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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第六章 正義の在り処編
  第百八十九話  『緊急会議、そして出撃』

 
前書き
更新します。

激震が走っている中での話です。

ではどうぞー。 

 




ジグルド・ブリュンヒルデによって行われたクーデターが起きた事によって時空管理局ミッドチルダ地上本部に激震が走った。
ジグルドの提示した要求は二つ。
まず一つ目は“J・S事件”に大きく関与していたとある人物の出頭。
そして二つ目は時空管理局の全制度の撤廃。
この二点だ。
まず一つ目のとある人物というのはある程度予想できる。
それは現在刑務所にて服役しているあのジェイル・スカリエッティと裏で協力体制をとっていたレジアス・ゲイズ元中将のことだろう。
彼は現在は役職も階級も剥奪され身一つだけの存在だが、それでも地上本部にもたらした業績は認められていて『不足した戦力で地上の平和を護り通した英雄』という通り名もあるくらいだ。
それを彼に話したら涙を流して『すまない、すまない………』と謝罪の言葉を述べたという。

………話は戻ろう。
ジグルドはおそらく最高評議会に一番加担していたであろうレジアスを大義の名のもとに粛清することが目的なのだろう。
そのためにあの三提督まで人質に取るという暴挙に出たのだから。

しかし、それでも二つ目の要求は到底受け入れられないことである。
確かに最高評議会は裏で様々な非道な行為を行ってきたことは確かな事実だ。
それでも時空管理局全体が関与していたわけではない。
中にはその行い自体知らなかった、そして真面目に職務に全うしていた管理局職員がほとんどだ。
全制度の撤廃という事は今まで築き上げてきた管理局の歴史も葬ることになる大惨事な事態になる。
そんなことになったらほとんどの管理世界が無法地帯と化してしまい、犯罪が減るどころかむしろ増加してしまう。
ジグルドにそこまでの考えが及んでいないのか、と問われてしまう話になってくる。
そう、もうジグルドはすでに提督という役職ではなく第一級指定犯罪者というレッテルが張られて現在多くの部隊に所属している魔導師や執務官が彼および彼の部隊であるブリューナク隊の逮捕に動き出している。
しかし、そう簡単に逮捕に乗り込めないのが今の現状である。
まずは市民による最高評議会元メンバーとそれに関与していた研究者に対する非難の暴動が各地で起こっているので多くの局員がその鎮圧に当たっている。
次にジグルドのクーデター宣言からすでにもう一時間が経過している。
後、一時間後には要求に関係なく最高評議会メンバーが入れられている施設にキリングドール及びブリューナク隊が攻撃を開始し始めてしまう。
最高評議会に関わったメンバーのリストはありがたいことに悪事とともに一緒にネットの海にばら撒かれていたので施設の発見が早かったので警備の手はすぐに回る。
だが市民は彼らの粛清を第一に掲げている。
しかし、粛清=殺されるという図式がすぐに浮かぶのは明白でメンバーのほとんどは恐怖に怯えていて半ば半狂乱を起こしているものも少なくないという。
その対処にも現在多くの魔導師と魔術師が対策を練っているところだ。
………このことによって、出撃できる部隊が限られてきているのだ。
残り一時間では時空管理局本局の本隊の部隊は到着できないからだ。
ここで地上と海での連携ができていないのはJ・S事件の教訓から来る経験則を学んでいないのか、あるいはこんなにすぐに事件が起こることを予期できていなかったのか………おそらく後者であろう。
ともかく地上部隊だけでこの事件に対処しなければいけない。
それで臨時的に出れる部隊は通信越しで会議を行っていた。
当然はやてもモニターの向こうの様々な部隊長と会話をしていた。

『………それで、後一時間後にはジグルド提督………いや、もうすでに元・提督だな。彼の部隊、ブリューナク隊がキリングドールという殺傷兵器を使って各地で幽閉されている最高評議会のメンバーや息のかかったものに攻撃を開始するというが………』
『そのようですな。この中でキリングドールについての詳細な能力を知っているものはいるかね?』

一人の部隊長がそう声を発した。
まずはキリングドールの性能を知らなければ話にならない。
殺傷兵器を使ってくるというのだから用心に越したことはない。
そのための質問。
そこにはやてが「はい」と声を上げる。

