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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十三話 バリ島からの女の人その五

「自転車通学だったのよ」
「へえ、そうだったの」
「アオザイ着てね」
「あっ、それは格好いいわね」
「いいでしょ、アオザイ乗って自転車って」
「ええ、ベトナムならではね」
「タイでも自転車多いでしょ」
 打ち解けてだ、二人は話していた。大家の僕は一番前の席から首をそちらに向けて見ていたけれど打ち解けている雰囲気がよくわかった。
 その雰囲気の中でだ、二人は話していた。
「だったらね」
「自転車通学も」
「そう、タイじゃ珍しくないでしょ」
「うん、実際にね」 
 ラブポーンさんはにこりとしてダエさんに話した、その僕の目の前で。
「普通にあるわよ。ただね」
「アオザイはないわよね」
「しかも女の子より女の子らしいね」
 にこにことしてだ、こんなことも言うのだった。
「男の子が乗ってたりするのよ」
「ああ、タイだからね」
「知ってるでしょ、タイはそういう子多いのよ」
「男の子にね」
「それ本当に凄くてね」
「ムエタイ選手でもいたわよね」
「そうそう、もう普通の女の子より女の子で」
 その心がというのだ。
「タイでも名物になってるのよ」
「タイ名物男の娘?」
 美沙さんが二人にこう問うた、特にラブポーンさんに。
「要するに」
「そう、そんなところよ」
「ううん、男の娘が名物なの」
「日本でも男の娘結構多いでしょ」
「多くないわよ、実際には」
 すぐにだ、美沙さんはラブポーンさんのその問いを否定した。
「実際にはね」
「あっ、そうなの」
「ええ、男の娘は実際にはね」
「そうした娘少ないのね」
「あたし見たことないし」
 美沙さんは眉を少し顰めさせてそのうえでラブポーンさんに答えた。
「そうした人はね」
「意外ね」
「意外っていうか実際そういう趣味の人がいても」
「日本じゃ少数派なのね」
「というかタイが普通っていうのことが」
「不思議?」
「あたしにしてみればね」
 美沙さんは眉を少し顰めさせてそのうえでだ、腕を組んでラブポーンさんに述べた。
「それ自体が」
「まあタイはそうしたことには寛容だから」
「女装とかに」
「そう、男の娘にもね」
「日本以上になのね」
「男の子を好きな娘も多いし」
 つまり同性愛である、生物的な性から考えるとこうなる。
「そっちも日本より普通かもね」
「ああ、そうした話はね」
「日本も多いでしょ」
「織田信長さん、この人女装もしてたけれど」
「そっちの趣味もあったのよね」
「前田利家とか蒲生氏郷とか森蘭丸とかね」
 それぞれの相手がいたのだ、年代によって。
「あと武田信玄さんとか上杉謙信さんもそっちの趣味あったのよ」
「詳しいわね」
「バスケ部の娘でそういうこと好きな娘いてね」
「その娘に教えてもらったの」
「そうなの、あと西郷隆盛さんと大久保利通さんが美少年を取り合っていたかも知れないとか」
「西郷さんって確か」
 その名前を聞いてだ、ラブポーンさんは美沙さんに返した。 
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