八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十二話 気さくなタイ人その四
「あのピッチャー調子いいわね」
「基本能力も高いヨ」
「中継ぎとしては最高と思うある」
「あれで打たれるんだからネ」
「まさに呪いあるな」
「甲子園の呪いは別格でしてよ」
あまり、というか全く有り難くないことを言う円香さんだった。
「まさにあらゆる運気を捻じ曲げるものでしてよ」
「流石カーネル=サンダースと魔物だ」
留美さんは皮肉なしにこう言った。
「魔王に匹敵する強さだな」
「それはどちらもでしてよ」
ケンタッキーのおじさんも魔物もというのだ。
「だからこそですわ」
「マウンドのオーラも強いのだな」
黒いそれがだ。
「そういうことだな」
「ええ」
その通りだとだ、円香さんは留美さんに答えた。
「まさに」
「全く、縁起でもない」
「音楽でどちらもj払えれば」
先輩の言葉は切実なものだった。
「いいのですが」
「魔王クラスの怨霊達をか」
「それが出来ればいいのですが」
留美さんにもだ、先輩は答えた。
「若しくは塩か何かで」
「お祓いで消えてくれるだろうか」
「難しいですわね」
円香さんは留美さんの言葉に暗い顔で答えた。
「どちらも」
「そうか」
「強過ぎますわ」
これまた実に縁起でもない言葉だった。
「人では無理ですわ」
「くっ、ではこの試合は」
「まずいですわね」
本当に縁起でもない言葉が続く。
「逆転も」
「ううむ、嫌なことだ」
留美さんは円香さんの言葉を聞いて歯噛みした、そして。
「こうした時の阪神はな」
「本当にですわね」
「打たれる」
一点で終わらずにだ。
「いつもな」
「阪神はそうしたチームですわ」
「呪いのせいだな」
「魔物もカーネル=サンダースも他の球場にもついてきますわ」
甲子園だけでなく、だ。
「ですから」
「何ということだ、しかし」
「今日は、ですわね」
「勝って欲しい」
日笠さんの言葉は実に切実なものだった。
「ここで勝てれば大きいからな」
「本当にね、この試合はね」
美沙さんも留美さんに応えて切実に言う。
「正念場の一つね」
「阪神はこれまで正念場を幾つも落としてきた」
「それも毎年ね」
「ようやくそれが終わったのだ」
だから日本一になれた、ここぞという時に勝てないチームが日本一になれる筈がない。リーグ優勝すら出来ない。
「だからだ」
「魔物もカーネル=サンダースも」
円香さんの言葉も切実だった。
「巨人につけばいいのですわ」
「そうそう、只の最下位じゃなくてね」
美沙さんはこうも言った。
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