オズのムシノスケ
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第九幕その四
「私も研究して調べたのだよ」
「そういうことですね」
「身体にいいものを食べるからこそ体調がよくなる」
「オズの国でもですね」
「そのことは同じなんですね」
「そうなのだよ、だから私も研究してドロシー嬢にも他の皆にも教えているのだよ」
教授はいささか勿体ぶった様な調子でお話しました。
「食事の栄養のことを」
「そう、やっぱりね」
また言うドロシーでした。
「ちゃんとしたものを考えて食べないとね」
「身体の調子が悪くなる」
「そういうことですね」
「そうよ、だから朝からね」
今の様にというのです。
「考えてるのよ」
「お野菜も果物もですね」
カルロスも言います。
「ちゃんと食べる様に」
「そうなの、朝から栄養のバランスよくね」
「しっかりと食べてですね」
「元気にやっていきましょう」
「それが一番ですね」
「そうよ、それとね」
ここで、でした。ドロシーはです。
恵梨香に顔を向けてです、この娘に言うのでした。
「恵梨香、ちょっといいかしら」
「はい、どうしたんですか?」
「貴女この前面白い食べものこと言ってたわね」
「確かホヤでしたね」
「そう、それをね」
そのホヤのことを言うのでした。
「食べてみたくなったわ」
「ホヤですか」
「どんなものかって思ってね」
「ううん、ホヤは」
どうかとです、恵梨香は首を少し傾げさせてなのでした。そのうえでドロシーに言いました。
「オズの国にあるでしょうか」
「オズの国はアメリカで食べられるものは何でもあるわよ」
「それでもホヤは」
「ないの?」
「確かに日本ではホヤを食べますけれど」
それでもというのです。
「食べる人は少ないです」
「そうなの?」
「東北の方で少しです」
「食べる人がいるだけなの」
「東北では結構食べるみたいですけれど」
それでもだというのです。
「あまり」
「多くないのね」
「はい、日本全体で言いますと」
「ホヤって確か」
カルロスもここで言います。
「あれだよね、海で採れる」
「そう、海鼠みたいなものでね」
「噂には僕も聞いてるけれどね」
「カルロスも食べたことないわよね」
「神戸にはないよね」
「ええ、神戸は関西だから」
この地域にあるからだというのです。
「今じゃ注文したりして手に入れることは出来るけれど」
「それでもだよね」
「あまりね」
広く食べられているかというと、というのです。
「食べないから」
「神戸ではそうだよね」
「神戸は明石から海の幸が一杯採れるけれど」
「ホヤはないね」
「そう、ないから」
だからだというのです。
「あまりね」
「美味しいのかな」
「ううん、どうかしら」
首を傾げさせて言う恵梨香でした。
「かなり癖が強いのよ」
「恵梨香は食べたことあるんだ」
「お父さんがネットで取り寄せてね」
そうして食べたことがあるというのです。
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