オズのムシノスケ
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第七幕その十
大学に戻ります、カルロスはそのドロシーを見て言いました。
「あの、水筒はバスケットボックスの中ですよね」
「そうよ」
ドロシーはカルロスに笑顔で答えました。
「この中に全部入ってるのよ」
「お菓子もですね」
「だから安心してね」
「いえ、持ってることじゃなくて」
カルロスがここで言うことはといいますと。
「重くないですか?」
「このバスケットボックスが?」
「はい、お菓子が沢山入っていて」
「ジュースも入ってて」
「それで重くないですか?」
「いえ、全然よ」
重くないというのです。
「心配しなくていいわ」
「そうなんですか」
「このバスケットボックスは何でも沢山入ってね」
そしてというのです。
「それでなのよ」
「重さもですか」
「感じさせてくれないの」
「魔法のバスケットボックスなんですね」
「魔法使いさんが私に作ってくれたの」
あのオズの魔法使いです、かつてオズの国の主であり今はオズの国の素晴らしい魔法使いになっています。
その人がです、古い友人であるドロシーに作ってくれたのが彼女が今左手に持っているそのバスケットボックスだというのです。
「だからね」
「重くなくて」
「そう、簡単に運べるからね」
「よくこうした時は」
「こうした時?」
「女の人がものを持つよりも」
それよりもというのです。
「男の人が持つべきだって言いますから」
「レディーファーストね」
「よかったら僕が」
「あの、僕も」
「宜しければ」
ジョージと神宝も言います。
「かさばる様でしたら」
「持ちますけれど」
「僕達が順番で」
「いいわよ」
ドロシーは三人にです、笑顔でこう返しました。
「だって全然重くないから」
「だからですか」
「いいんですか」
「ええ、それにかさばる様でしたら」
それならというのでした。
「小さくしてポケットにも入れられるし」
「それで、なんですか」
「そう、気にしなくていいわ」
レディーファーストでなくともというのです。
「それに私そうした気を気を使ってもらうことはね」
「そうしたことはなんですね」
「私の場合はいいから」
「自分のものはですか」
「そう、自分で持つから」
だからだというのです。
「気にしなくていいわ」
「ドロシーさんがそう仰るのなら」
「ええ、そういうことでね」
「わかりました」
カルロス達は納得しました、それならとです。
こうしてドロシーがバスケットボックスを持つことになりました、、ボタン=ブライトの枕元に置くべきお菓子やジュースを入れたそれを。
そうしてでした、一行は大学へ戻る道を進みます。その道中です。
教授は大学の方を見てです、こんなことも言いました。
「あと少しだけれど」
「何かがですね」
「ここはオズの国だからね」
だからだとカルロスに答えるのでした。
「何かがあることもね」
「頭の中に入れておいてですね」
「そうして帰ろう」
「例え何があっても驚かない」
「そう、それが大事だからね」
それ故にというのです。
「若し想定していないと」
「その何かが起こった時に慌ててですね」
「解決出来ることも解決出来ないからね」
「だからこそですね」
「用心してね」
そうしてというのでした。
「帰ろう」
「そういうことですね」
「さて、大学に帰ったら」
そうしたことも頭の中に入れたうえで、です。
「ボタン=ブライトを起こそう」
「ええ、その為に将軍のところに行ったしね」
だからこそとドロシーが応えます。
「そうして起きて」
「皆でお菓子を食べるんですね」
「そのつもりよ」
まさにとです、ドロシーはカルロスに笑顔で答えました。
「そうしましょう、皆でね」
「わかりました」
カルロスは大学に戻って皆でお菓子を食べることを楽しみにするのでした、それは他の四人もドロシー達も同じでした。
そうして皆で将軍のお家から大学まで戻るのでした。
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