『君は………そうか。奇跡の部隊と言われている部隊長の八神二佐か』
「奇跡の部隊などと……恥ずかしいですね」
『そう謙遜しない方がいいぞ。ただでさえ有名なのだからな。……さて、では八神二佐。詳しい資料をお願いできるかね?』
「わかりました。シャーリー、各部隊長さん達に詳しい資料を転送してな」
「了解しました!」

それではやてのそばで待機していたシャーリーが各部隊長に向けて現在判明しているキリングドールの詳しいマニュアルなどを送信する。

『これは……違法とされている実弾を使用する銃に、デバイスではなく本物の実大剣か』
「はい。私達の部隊は今回のジグルド元提督のクーデターに大きく関与しているキリングドールの製作者であるモリア・モルドレッドの事を調査していました」
『最近巷で何人もの最高評議会のメンバーを殺害していたという事件だな。聞き及んでいるよ』
「はい。それで今回ジグルド提督の傍らにモリアの姿も確認できたために同一犯行と断定しました」
『なるほど……』

はやての発言に聞いていた部隊長たちは納得したように頷く。

『しかし……あの『ミッドチルダの正義の象徴』とまで言われてきていたジグルドさんがこのような強行手段に手を出すとは。彼の身になにがあったのか……?』

その部隊長の発言にはやても含めて沈黙が下りる。
『ミッドチルダの正義の象徴』とはジグルドのあだ名であり過去にとある凶悪犯がミッドチルダを恐怖に陥れようとしたことがあり数人の仲間の尊い犠牲者が出たが解決に導いてミッドチルダを救った立役者なのだ。
それをはやては聞き及んでいて、もしかしてと思い、

「……シャーリー、その事件の犯人はなにか関係あるか調べてくれるか?」
「わかりました」

はやての指示ですぐにシャーリーは過去の事件を調べ始める。
はやてははやてでまた会議に耳を傾けようとしたところでシャーリーの「あっ!」という叫び声でまたシャーリーの方へと向いて、

「どうしたんや、シャーリー? 大声出して……」
「い、いえ! もうしわけございません、八神部隊長。ですがジグルド提督と繋がりました」
「………なんやて? 詳しく教えてちょうだい」
「はい。その過去の事件の首謀者はヴィクトールというかつて管理局地上部隊のある部隊の隊長だった男で………その、最高評議会の息がかかったものでした。最高評議会の息のかかったもののリストにも載っていましたから間違いありません」
「そうか……」

それではやてはなにかが繋がったと言う思いと、もうこれでジグルドがなぜこのクーデターを起こしてしまったのかわかってしまった。
そう、ジグルドの目的は粛清と大義名分を掲げているがその実は復讐という愚かな行為なのだと。
誰かがいつかは起こすのではないかと思っていただけに起こした人物が人物だけに残念でならないとはやては思った。
それですぐさまにはやては会議で聞いていた部隊長各自にジグルドの過去を送信する。
それを見やるとほとんどのものが「やはり、復讐だったか……」と残念そうに顔を俯かせた。

『とにかく、ジグルドの目的は大体把握できた。あとは対策だ』

それで会議は進んでいく。


◆◇―――――――――◇◆


会議が終了した後、はやては機動六課戦闘メンバーを招集して決まった方針を伝える。

「各部隊長たちとそれぞれ意見交換などをして話し合った結果、私達は戦力を分散することになった」

それを伝えると全員が「やっぱり………」という表情になった。
その一番の理由としては機動六課戦力はかなりの人数であるからだ。
もちろん理由としてはサーヴァントという最大戦力を保持していることとJ・S事件を乗り切った猛者たちの集まりだというのも理由に挙げられる。

「それでまずヴィータを抜いたなのはちゃん、オリヴィエさん、スバル、ティアナに補助としてヴァイス君のスターズ第一部隊で指定した場所に三十分後に向かってほしい」
「了解だよ、はやてちゃん」
「わかりました、はやて」
「了解です」
「了解しました!」
「うっす!」

五人が返事を返す中、そこで声を出す人が一人。

「なぁ、はやて。あたしはなんで入っていないんだ……?」

ヴィータが当然の疑問を口にする。
ヴィータはなのはを守ることを第一優先にして考えている。
だから分けられることに対して少しだけ不満があったのである。
要するになのはにたいしてデレ状態と言ってもいい。
それを聞かれることを予想していたはやては「うん」と頷き、

