オズのムシノスケ
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第八幕その三
それを見てです、教授は言うのです。
「あれだけ多いとね」
「僕達全員がですね」
「うん、捕まってしまうよ」
それで危険だというのです。
「迂闊には近寄れないよ」
「しかもね」
ドロシーも言うのでした、ここで。
「私の誰も火を持っていないわよ」
「マッチ位はあってもですね」
「ええ、あの蔦を燃やせるだけの火はね」
そこまではというのです。
「ないよ」
「そうですね」
「だからね」
それでだというのです。
「いざ燃やすにも」
「火もですね」
「それもないのよ」
「火を出すのなら魔法か道具ですね」
カルロスは具体的な火の出し方を述べました。
「そうなりますね」
「そう、どうしたものかしら」
「今回はね」
流石にと言う教授でした。
「打つ手がないから」
「避けますか?」
「そうしよう、確かに蔦は道を行く人の迷惑になるから」
どうにかして除かないといけないことは確かです、ですがそれが出来ないから仕方がないというのです。
「避けよう」
「そうするしかないですか」
「何かを出来たらいいよ」
その時はというのです。
「けれどね」
「何も出来ない時はですね」
「危うい場所には近付かないこともね」
「大事ですか」
「確かにどうしようもなくても何とかしない時もあるよ」
実際にドロシー達は何度もそうした場面を経てきています、そうしていつも何とか潜り抜けているのですが。
それでもです、今はといいますと。
「今はそうした状況でないから」
「だからですね」
「今は」
「そう、避けよう」
そうしようというのです。
「そうして大学に戻ろう」
「それしかないですか」
カルロスは教授のお話を聞いて少し残念そうに言いました。
「ここで皆の迷惑になるから何とかしたいですけれど」
「それが出来ないからね」
「仕方ないですか」
「油でもあればね」
ここでこう言った教授でした。
「別だけれど」
「油ならね」
それならと言って来たのはドロシーでした。
「テーブル掛けから出せるけれど」
「それを蔦にかけて燃やせば」
「少しの火でもね」
それこそマッチ位の火でもです。
「油が燃やしてくれるから」
「何とかなりますよね、その時は」
「そう、けれどね」
それでもだというのです。
「蔦に捕まるから」
「近寄れないから」
「油がどうにかなってもね」
それでもなのでした。
「蔦に捕まるから」
「蔦を切れば」
ここでまた言ったのはです、ナターシャでした。
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