オズのムシノスケ
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第八幕その四
「刃物で」
「刃物ね」
「刃物は」
「悪いけれど」
ドロシーはまたしてもでした、困ったお顔になってそのうえで答えたのでした。今度はナターシャに対してです。
「それも出せないわ」
「私も持っていないよ」
教授もでした。
「刃物はね、果物を切るナイフ位しかないよ」
「ナイフだと」
「あの蔦相手ではね」
「太刀打ち出来ないよ」
蔦の数は多くしかも一本一本が太いです、若布みたいな大きさです。
「あれが相手ではね」
「そうですね」
「何か本当に」
「うん、今の私達ではね」
「打つ手がないですね」
ナターシャもこう言うしかありませんでした。
「残念ですけれど」
「だから避けてね」
そうしてと言う教授でした、教授にしてもここで皆の迷惑になる蔦をどうにか出来ないことを残念に思っています。
しかしです、打つ手がないからこそ。
「大学に戻ろう」
「それしかないですね」
「大学に戻ってね」
ドロシーはこう言うのでした。
「そしてね」
「ボタン=ブライトを起こして、ですね」
「そう、そしてエメラルドの都に戻って」
そうしてというのです。
「魔法使いさんかグリンダの魔法の火でね」
「燃やすんですね」
「そうしましょう、今の私達ではどうしようもないわ」
それ故にというのです。
「今は避けましょう」
「それで帰るんですね」
「ここで捕まったら元も子もないわ」
ドロシーも仕方なくこの考えに決めるしかないのでした。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
ナターシャも頷くしかありませんでした、そうしてです。
四人にです、こう言いました。
「それじゃあね」
「そうね、仕方ないわね」
「何も手がないのならね」
恵梨香とカルロスが最初に応えました。
「だからここはね」
「ドロシーさん達の言う通りね」
「避けるしかないんだね」
「今回は」
ジョージと神宝も言うのでした。
「まずは大学に戻って」
「それからになるね」
「どうしようもない状況で避けられるのなら」
それならというのでした。
「向かわないこともやり方なのね」
「僕達のやり方ではないけれどね」
それでもとです、トトも残念そうに述べます。
「そうするしかないよ」
「それじゃあね」
ドロシーが皆に言います。
「避けて通ろう」
「はい、わかりました」
「残念ですけれど」
こうお話してでした、そのうえで。
皆は蔦を避けて通ろうとしました、しかし。
ここでなのでした、一向に後ろからでした。声がしました。
「あれっ、ドロシーさんじゃないか」
「教授もいるね」
「それに恵梨香さん達も」
「トトまでいるじゃないから」
「あっ、かかしさんに木樵さん」
カルロスが最初にその後ろの方を振り向きました、見ればです。
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