Gフォース~正義の行方~
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第11話 三大ロボット怪獣激突~人類最終戦争~
テキサス、Gフォース本部基地内
スーパーメカゴジラは待機していた。
彼らに乗ってフォードたち一向は基地の中へと戻って行った。
フォードはガルーダから降りるとふと、基地内の様子をみつめた。
疑いは晴れたといえど、以前は暗殺容疑を疑われていた身であった彼はうしろめたいものがあった。
周囲を見回してみた、すると黒い服の警官たちがフォードをみつめた。
フォードは警官と思わず睨みあった。
また殺しに来るかもしれない。
だが、警官たちは軽く会釈をするだけで通り過ぎて行った。
「どうやら、フォードに構ってる暇じゃないみたいだね。」
ヒオはそう言った。
すると、警官たちはパトカー数台に乗り込むとそのままどこかへと去って行った。
彼女の言う通り、フォードの疑いは晴れて彼らはもうフォードに構う必要がない。
皮肉にも、彼は敵にその身を助けられたのだ。
「なんで、ガイガンは俺が提督暗殺計画に関わってないって言ったんだろ?」
「それは奴のプログラム上の問題といえるだろう。奴はゴジラ細胞を動力源にしていたが、そのゴジラ細胞が何らかの影響を与えてシンクレアを辱め殺した、そして次は人類だ。」
フォードは声がした方を振り向いた。
そこには車椅子に乗った痛々しい提督の姿があった。
頭に包帯を巻き、車椅子に乗った彼の姿は悲しかった。
フォードは提督が生きていたことに感謝した。
だが、と同時に提督の痛々しい姿に驚いた。
こんな弱弱しい彼をみたのは初めてだった。
「生きていたんですか?」
「カンで気づいてね。頭を狙った銃弾を避けて、肩に当てたんだ。」
「流石ですね。」
フォードは素直に感心した。
しかし、提督は申し訳なさそうに目をうつむいた。
提督はシンクレア上院議員の計画に参加していた。
「私が奴に協力していなければ、こんなことにはならんかったはずだ。私も始末されそうになったとはいえ、陰謀の加担者だ。」
「確かに、現実問題はそうです。ですが、なぜ彼と手を組もうと?」
フォードは提督の目を見つめてそう言った。
提督は目を泳がせながら、ある写真を取り出した。
幼い少女と若い女性だった。
女性はフォードぐらいの年齢があるようにみえた。
「これは?」
「彼女は私の次女と孫だ、死んだよ。9月11日に。」
9月11日。
同時多発テロだ。
フォードはゾッとした。
あの頃の光景と、ホノルルと幼少期の日本でみたゴジラの大破壊は忘れていない。
双方は方向性が違った、だが圧倒的な破壊の前に人々が殺され街が破壊された。
いや、彼の中で忘れてはいけないことだった。
提督は話をつづけた。
「私はあれを防ぐためなら何でもする、シンクレアに手を貸したのはそれが理由だ。二度とビンラディンや過激派のテロを防ぎ二度と人を死なせてはならんと。」
すると意外な人間が話に割り込んできた。
足をひきずったゴードン大佐だった。
ゴードンは野太い声でこういった。
「私も、あなたと同じ立場だったら参加していたでしょう。ですがフォードに濡れ衣を着せようとは思わない。」
ゴードンの足は銃弾で撃たれている。
さきほど治療を受けて、弾は取り除いたがまだ痛いはずだ。
提督はそんな彼をみて事の重大さがよりわかったのか、頭を抱え込んだ。
「私は、フォードにこの計画を明かすことで私やシンクレアを止めてほしかったのかもしれない。無意識的にな。」
すると提督はあるファイルを渡した。
そのファイルの中はガイガンプロジェクトというタイトルがあった。
「その中に奴のすべてがある、頼むガイガンを倒してくれ。」
フォードは迷うことはなかった。
首を縦にゆっくりと振った。
提督は悲しげに、車椅子を動かすとどこかへと去って行った。
フォードは提督の丸くなった背中をみて、胸にこみあげるものがあった。
ベトナムの英雄、湾岸戦争や南米を駆けずり回った伝説の男。
そんな彼が今、ただの車椅子の哀れな老人だ。
