八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十三話 バリ島からの女の人その四
「無論鶏肉のそれもまた」
「だからこの味ですか」
「はい、どうぞお召し上がり下さい」
自信作、それを作ったお顔での言葉だった。
「是非共」
「わかりました、それじゃあ」
「量はあります」
つまりおかわりもいいというのだ。
「ですからどうぞ」
「わかりました、それじゃあ」
「サラダもあるし」
詩織さんはサラダも食べていた、今日用意されているドレッシングはオニオンだった。シチューにも玉葱が入っているので玉葱尽くしだ。
「今日も健康的ね」
「朝御飯はです」
「健康的に、ですね」
「健康的なものを食べてこそです」
まさにここからだというのだ。
「健康になれますので」
「その中でも朝御飯は」
「重点を入れるべきなので」
「そういえばよく朝に野菜ジュースが出てきますね」
果物とミックスさせたものだ、ミキサーで砕いたそれをだ。畑中さんは朝に僕達によく出してくれるがこれも美味しい。
「そのこともですか」
「はい、栄養のことを考えまして」
それで、というのだ。
「お出ししています」
「そうですか」
「今朝はミルクですが」
これはこれで栄養がある、それもかなり。
「栄養バランス、そして味は考慮していますので」
「味もですね」
「無論です、それでは」
「頂きます」
僕は小野さんの言葉を受けながらだった、そのうえで。
シチューを飲みサラダを食べてだ、ベーコンエッグとトーストも食べた。食べ終えたその時は僕達は全員満腹だった。
その満足した気持ちでだ、僕は一緒に食べていた畑中さんに言った。
「じゃあ歯を磨いたら」
「それからですね」
「登校しますので」
「ではバスの用意をしておきます」
「運転手さんにですね」
「伝えておきます」
こうお話してだ、そしてだった。
僕達は全員歯を磨いて顔も洗ってだった、それからバスに乗り込んだ。ラブポーンさんはそのバスの中でこんなことを言った。
「何か不思議ね」
「不思議といいますよ」
「ええ、バスで学校に行くっていうことがね」
そのことがとだ、ラブポーンさんは自分の隣にいる小夜子さんに答えた。もう二人共バスの一席に座っている。
「不思議って思って」
「そうなのですか」
「うん、こうしたことってないからね」
「バスでの行き来はですか」
「私がタイにいた時はね」
「ラブポーンさんはバス通学ではなかったのですか」
「小学校から高校までずっと歩いてだったよ」
自分の足で歩いて通学していたというのだ。
「だからね」
「それでなのですか」
「バスで通学することが不思議に思えるのよ」
それで、というのだ。
「私はね」
「バス通学の経験がないのでしたら」
「やっぱりそう思うよね」
「言われてみれば」
そうだとだ、小夜子さんも応える。
「そうですね」
「うん、バス通学っていいわね」
「まあね、自転車もいいけれどね」
ダエさんが横からだ、ラブポーンさんに言った。
「バスもいいものよね」
「ダエはベトナムにいた時はどうして通学してたの?」
「今言ったでしょ、自転車よ」
それで、というのだ。
ページ上へ戻る