち着いたと知るとジャミンカーたちはシフトアップしてスターダストに追いつこうとした。

「クッ…」

地面を這うようにカーブを曲がる。
分岐に差し掛かった。
左はエンドシティ、直進はグリーンタウン。
グリーンタウンまでは残り15km、敵は残り4人。
そのまま直進する。
だがその際にヘッドライトを消し、腰のEMP発生装置を起動させた。

「消えた!?」

一瞬で周囲の街灯やジャミンカーたちのバイクのヘッドライトまでダウンし、漆黒の夜が訪れた。
スターダストとジャミンカーが走れば走るほどその闇は広がっていく。
しかし周囲が見えない状況ではいくら運転技術の優れたジャミンカーたちといえども致命傷となった。

「ウワァァ!!!」

周囲が見えないということは周囲の道路の状況も見えないということだ。
直線だと信じて走り続ければ、僅かなカーブに激突し、大破してしまう。
これで残り3人、スターダストは赤外線バイザーモードではっきりと状態が見えていた。
ゆっくりと速度を落としながら、ジャミンカーたちの後方で追撃に備える。
ジャミンカーたちはどこにいるのか分からず、スターダストは前方を走っていると思い込んでいると今なら隙がある。
しかしそううまくはいかなかった。

Low Battery…Power Off

「!?」

腰のEMP発生装置が急に機能を停止した。
バッテリー切れだ。
この手の戦場での工作が朝飯前であるはずのValkyrieですらも学校を妨害するのにバッテリーでなく、コンセントからの給電を使った設置式にしていたくらいだ。
手のひらサイズの妨害装置、そしてそれに内蔵されたバッテリーで長時間駆動させるのが不可能なのは当然と言えば当然だった。
それによって街灯の停電現象が止まり、周囲が明るくなった
暗闇のエリアは後方に取り残され、ジャミンカーたちは周囲を見渡し、スターダストを発見した。

「ヤロウォォ…後ろだ!!」

「チッ!」

スターダストはアクセルを開き、ジャミンカーたちの間をくぐり抜けて再び前方へと躍り出ようとした。

「この野郎!!!」

「うっ!?」

途中、殴られそうになり肘で防ぐと反撃をせずに速度を上げる。
もう1人ずつ倒していっては埒が明かない。
いくら優れたマシンと身体能力があっても、向こうの方が”バイク慣れ”している。
3人を1人ずつ倒していったのでは、先にやられる可能性も大きい。
一度に倒す、そのためには攻撃を受けないくらいに距離を取って一撃。
それが得策だと判断した。
スターダストはクラッチを握って、シフトアップすると更に速度を上げた。

「!?…もっとだ…」

デジタルメーターには目を疑う速度が表示されていた。
450km/h、ここまでの速度を車でも無く、電車でもなく、風から身を守る車体無しに跨って実感できるマシンは他に無いだろう。
それにともなってタコメーターも凄まじい回転数を叩きだしている。
いつこの暴れ馬から投げ飛ばされるのか、そんな恐怖は既に無かった。
驚かされることはあっても、電波人間である今は体が本能的にこの程度のことでは危機を感じないのだ。
むしろ「もっと速度を」と望む心が湧き上がり、アクセルを握る右手に力が入る。
それに伴ってジャミンカーたちとの小さくなっていく。

「クッソ!!なんて速度だ!!」
「400…いや、500は行ってるぜ!!」

「待て…恐らくもうすぐ停車する!」

ジャミンカーの2人はマシンのスペックに驚愕するも、1人は冷静だった。
KTM 1190 ADVENTUREを操るリーダー格のジャミンカーは先程から逃げようと思えば逃げられるのにわざわざ戦闘を行いながら走り続けるスターダストの行動から逃げることが目的ではないと察した。
速度さえあれば逃げられるというわけでない。
妨害電波の外に出てしまえば、ウェーブロードが使える。
むしろ追手である自分たちを倒さなければ、完全に逃げ切るのは不可能だと判断したのだろうと。
その予測通り、スターダストの姿が僅かに大きくなった。
速度を落とし始めたのだ。
だが速度を落とすだけではなかった。

「ハッ!!!」

「!?」
「マジか!?」

スターダストは右ブレーキを力いっぱいに握り、前方に体の軸を向けた。
イリュージョンの後輪が浮き上がる。
CBR1000RRベースの巨大なオンロードタイヤがまるでオフロードマシンのように浮き上がり、そのままハンドルと体の傾きを使って、ターンした。
いわゆるジャックナイフターンだ。
後輪の着輪までに腰からグングニルを取り出し、着輪と同時にジャミンカーたちの方に向けた。

「マズイ!!」

しかしスターダストは僅かに彼らの左側に向けて一発を打ち込んだ。
ガスの抜けるような音とともに弾丸が音速で放たれた。
そしてすぐにもう一発、今度は右側に弾丸を放った。