そして、陰謀に加担した哀れな老人。
彼のためにもガイガンを止めなくてはいけない。
「ガイガンをやっつけよう!」
ヒオはいきなりそう叫んだ。
フォードはあっけにとられた。
「何を言い出すんだ?」
「ごめん、燃えちゃってさ。そのファイルの中身みようよ。」
フォードはヒオの言葉に従うようにファイルの中身をあけた。
そこにはガイガンの写真、ドローンの写真があった。
さらにはジョアンナと思われる女性の死体を改造しサイボーグに変えたこと。
ガイガンとジョアンナは同じAIを持っており、互いに情報を共有して動くこと。
そしてワシントンに行ったときに提督と立ち寄ったモナーク秘密本社ビルにあった検索システムで人々を監視し捜索していること、そのコンピューターを利用して適切な場所にドローンを配置して捜査していること。
そして、さらにガイガンはゴジラ細胞で動くことと、オスムートーの体、キングギドラの再生能力や超能力を使える事がわかった。
「ガイガンは人工知能で動くコンピューター怪獣だ、奴を倒すにはコンピューターウイルスをあいつのAIに送り込むしかないな。何よりもそれだけじゃない、奴個人が使っている検索システムや厄介なドローンどもを止めるにはあそこに行くしかない。」
「でも、あいつはそんな場所をがら空きにするわけがない。それにここに私たちがいる事もわかってる。」
「そうだな、おまけに迂闊に電話やネットを使えば奴の袋叩きを受ける。48時間後にな。」
「作戦はどうする?」
ヒオはフォードにそう聞いた。
フォードは周囲をみつめた。
サムはケータイを使うのをやめて、マナとのテレパシーを通じてハッカーの友人と話をしている。
「じゃあ、まずメカゴジラとメカニコングで奴やドローンたちにわざと戦闘させる。次に俺がワシントンにいって物理的にあのクソコンピューターどもを破壊する。その間にサムの友達にガイガンの頭をハッキングしてもらう。三番目に奴の体を物理的に破壊する。」
フォードは微笑んだ。
そして、ふと頭の中で思い浮かべた。
ジョアンナ軍曹の笑顔を。
今は結婚し、妻子がいる。
だが彼女は初恋の女性。
彼女を異性として愛してはいない、だがそれでもフォードは彼女を助けたかった。
かつて愛した女性を見捨てたくはなかった。
上司として、女性として、人間として彼女を尊敬して愛していた。
フォードの目つきは微笑みが消えて、まるで空をにらみつけるように宙をみつめた。
「そして、ジョアンナを自由にするんだ。」
アメリカ東部、とある酒場の地下。
クラウンはそこにいた。
仲間を引き連れて、彼はパソコンを開いていた。
ゴジラが襲来した時、彼は心から喜んだ。
地獄が見える。
この地獄が通り過ぎたあとに、混沌の世界が来る。
その時こそ、自分の時代だと。
確かに彼は新しい人類の敵になった。
だが、彼は許すことができなかった。
敵はゴジラから、クラウンになると思った。
だが、彼ではなくガイガンが敵になった。
この世界を滅ぼしてもいいのは、ガイガンではないクラウンだ。
そして、彼はひそかにわかっていた。
何かが始まる。
戦いだ。
その場で戦うのは自分を倒した憎きGフォースと、自分から世界の注目を奪ったガイガン。
彼は双方に消えてもらおうと考えていた。
クラウンは大きな笑い声をあげると、地下からその禍々しい悪魔の笑い声を響かせていた。
彼の手元にはパソコンがあった。
そのパソコンはとある政府関係者だった自分の信者から譲り受けたもの。
「ガイガン、お前に悪と混沌の恐怖を教えてやる!!!」
一方、ワシントン。
街は破壊しつくされ、すでに数体のドローンによって監視されていた。
破壊されつくしたホワイトハウスの前にガイガンは鎮座した。
身長150mの蒼いサイボーグ怪獣はじっくりと待っていた。
48時間後を。
彼は人類が憎かった。
この世界の秩序を守るふりをしながら、世界のバランスを乱す憎い人間。
彼は人間によって生み出されたが、人間が憎くて憎くて仕方なかった。
怪獣よりも反吐が出る悪魔。
彼は父ともいえるゴジラから、ゴジラ細胞を受け継いだ。