「ヴィータの疑問はもっともや。ヴィータはなのはちゃんを守りたいんやもんなぁ~」
「ばっ!? はやて、違うからな!? あたしは別になのはのことなんか……」

それでヴィータは一度なのはの方へと向く。
それに対してなのはは首を傾けながら、

「ん? なにかな、ヴィータちゃん……?」
「………ッ! う、うるせぇー!」
「にゃぁっ!? 私、何も言っていないのに!?」

恥ずかしさがすぐに臨界点を突破したのかヴィータは吠えて、なのははそれで泣きが入る。
そんなほほえましい光景に、しかしはやては時間を押していることも考えてすぐにヴィータをなだめる。

「まぁまぁ、ヴィータ少し落ち着き。なのはちゃんとわかれる理由はな。今現在シホちゃんがアルトリアさん、ネロさん、ギンガとともに捜査に向かった後に行方不明になっているのはもうみんなわかってるな? だからその処置としてヴィータはランとレンを指揮してほしいんよ」
「な、なんだよはやて。それを先に言えって!」
「ごめんごめん。それで第二部隊のメンバーはヴィータ、士郎さん、キャスターさん、ラン、レンの急ごしらえのセイバーズ第二部隊や」
「わかったぜ、はやて!」
「了解した。せいぜい足手まといにならないように努力しよう」
「わっかりましたぁ! このタマモ、働かせいただきますよー!」
「が、頑張ります!」
「J・S事件で活躍できなかった分頑張ります!」

ヴィータ達五人も元気に声を出す。
この中で一番の戦力はやはりシホと同等の能力を持つ士郎だろう。
遠中近で活躍できる貴重な存在だから重宝されることは間違いない。

「そしてフェイトちゃん、ランサーさん、シグナム、エリオ、キャロ、フリードのライトニング第三部隊や」
「わかったよ、はやて」
「おう、この槍に勝利を誓うぜ」
「ならば私もレヴァンティンにかけて勝ってみせます」
「頑張ろうね、キャロ!」
「うん、エリオ君!」
「キュクー!」

フェイト達も気合を入れて返事をする。
やや近接戦闘寄りのメンバーに傾いてはいるが、しかしそれでも十分な戦力である。

「そして最後に私八神はやて、リイン、ライダーさん、志貴、アルクェイドの主力級の集まりである第四部隊で戦場を引っ掻き回すわ!」
「はやてちゃんも前線に出てくるの!?」
「まぁ、そうなんよ。戦えるものは猫の手も借りたいところらしいから出し惜しみは無しや!」

そう言ってはやては意気を上げていく。

「そして最後にみんなに伝えることがある」

はやての言葉に全員がはやての方へと振り向いて言葉を待つ。

「ジグルド提督の部隊、ブリューナク隊には知り合いがいる子もおるやろう」

それでエリオとキャロ、ランにレンは少し俯く。
以前に警備の時にお世話になったロボやセイラ、凰華達の事を思い出しているのだろう。

「今回の戦いはつらい現実も見えてくる。あちらにも事情はあるやろう。そして掲げている正義もあるやろう………でも、彼らの行動は絶対に間違っとる。だから必ず捕まえて犯罪を未然に防ぐんや。もう、私達にはこれくらいしかジグルド元提督達の暴走を止める術はないんやからな。説得もなんでも使うんよ! みんな、気張りや!!」
『はい!』

それで全員は気持ちを切り替えてこれからの戦いに思いをはせた。

「それとアインス」
「なんですか、主はやて?」
「もし、シホちゃん達が私達がいない間に機動六課に帰ってきたら先に戦場で待っているって伝えておいてな?」
「わかりました、伝えておきます」
「ザフィーラにシャマルは機動六課の守りをお願いな」
「任された」
「はい、はやてちゃん」

それで機動六課の居場所を預かるリインフォース・アインスとフィアット、すずか、ザフィーラ、シャマルに見送られながら一同は分散してそれぞれの戦場へと足を運んでいった。
彼らの暴走を止めるために………!


 
 

 
後書き
機動六課、出撃します。
次回はシホ達がどうしているか書くと思います。


それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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