「ハッ!ハズレかよ!!」

スターダストはホルスターにグングニルに収めると、クラッチを握ってペダルを踏み込むとアクセルを開きながらクラッチを繋いて走り出す。
ジャミンカーたちは3人揃ってスターダストの攻撃は外れたと思い、更に速度を上げた。
しかし1人は次の瞬間、気がつく。
スターダストはバズーカやマシンガンのような武器を持っているにも関わらず、今使ったのはグングニル、凄まじい貫通を持っているがスターダストが持っている武器の中でも小型で攻撃範囲も狭く、扱いが難しい上にこの3人が追いかけてくる局面で使うものではない。
それにわざと狙いを外していたような素振りを見せた。
それらの行動が意味するところはすなわち、何らかから目を逸らすためのフェイク、もしくは罠を仕掛けたということ。

「!?マズイ!!!」

一瞬、極細の糸のようなものが見え、反射的にハンドルを握る腕に力が入り、アクセルを開くと重量が200kgを超える車体が、糸を飛び越えた。
スターダストがグングニルで放ったのはワイヤー弾だった。
それにより、極細のワイヤーが道路の両端に仕掛けられ、走ってくる敵はそれに気づかずに引っかかるという仕組みだった。
それによりジャンプによってかろうじて避けられた1190 ADVENTUREを駆るジャミンカー以外の2人のジャミンカーは見事に僅か数ミリでありながら強固なワイヤーでマシンごと投げ出された。

「やったか?」

スターダストはアンテナのような形をしたバックミラーを覗く。
390 DUKEと390 RCは火柱を上げ、ジャミンカーたちを飲み込んでいた。
しかし1人だけまだ追ってきている。
1190 ADVENTUREを巧みに操るリーダー格のジャミンカー、しかもジャンプ時にアクセルを開き、並んで走る味方がいなくなったせいかスピードが上がっている。

「チッ!嘘だろ…」

「ヤロウ…逃さねぇぞ..!」

スターダストはワイヤーを撃ち出す際に一度、停車しているため、だスピードは十分とは言い切れなかった。
その間に追いつかれてしまう。

「オラァ!!!」
「!?クッ…!」

スターダストは後輪への体当たり一瞬、バランスを崩してハンドルを左に切った。
時速は230km/h、次の瞬間、スターダストが走っていたスペースにジャミンカーが入り込む。

「ハッ!!」

「このクソガキ!!」
「!?な…」

なんとジャミンカーはスターダストがマシンのボディを蹴り飛ばした瞬間、自分のマシンを捨て、スターダストの駆るイリュージョンの後席に飛び移った。
そのままスターダストの首を後ろからホールドする。

「うっ…うぅぅ…」

強烈な腕力で首を絞められ、スターダストは自分でも気味が悪すぎると思える声を漏らした。
今まで絞められた中で一番とも言える苦しさだった。
いくら自分も電波人間とは言え、胴体はアーマーやスーツで保護されていても、首が弱点なのは人間と同じだった。
おまけに運転している状態では集中力を維持しなくてはならない。
腕に入る力が若干弱まり、プルプルとハンドルを握る手が震える。

「散々やってくれやがったなぁ!!このヤロウ!!!」
「いいのか…?このままオレが中央分離帯に激突でもすればお前道連れだぞ…」
「ハッ!!上等じゃねぇか…地獄まで付き合ってやろうじゃねぇか!!!」

ジャミンカーはスターダストと運命を共にする覚悟だった。
ますます首を絞める腕に力が入っているのが分かる。
しかしスターダストはその状態で左手の親指をクラクションとEMPキャノンの発射ボタンの隣にある赤いボタンに掛けた。
しかし恐ろしくてすぐに指を離す。
このボタンは後部シート、すなわち常識的には2人乗り、もしくは荷物が乗っているシートを弾き飛ばして排除するボタンだった。
これを押せば確かに後部シートに飛び乗って首を後ろから絞めてくるジャミンカーは空中に弾き飛ばされるだろう。
だが首を抑えられている状態では事故を起こすまでもなく、運命を共にしかねない。
この状態から脱出するにはもはや力技しか残ってなかった。

「仲良く地獄に落ちようぜ!!」

「オレはお断りだ!!1人で行って来い!!!」

スターダストは声を張り、気合を入れると、苦しみながら前のめりになっていた頭部で思いっきり頭突きした。

「うっ!?」
「ヤァ!!ハァァァ!!!」

不意の頭突きで腕の力が弱まった隙に更に腹部を肘で突き、ダメージを与えた状態で左手で胸ぐらを掴んだ。
右手で車体をコントロールしつつ、思いっきり叫び、そのまま前方に放り投げた。

