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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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カルテット

翌日。
つまりカルテット当日となった。
大した作戦ではないものの、確実である俺のスタンドプレーは
必ずチームを勝利に導くだろう。

「もうすぐカルテット開始の合図だ。
皆、準備はいいか?」

このチームのリーダーである遠山が警戒を促すように言った。

「まぁ手はず通りに隠れる場所を見つけといてくれ」

「…頼んだぞ」

「失敗したら轢いてやるからな!」

「あはは…頑張ってね」

一応このカルテットは模擬戦みたいな物だろうに…
そこまで肩に力いれる必要無いだろうよ。

「……始まったか」

開始の合図を知らせる銃声が一発。
俺は何もない平らな場所に出る。

「おい!そんなところに突っ立ってたら狙われるぞ!」

「ダイジョブよっと」

"チュィンッ!"

どうやら俺の足を狙っていたようだ。

「みーつけた」

目標発見。
移動などさせない。

俺は走りだし高いビル。つまり俺の予想していたビルへと向かう。
目測で見ると翠の髪の女が驚いた顔をして移動をしようとしている。
残念だがーーーーー

「ーーーーー逃がすことは出来ないぞ」

「!?」

俺は既に到着していた。
俺は携帯を取り出して遠山に掛ける。

「もぉしもーし」

『…どうした?』

「もう動いていいぞ」

『何?まだ2分も立ってないぞ!』

「いいからヤれや」

『なっ…ちょっとま"ブッ"』

さて、と。

俺は目の前にいる少女を見据える。
少女は俺をその琥珀色の眼で睨み付け、警戒をしていることがわかる。
また、狙撃用ライフルのドラグノフ…だったか?
その銃口には刃物が付いており、簡易ながら銃剣となっている。

「…貴方は、何者ですか?」

必要なことしか言わず、それでいてクリアな澄んだ声。

「んー、そうだなぁ…入る高校間違えた男ってやつだな」

我ながら的を射ている。
ゼウスが一般校を受験させていたらこんな面倒なイベントに参加しなくてすんだはずなのだ。

「風が貴方とは戦ってはならないと、貴方を警戒しています」

「……風?」

変だな…俺には何も聞こえんが。
こいつ特殊能力でも持ってるのか?

「……お、終了の合図か」

「…その様です」

俺は狙撃の少女とスタート地点へ戻るのだった。






ふぅ……終わった。
疲れたー……。
アイツ等確り勝ったのかねぇ?
形はどうであれ、最後まで狙撃の少女を足止め出来ていたわけだし。
狙撃の少女以外の奴らはAランクだし…。

そんなことを思っていたら、スタート地点についていた。
そこには既に遠山、不知火、武藤がいた。
その表情からして、勝った雰囲気を出してるから勝ったみたいだ。
その時、その場にいた蘭豹が急に喋り出した。

「さて、全員集まったな。結果を発表するで。
予想外だったが、今回勝ったのはEグループのキンジのチームだ」

まぁこれで負けるようなら今度からは
ピンからキリまでスタンドプレーを実行しなくてはならなくなっていた。

「…なぁ…どうやってレキの足を止めていたんだ?」

遠山が聞いてくる。
まぁ普通は気になるだろうがそこまで大したことはしていない。

「別になにもしてないさ。
精々狙撃の少女と世間話をしていただけだ」

「さて、テメェ等ぁ!終わったからさっさと帰れ!」

遠山は何かを言おうとしたが、欄豹の声に阻まれてチャンスを逃した。
俺は蘭豹の言葉を聞くなり、その場から消えるように寮へと帰るのであった。



ーーーーーとある建物の一室。

「まさかあのレキレキのチームが負けるなんてね…。
キンジと言えどまだ無理だと思ってたんだけどなぁ…」

一人の少女はパソコンを立ち上げとある動画を再生する。
それは今日あったカルテットの映像だった。

「……は?誰これ、人間?」

彼女は監視カメラをハッキングし目をつけた人間の活躍を研究しようと言った名目だったのだ。
しかし、その映像には目当ての物が写っておらず、
代わりにと、一人の男子生徒が路上を走り、数キロ離れた場所へと到着すると言う映像だった。
その男子生徒はビルに到着するなり壁を掛け上がって屋上に到達。
残り時間を対談で潰したのだった。

「誰?名前…赤志 ユウジ。
ふぅん…ちょっと気になっちゃうなぁ…」

少女は唇に指を当ててそう呟いた。

「先ずは見極めなきゃね」

少女は少々乱暴ながら、パソコンの電源を落とすのだった。



 
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