オズのムシノスケ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八幕その七
「太陽の方が気持ちよく服を脱げるね」
「北風だとかえって守ってしまいますね」
「そう、暖かくさせてね」
「そうして起こす」
「それがオズの国のやり方だしね」
そうしてというのです。
「賢いやり方なんだよ」
「それじゃあ僕達にも」
「勿論だよ、太陽だよ」
そちらのやり方でだというのです。
「そうさせてもらうからね」
「わかりました」
「さて、では僕達もね」
「大学に行かせてもらおうかな」
かかしと木樵も言うのでした。
「皆でね」
「行っていいかな」
「ええ、勿論よ」
二人の最も古い友達であるドロシーが最初に笑顔で答えました。
「それじゃあ今回もね」
「よし、それではね」
「一緒に行こうね」
こうしてでした、かかしと木樵も一緒に大学に行くことになりました。一行はさらに賑やかになりました。その賑やかな中で、です。
かかしはふとです、腕を組んでこんなことを言いました。
「さて、それにしても」
「それにしても?」
「ボタン=ブライトは本当に神出鬼没な子だけれど」
その彼のことを言うのでした。
「彼は最初にドロシーに会った時もね」
「ええ、どうしてそこにいるのかわからないってね」
「言ったんだったね」
「それから時々ね」
「会っているね」
「いつも気付いたらいるのよ」
「元々はオズの国の住人じゃないんだよね」
そうした意味ではドロシーや五人と同じです。
「かといっても何処で生まれ育ったか」
「私も調べているのだけれど」
教授も言います、オズの国きっての知識派であるこの人もです。
「よくわからないんだよ」
「謎の子なんですね」
「そう、謎なんだよ」
こうカルロスにお話するのでした。
「アメリカ生まれなのかな」
「そうじゃないかしら」
ドロシーの返事もあまりはっきりとしないものでした。
「ひょっとしたら他の国かも知れないわ」
「日本ではないですよね」
これはないとです、恵梨香が言いました。
「あの子髪の毛も目も黒じゃないですから」
「そのことは間違いないわね」
ナターシャが恵梨香に言います。
「あの子はアジア系ではないわね」
「白人よね」
「ドロシーさん達と同じね」
「じゃあアメリカ人かしら」
「本人に聞いてもね」
「そうしてもね」
ジョージと神宝は少し苦笑いになって言いました。
「わからないだからね」
「そう言うからね」
「だからね」
「何処の生まれかわからないんだよね」
「オズの国の何処かの生まれじゃないかな」
こう言ったのはカルロスです。
「ほら、ローランドとかリンティンク王の国とかね」
「他には島国もあったわよね」
恵梨香も言います。
「ドロシーさんがリンキティンク王と一緒に航海したあの」
「あっ、あの時ね」
リンキティンク王と聞いてです、ドロシーも応えます。
「あの時のことを考えるとね」
「あの子はそうした国の生まれかも知れないですね」
「かも知れないわね」
ドロシーも恵梨香の言葉に応えます。
ページ上へ戻る