「ヤァァァァ!!!!」

「!?グゥゥゥ!!」

ジャミンカーはそのまま前方20メートル程先に投げ飛ばされ、地面に叩きつけられ転がる。
普通の人間なら確実に死んでいるところだ。
一瞬でイリュージョンはその横を通り過ぎる。
スターダストはすぐさまブレーキを掛け、急停車した。
地面に強烈なタイヤ痕が残り、摩擦による熱が発生している。

「…クッソ…ふざけてんじゃねぇぞ…」
「!?…ッ」

ジャミンカーはまだ立ち上がる力を残していた。
そして停車したスターダストの方にゆっくりと向かってくる。
スターダストもスタンドを立てると右足を振り上げて、イリュージョンから降りる。

「…ヤァァァ!!!」
「…」

ジャミンカーは一気に走り出す。
マシンから降りたスターダストと1対1で肉弾戦をするつもりらしい。
電波人間の脚力は60メートル近くあった距離を僅か2、3秒で詰め、あっという間に戦闘に突入する。

「ハッ!!」
「ッ!ヤァ!!!」

ジャミンカーは真正面から殴りかかる。
かなりのダメージを受けているはずなのに、キレのある力強いパンチだった。
スターダストはそれを交わし、握った拳をハンマーのように振りかざして太ももを砕く。

「うぅぅ!?」

ジャミンカーは下半身への反撃でバランスを崩し、後方によろめいてスターダストと距離を取る。
もはやバランスを崩して倒れそうなのを必死に堪えたのに近い。
そしてスターダストは左足に力を込めると、勢い良くステップを踏み、思いっきり右足でジャミンカーの胸部を蹴り飛ばした。

「ハァ…ヤァァ!!!」

ジャミンカーは地面と平行に30メートル近く勢い良く飛んだ。
吹っ飛ぶという言葉が正しいのかもしれない。
すかさずスターダストは右腕をブラスターに変形させて構えた。

「さぁ!終わりにしよう!」

Noise Force Bigbang!!

慣れた手つきでコンソールを操作して、トドメを刺せる技を選択する。
するとブラスターが発光し、エネルギーが一瞬でチャージされた。

『レッドサン・エクスプロージョン!!!』

スターダストが引き金を引いた瞬間、夜であることを忘れるほどの光が一直線にジャミンカーを撃ち抜いた。
ブルームーン・エクストリームの時とは違い、青では無く太陽のように燃え盛る”光炎”とでも呼ぶべき閃光だった。
近くの道路のポールコーンや標識がグニャリと熱で曲がり、その凄まじい威力を物語る。

「…ふぅ…」

スターダストの視線の先にはジャミンカーになっていたSWATの隊員が気を失って倒れていた。
もうジャミンカーの追手はいない。
周囲に聞こえるのは道路の下の海の波の音とイリュージョンが放つ静かながらも力強いエンジン音だけだった。





















「敵のジャミンカーになっていたのはSWATチームの人間も含まれていました。恐らく裏切り者が...しかし全員がロックマンと暁によるダメージでまともに口が聞ける者がいません」

隊員の1人が悔しそうに現状を木場に報告していた。
木場は面倒くさそうに、しかしどこかイライラしているような顔をしていた。
確かに今回の木場の作戦は確実に失敗した。
にも関わらず現状はスターダストの介入、そしてシドウの的確な判断により良い方向に進んでいる。
もし木場の作戦通りに進んでいたら、多くの犠牲者を出していた上、裏切り者の存在も闇の中になっていた。

「人質は全員無事で命に別状は無いそうですが、念のため全員病院に搬送しました。しかしシーサイド病院が一連の障害による怪我人でいっぱいだったため、デンサンシティの湾岸病院の方に」

「そんなことはどうでもいい」

「え?」
「暁はどこにいる?」
「暁隊員はアシッドシステムの多様で疲労していますが、妨害電波の停止作業と校内に潜んでいる可能性のある残党殲滅の指揮を...」

「誰がアイツに指揮権を与えた!?奴は私の作戦に従わず、ロックマンとつるんで行動している!!裏切り者の可能性をなぜ疑わない!?」

「いやっ...その...」

逆ギレもいいところだった。
木場の作戦は裏切り者にとって優位過ぎる作戦かつ、まるで人質もろとも殲滅という証拠を隠滅するかのような内容だった。
むしろ疑われてしかるべきなのは木場の方であった。

「しかし!!空振りですね、敵に繋がる情報がロックマンだけ。正直、ロックマンに倒されていたValkyrieはアテになりません。連中も一応プロです。黙秘を決め込まれたら...終わりです」

1人の隊員がフォローするように間に入り、木場に今にも殴られそうだった隊員を助けた。
しかしそれくらいに得られた情報は少なかった。
そして今回の作戦が実行されていれば、ますます情報は減っていただろう。
木場はなぜかキョロキョロと周囲を見渡していた。

