八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十一話 生粋のトラキチその八
「同じ歳なんて」
「信じられないといいますと?」
「ちょっとね」
「そうですの」
「というか寿さんって」
詩織さん寿さんに言う。
「ダエさんや千歳さんよりもね」
「大人びてるわよ」
また言うダエさんだった。
「ずっとね」
「そうよね、私達よりもね」
「女子大生に見えるわよ」
美沙さんが言うにはだ。
「留美ちゃんよりも大人じゃない」
「そうだな、私は自分では歳相応だと思うが」
留美さんもだ、寿さんを見つつ話す。
「寿殿はな」
「そこまで年上に見えますか」
「見えるな」
その通りだとだ、留美さんは寿さんに率直に答えた。
「これで気分を悪くすれば申し訳ないが」
「いえ、年齢のことを言われましても」
特にとだ、寿さんは留美さんに素っ気ない声で返した。
「別に」
「ならいいが」
「そういえば昔からでしたわね」
「年上に見られるのね」
「そうでしたわ」
ダエさんにまた答えての言葉だ。
「中学生の時にも大学生と言われて今でも」
「女子大生って言われるのね」
「お兄様がおられるのですが」
何か家庭関係のことも話が出た、こうした話は本当に自然に出る。
「お兄様は二十四でわたくしは十六ですが」
「二十に見られたとか?」
「お兄様の奥さんかと言われましたわ」
何と人妻ではないかと呼ばれたというのだ、十六歳にして。
「最初言われて驚きましたわ」
「そういえば言われてみればね」
「見えるネ」
「そうあるな」
ジューンさんと水蓮さんもダエさんのその言葉に頷く。
「日本の奥さんにネ」
「見えるあるよ」
「そうですの。ではわたくしはやはり」
「かなり年上に見えるわね」
また言うダエさんだった。
「少なくとも私よりずっとね」
「このまま言われ続けるのでしょうか」
「ううん、多分だけれど」
僕は寿さんが自分の未来について言及したところでだ、それはどうかと思って実際に寿さんに対してこう言った。
「少し違うと思うよ」
「そう仰る根拠は」
「大人びて見える人ってそのままね」
「大人になってもですのね」
「うん、そのままだっていうから」
「ではわたくしが二十歳になっても」
「その時で歳相応って言われるんじゃないかな」
こう寿さんに言った。
「うちの親父の言葉だけれどね」
「でしたらいいですわね」
寿さんは僕のその言葉を聞いて納得した顔で頷いた、そのうえで。
僕にだ、こんなことを言った。
「大家さんのお言葉に感謝致します」
「いや、そこまではね」
「別に、ですのね」
「いいよ、それとね」
「はい、それと」
「七回の攻防がはじまるから」
それで、とだ。寿さんに話した。
「それを観よう」
「そうですわね、ラッキーセブンですわね」
「ここで動けばね」
「阪神が得点を入れられれば」
「大きいよ」
この試合においてだ。
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