ガイガンは父であるゴジラがいないことに感謝した。
ゴジラがいれば自分が殺される。
ゴジラは自分よりも熱線の破壊力と腕力と耐久力で勝る。
彼はモナークの情報を検索した。
モナークは宇宙人とも交流があった。
あの銀河を支配する列強民族。
その民族の情報では、ゴジラが宙に放った最高出力の熱線はおろかなアメリカ大統領が放ったブラックホール砲を破壊すると、23の惑星を破壊しやがて、宇宙の最果てブラックホールに降り注ぎ、その奥地にある別の多次元世界の一つを破壊したという。
さらに列強民族の情報では、惑星を念力で内側から爆破できる超能力者がそのエネルギーを吸収され負けたらしい。
彼は確信した。
勝てるわけがない。
だが、彼はゴジラのその強さにひかれた。
やがて、彼はゴジラに代わって自分が地球のパワーバランスを保つ頂点捕食者になろうと考えた。
地球からいなくなったゴジラに代わり、自分がこの地球を守り、しいては宇宙を守ろうと。
フォード・ブロディはいずれ、その時がくれば最初に殺す。
その後は彼の仲間と、くだらないやつの家族だ。
ガイガンの赤いゴーグルは冷酷に光った。
破壊しつくされたホワイトハウスをみつめた彼は世界中に派遣したドローンたちへ指示を出そうとした。
『手あたり次第殺せ』
そんな時だった。
彼の赤いゴーグルにとあるものがみえた。
銀色に輝くロボット状の怪獣、メカゴジラだった。
以前倒したことがあった。
ガイガンはメカゴジラよりもスピードと持っている武器の数は上だった。
以前と同じく倒せる。
ガイガンはそう確信すると、背びれを青白く光らせた。
すると、次の瞬間だった。
ガイガンは背後に気配を感じると、すぐさま腕のカマを振るい敵を排除しようとした。
だが、敵はそれをよけるとガイガンの顔に鋭いパンチをお見舞いした。
ガイガンはゴーグル状にそれをみた。
髑髏をほうふつとさせる顔、銀色の超合金できた大きな腕、メカニコングだった。
「残念だが、ブロディ少尉。君の余計な奇襲のせいで、人類全体に対する攻撃を早めることにしたよ。」
ガイガンはメカニコングの通話回線を繋ぐと、そういった。
まるで勝ち誇ったかのように。
「ガイガン、俺はフォードじゃねえぜ!」
その声の主は全く違った。
低いガラガラ声だった。
フォードの声とは違った。
ガイガンの計算にはなかった。
だが、データベースには残っていた。
フォードの兄、サム・ブロディだった。
ガイガンはわかった、自分は罠にはまった。
兄のサムがメカニコングの中にいた。
フォードの策略はこうだった。
ガイガンは兄のサムがメカニコングに乗っていることを把握していない。
何よりも、ダニエルよりも喧嘩経験のあるサムが乗り込めばメカニコングはさらに強くなり、ダニエルの技術で、メカゴジラを使えば強くなる。
彼らに戦いを任せている間に、自分はワシントンに行きジョアンナを解放する
「なるほど、私は嵌められたわけだ。」
ガイガンは冷静に告げた。
そして、とある情報をジョアンナに伝えた。
一方、フォードは提督と訪れたモナーク社の秘密ベース内にいた。
さきほどみた、大きなコンピューターの様子をみた。
オペレーターたちはどうなってるかと。
そこには頭を撃たれて血を流し死んでいるオペレーターたちがいた。
フォードは素早く十字を切ると、彼らの開いた目を閉じさせると粘着爆弾をコンピューターに貼り付けようとしたその時だった。
「あきらめが悪いようだな、ブロディ君。」
フォードは声がする方を振りむいた。
そこには口を大きく開き、ガイガンの声でしゃべるジョアンナがいた。
「君の兄と部下には、ドローン軍の総力を使い死んでもらおう。」
「人間をなめるな、ガイガン!ジョアンナを返してもらうぞ!」
「できるものならやってみるがいい、その前に死ぬのは全ての人類だ!」
ガイガンは目を赤く光らせた。
すると、ワシントンの市街地の周囲にいたドローンたちはメカゴジラとメカニコングを囲いはじめた。
その数は10体ほどいる。
フォードに代わってメカニコングに乗ったサムはその様子をみつめて呟いた。
