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MA芸能事務所

作者:高村
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偏に、彼に祝福を。
第一章
  五話 京都にて

 
前書き
前回のあらすじ
「名前で呼んだっていいよね」
申し訳ございませんが京都を詳しく調べたわけではないですし、京都メンバーは出てきません。 

 
 そのまま事務所の全員と名前で呼び合うようになった頃の話。私達はアイドルたちを慰安旅行に連れて行くことに決めた。
 一度に休める面子も程度があるので、何度かに分けて。それに私とちひろさんが同時に休むことはできないので代わる代わるに。というか、事務所に残るのは大半が私で、ちひろさんは二つのグループを除き全員の引率者になった。いつも事務仕事に精を出してくれている彼女に対しての礼にと全部楽しんでこいと言ったのだが、彼女としては私全てに業務を任せるわけにはいかないと折れず、結局私も二つのグループを担当することになった。

「達也さん!」
 担当した一つ目のグループは、原田美世、向井拓海、南条光だった。
 場所は京都。京都駅前だ。各自私服で、二泊三日の荷物は既にホテルに届け、動きやすい服装をしている。
「はしゃぐな光。ほら達也も困ってんだろ」
 美世と拓海はバイク繋がりで分かるが、戦隊物が大好きな光は少し二人と合っていない、何て最初は思ったが、美世はその丁寧な性格から、拓海はその根っこの部分の生真面目さからよく光を見てくれていた。
「まぁまぁ。それで、最初はどこに行くんだ?」
「え、既にここでアタシもう楽しんでるぞ?」
 理由を問うに、ここ京都駅の前は特撮でも使われたことがあるとか。
「いや、流石にわかんねぇよ……」
「私も特撮はあんまりわからないよ……。まぁ光ちゃん楽しみみたいだし暫くはここに居ようよ。次行く場所はアタシ決めていい?」
 構わないと美世に告げる。
「あ、達也さん。パンフレットと観光雑誌見ます? 拓海と一緒に買っておいたんです」
「何だ、結構楽しみにしてくれてたんだな」
「うるせぇ! そりゃ折角来たのにホテルにずっといるわけにもいかねぇだろ」
 騒ぐ拓海を軽く流し受け取った観光雑誌を軽く流し読みする。一応私個人としてもある程度は調べているので、殆ど知っている内容だった。
 十分程で満足した光を連れて、京都市内を回った。美世がまずはということで皆を連れて行った先は、神社や仏閣ではなく、鉄と機械油と石炭の匂い漂う―――
「梅小路蒸気機関車館か。好きなのはバイクや車だけじゃないんだな」
「まぁ蒸気機関車が好きって程ではないけど気にはなってたんだ。それに今の時間からじゃ距離がある神社とかには行けないし、後は修学旅行とかで来てないところがいいかなぁ、と」
 四人で中に入る。最初は旧二条駅舎を使った資料館になっており、それを抜けると扇形車庫があり、蒸気機関車が何両も並べてられていて、内一両は整備員が張り付いていた。
「へぇ、こりゃすげぇ。近くで見るとでけぇんだなぁ」
「特撮で使うなら電車よりこっちを使ったほうが格好いいな」
 拓海と光の反応を見て、安堵の表情を美世は浮かべた。私としてもここは意外な場所だったが、中々どうして面白いと感じていた。
 扇形車庫を出て、転車台に近づき振り返る。何両もの機関車がこちらを向いて鎮座している様は迫力があった。
「中々いいところだな」
「そう言ってもらえて良かったよ。私も初めてのとこだしさ。あー、けど、女の子っぽくないかなー」
「気にすんなよ。女の子っぽいとか考えてたらやってらんねえぞ?」
 美世はそういった拓海と、まだ機関車を眺めている光を見た。私はそこで、三人の意外な、いやもっと早く気づくべきだった共通点に気づく。見た目は、私も保証するアイドルだが、趣味に関しては一つも女の子の要素がない。
「……そうかもね」
「俺としても、変な無理してモチベーション下げられるより好きなことしててくれたほうがいい」
「二人共ありがと。それじゃ、気を取り直して次のとこ行こっか!」
 拓海の手を取り、光の元へ歩いて行き、次いで光の手もとった美世は出口の方向へ歩き始めた。
「達也さん! 置いてくよ!」
 ああ、と返して彼女を追った。さぁ次はどこに行くんだろう。

 その後夕暮れの伏見を見て回り、ホテルに戻った。私は勿論三人と別室だったが、夕食の場等で話を聞くに、中々仲良くやってくれているらしい。

 二日目、鞍馬や八幡宮を見て回った。燥ぐ彼女たちを見て慰安旅行を開催して正解だっと思った。バイクを乗れる拓海や美世でも、流石に京都までは来ることはないだろうし、また二人だけじゃなく光も居てくれることがいいアクセントになっている。

 三日目、京都駅から四条通を抜け、途中途中の土産屋を冷やかしながら八坂神社に向かった。それから清水寺まで坂を登りながら、やっぱり土産屋を冷やかした。そうして清水寺につくと、三人が地主神社に行っている間私は舞台の上で京都市を一望していた。
 戻ってきた三人は、光を除いて何故か頬に朱がさしていた。 
 

 
後書き
取材も碌にしていないで本当は違う場所なども出てきます。地元の方々すいません。 
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