「....フッ」

そして何かを見つけたようにニヤリと笑みを浮かべた。

「いやいや...吐かせられる容疑者はいるじゃないか?」
「はっ?何を...」

木場はゆっくりと人質たちを励ましている1人の少年の方に向かった。
それによってその場にいた隊員たちの多くが何を思いついたのかを悟った。

「まさか...」

「なっ?それが大変のなんのって...メイルっていう幼なじみはいいやつなんだけど、すっげぇ過保護でさ」

「フフ!!熱斗くん面白い!!」
「俺ら、親が厳しくてさ。そんな風に近所の子と遊んだこと無かったぁ」

「光熱斗くん!」
「え?はい」

木場が声を掛けたのは熱斗だった。
熱斗はオペレートの後、怯える人質たちと年が近いこともあって励ましていた。
長時間過酷な環境で監禁されていた彼らには熱斗の言葉は暖かく、癒されるものだっただろう。
そんな彼らとの会話の間にズケズケと入り込み、右手を熱斗の方に乗せた。

「いやぁ...テロリストが生きていくには辛い世の中になったんだよねぇ」
「え?どういう...」

「光熱斗!!君を今回の事件の重要参考人として任意同行、いや現行犯逮捕する!」

「ハッ!?アンタ、何言って!?」

『そうですよ!現行犯って熱斗くんが今、何をしたって!』

PETの中のロックマンも驚きを隠せなかった。
現行犯逮捕とは警官の目の前で実際に犯罪を犯した場合に使われるものだ。
しかし熱斗は人質と話していたに過ぎない。
全く話が噛み合わなかった。

「そうだな...私への暴行、捜査中の捜査官に向かっての公務執行妨害としておこうか」

「しておこうかって...どういう、うっ!?」

木場は勢い良く熱斗の腕を掴むと、そのまま手錠を掛けた。
熱斗は既に何が何だか分からない。
しかし木場はニヤリと耳元で呟いた。

「今は書類1枚でどうとでもなる世界でね。誰かがこの事件の黒幕になってもらわないと私は困るんだよ」

「!?キッサマァァ!!」


「ウォォォ...ハッ...公務執行妨害成立...」

熱斗はまだ自由の効くサッカーで鍛えられた足で木場の腹部に向かって蹴りを入れる。
しかし木場はニヤリとほくそ笑むと、今度は熱斗の腹部に膝蹴りを返した。

「うっ!?」

熱斗は両腕が塞がれ、思うように動けずにまともに受けてしまい、その場に倒れ込んだ。

「私の的確な指示で、しかも私の手で容疑者が逮捕された。どうだい、諸君!?取調室に連れて行って全て吐かせろ。子供だからといって遠慮は要らん」
「りょ...了解」

「クッソ...」

熱斗は数人の隊員に囲まれた状態でパトカーまで連れて行かれてしまった。
PETの中のロックマンはこの状況を全て理解した。

『熱斗くん!熱斗くんは嵌められたんだ!自分の作戦が失敗、誰も口を割らない容疑者。この状況で現場にいて、しかも子供で暴力や薬物の耐性が無い熱斗くんを犯人に仕立てて、手柄を立てるつもりだ!』

「うるさいネットナビだ!!」

木場は熱斗のポケットからPETを奪い、無理やりシャットダウンしようと電源ボタンを長押しする。

『いいか、熱斗!?絶対に自白しちゃダメだよ!!1回でも自白したら....』

Good-Bye

電源が切れる直前でロックマンは兄としての顔を覗かせた。
だがメッセージをちゃんと熱斗は聞いていた。

「絶対に吐かせてやるからな...覚悟しろよ...」

木場の脅しのような捨て台詞が呪いのように耳に残ったまま、熱斗はそのままWAXAニホン支部へと運ばれていった。







 
 

 
後書き
最後まで呼んでいただきありがとうございます。

正直、今回出した技類...危険極まりないので絶対に真似しないでくださいw!
ジャックナイフターンとかドリフトとか熟練者でないと1000ccの大型バイクでそんな事できません!
熟練者でも難しいですw
あくまで人間離れした電波人間のロックマンだからできるんですw
そして新必殺技としてレッドサン・エクスプロージョンが出ました。

お気づきの方がいるかは分かりませんが、前にクインティアを倒すのとシドウを助けるのにブルームーン・エクストリームという技を使ってます。
ブルームーンとレッドサン、エグゼ4のタイトルですw

最後にはいろいろと世間でも話題になった冤罪についての話を入れてました。
ロックマンの話でまさか冤罪やらテロやらの話になるとは...

感想、意見、質問等はお気軽に!!

次回はできるだけ早く更新したいと思います!
更新遅れて本当にすみませんm(__)m
 
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