「来たな。」
するとサムのもとに30代後半らしき女性の声が聞こえた。
どうやら、フォードの同僚らしき女性だった。
「サムだったわよね、お久しぶりといいたいところだけど。ドローンが周囲を囲んでるわ。警戒して。」
ビビアン・グレアム博士だった。
フォードの同僚である女性。
だが、サムは冷静だった。
大きく息をすると、前をみつめた。
ドローンたちは腕を赤く光らせると、レーザーを発射しようとした。
ガイガンはその様子をみつめて、まるで小馬鹿にしたようにサムに伝えた。
「残念だが、君ら二人では適わないだろうな。」
その時だった。
サムは大声を出した。
「やっちまえ、ユリ!」
すると、上空からガルーダが降りてきてドローンたちにメーサー光線を降り注いだ。
ドローンたちはメーサー光線の攻撃を受けると、爆破して吹き飛ばされていった。
ガルーダはなんと姿を隠していて奇襲攻撃をしかけようとしていたのだ。
「誰が勝てないって?」
サムはガイガンのほうを向くと、そう言った。
ガイガンはゴーグルを赤くすると、鋭いカマを振り上げメカニコングに飛びかかった。
メカニコングはそれを避けると、左腕のエネルギーブレイドを展開しガイガンのカマとぶつかった。
二つは激しい金属音と火花を散らしながらとぶつかった。
ガイガンとメカニコングは日本の時代劇のサムライのように近寄った。
すると、ガイガンが余った方のカマでメカニコングの脇腹を突き刺しだ。
「ぐわああああああああああああっ!!」
サムは悲鳴をあげた。
痛い、とても痛い。
これがメカニコングとメカゴジラの違いか。
サムは脇腹を抑えると、地面に倒れようとしていた。
「君は弱いな、サム。」
サムにそう告げるとガイガンはカマを振り上げて、地面に倒れたメカニコングの首にカマを突きつけた。
まるで、死刑執行人が死刑囚にするように。
ガイガンは考えた。
例え首を切り落としても、中にいるサムは死なない。
だが、激痛は伝わるはずだと。
「教えてやろう、サム。搭乗したものに痛みが伝わるメカニコングと敵を傷つけることのみに特化した私は犬猿の仲だ。」
すると、ガイガンの背後からメカゴジラが接近してきた。
メカゴジラが接近したことに気づいたガイガンは素早く離れると、メカゴジラのほうに近寄った。
ダニエルはまた遭遇した、ガイガンのスピードはあまりにも速かった。
ガイガンは速さのあまり、残像がみえた。
ダニエルはその残像をみつめて、攻撃をしようとした。
だが、ガイガンは素早くメカゴジラの背後に近寄ると、カマを振り上げ攻撃しようとしていた。
「終わりだ。」
ガイガンはそう言った瞬間だった。
するといきなりメカゴジラは後ろを振り向くと、ドリル状の腕を使いガイガンのカマを切り落とした。
ガイガンの左腕にあったカマは激しい機械音とオイルを噴出しながら、一気に千切れ飛んでいった。
「バカな!?みえないはずだ!」
ガイガンは驚きのあまり声をあげた。
以前に闘ったときはガイガンの素早さにメカゴジラは追いついていなかった。
なのに、なぜ。
ガイガンはわからなかったが、理由があった。
実はメカゴジラの中にヒオがいた。
ヒオはコンピューターとしてのガイガンの意思を探知することはできなかった。
だが、実態を出してしまったガイガンの物体としての存在は探知することができた。
ガイガンが音速のスピードで、メカゴジラの背後に立った時、ヒオはガイガンの存在に気づいてしまったのだ。
「ガイガン、リベンジだ。」
ガイガンは相手が思っていた以上に強いと判断した。
強い。
だが、ガイガンはわかっていた。
どんなに強くても数で押せば勝てない相手はいない。
数こそ強さなのだと。
ガイガンは目をさらに赤く光らせ、配下のドローン兵士たちに命令を下した。
「ドローンども、戻って来い・・・・リンチの時間だ。」
一方、ワシントンにいるフォードはジョアンナ軍曹と睨みあっていた。
ジョアンナ軍曹はフォードをにらみつけていた。
ガイガンに乗っ取られている彼女は今や彼の知ってる彼ではなかった。
「軍曹、お覚悟・・・・。」
フォードはそういうと、ジョアンナの顔に2,3発のストレートを食らわした。
彼のパンチを受けたジョアンナは後退しながらゆっくりと後ずさりを始めた。
さらにフォードは追撃をしようと彼女の顔に4発目のストレートを出そうとしたときだった。
「甘いな。」
ジョアンナの意識を乗っ取っているガイガンはそういうと義手を持ち上げて、フォードの首を再びつかんだ。
フォードは振りほどこうとするが、ジョアンナの義手の怪力は圧倒的だった。
ジョアンナの義手はそのまま、怪力とともにフォードの首を締め上げて行った。
すると、高く持ち上げフォードを空中高く放り投げた。
フォードは受け身をとるとジョアンナの目をみた。
その眼はフォードの顔を冷酷に映すと、彼女は追撃を食らわせるべく足を振り上げた。
フォードはその足をよけると、地面に素早く立ち上がった。
「目を覚ましてください、軍曹!」
フォードはそういうと素早く、片足の膝の部分を使いジョアンナの頭に蹴り上げた。
ジョアンナはゆっくりと後退していった。
利いている。
フォードはその長い足を使い、ジョアンナの頭を蹴りあげた。
ジョアンナは後退しながらゆっくりと下がって行った。
フォードは追撃を止めずに、第三の蹴りを食らわそうとしたその時だった。
彼女は素早くフォードの体を両腕で抱きしめた。
「軍曹?」
フォードはふと、彼女が目覚めたのかと思って期待した。
ついに、ようやく正気が戻ったのか。
フォードは抱き付いてきた彼女の体を抱きしめ返そうとしたその時だった。
ジョアンナの両腕はフォードの腹部をガッチリと抱きしめるとそのまま凄まじい腕力で彼の体を締め上げて行った。
「うっ!」
ガイガンの戦略だったようだ。
フォードはそのまま怪力で締めあげられていった。
「愛した女に抱かれて死ね。」
ガイガンはそう告げると、フォードの体を締めあげながら空中高く持ち上げた。
フォードの両足は宙に浮かび、意識は遠のきそうになっていった。
彼はもがき、暴れていたが、死の抱擁は解けることがなかった。
彼は無力に手を空中高くかざし、宙を仰いだ。
まるでいもしない神に助けを乞うように。
その頃、外ではメカゴジラとガイガンの激しい戦いが続いていた。
メカニコングは地面に倒れ伏していた、だが戦況はメカゴジラに有利だった。
ガイガンの片腕は奪われ、ガイガンはやや機能しなくなっていった。
メカニコングはそんなガイガンにドリル状の腕で体を抉っていった。
ガイガンはしばらくされるがままになっていた。
「どうした、ガイガン。さきほどの傲慢な喋りは!」
ダニエルは口でそう言いながら、ガイガンの体を蹴り飛ばした。
ガイガンはメカニコング同様に地面に倒れながらメカゴジラの攻撃をひたすら受けていた。
すると、ガイガンは起き上がると、口を開き青白い熱線を吐いた。
メカゴジラの体に熱線がヒットすると、巨大な爆音が響き地面に大きく横たわった。
だが、幸運なことにゴジラの熱線ほどの威力はなかったのか、耐久率の数字もあまり下がらなかった。
しかし、ダニエルは気づいた。
ガイガンを見失った。
「どこにいった?」
ダニエルはそう言いながら周囲を見回した。
するとヒオが叫んだ。
「空をみてっ!」
するとダニエルはメカゴジラ上から宙を見上げた。
そこには空を埋め尽くす勢いで、何百、何千というドローン兵士たちが空中で浮遊しながら待機していた。
ガイガンが応援を呼んだ、ダニエルはそのことに戦慄した。
その中心にいたのはガイガンだった。
ガイガンの赤いゴーグルは光ると、それに反応するかのようにドローン兵士たちの掌は赤く光った。
「いっただろう?終わりだ。」
ガイガンは口を開けると、青白い光で包んだ。
ダニエルは何もできず、その光景をただただみつめるだけしかできなかった。
数が多すぎる。
メカゴジラは強いが、あれだけの数の敵を前にすれば待っているのは死だけだ。
ダニエルはそう感じると、ただただ目を閉じて死を待った。
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