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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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緋弾の世界へ
  いざ入学!…の前の試験

さて、突然なのだが皆は学園ラブコメと言うものをご存知だろうか?
そも、ラブコメとは恋愛の描写が約6割を占める様な話の事だ。
そのラブコメに学園と言う言葉が加われば自然とわかることだろう。

そんな学園ラブコメにはこんな例が存在する。
ある時は屋上で見てしまったイチゴパンツが切っ掛けで恋愛に発展したり、
ある時は学校の塀を乗り越えてきた女子と接触する事で始まったり、
ある時は歪みに歪んだ少年が自分を取り巻く環境に悩んだり、
ある時は転校した先で一目惚れした矢先に自分を慕ってくれる女子に誰を選ぶか悩んだり、
ある時は女性にしか動かすことの出来ない機械を動かして女子高と同等の場所に入学したり…。
上げれば上げるほどに様々なケースが存在する訳だが。

『空から女の子が降ってくると思うか?』
ーーーーと言うフレーズから始まる結構有名なアニメ。
俺自信は知らないが、その物語の主人公はその女の子と一喜一憂して困難を乗りきっていくと言う物語だそうだ。
しかし、この世界でそんな物語(フィクション)は存在しないし有り得ない。
何故ならばーーーーーーー

「おおおおおおおおお!?」

ーーーーーーー降ってくるのは俺なのだから…。








ーーーーーーー 一時間ほど前。

「………」

俺は自宅のリビングにて、寛ぎを体現していた。
あの学校の件から1週間程が経過して、昨日には蒼也がホグワーツとやらに連れていかれ、
今日の朝には才斗が聖洋大学付属中学へと編入を余儀無くされた。

言い方からして被害告知に聞こえるが、俺自身がそう感じたのだから仕方がない。
大体学校なんかに行って何をすると言うのだろうか?
昨日なんて学園に携わる知識を蒼也から五万と聞かされ、
まるで俺が学校に行くことが確定しているかのようだった。

「その通りだな」

「………」

「さぁ、学校へ行こう!」

そんな古臭いテレビ番組の題名を言って何が楽しいんだろうか。
こっちは朝から予定がぎっしり埋まっていると言うのに(嘘)

「さぁ、学校へ行こう!」

RPGの村人か?
金髪長身の濃いキャラ何て豪華な仕様になっているじゃないか。

「さぁ、学校へ「うっさいわボケェ!」煩くない!喧しいんだ!」

「意味合い変わって無いからね?!」

「そんなことは知っている!全知なめんな!」

「威張ってんじゃねぇよシバくぞ!」

「何故そう頑なに拒む!学校は楽しいぞ?
生徒との語らいに遊び場、飽きの無い施設だ!」

「遊び場があるのは小学校までだ!」

「学校は登校する事に意味があるんだ!」

「それは強制参加の謳い文句だって誰かが言ってた!」

誰がとは言わない。八幡大菩薩だ。

「それは参加することへの謳い文句だ!」

「同じ様な物だろ!
登校する奴等に混じるのなら登校しない奴等に混じるのも良いはずだ!」

「それは屁理屈って言うんだよ!」

「屁理屈も理屈だよ!
いいか!俺は絶対の絶対の絶対絶対絶対に学校なんて行かない!」

「………そうか。
分かった…」

ふう、やっと、諦めたか。
つーかここまで入れ込むとかこの神、暇である。

「いってら」

「は?」

油断した。
そう、油断したのだ。
深く考えれば奴が帰るまでが勝負だったと言うのに。

足元に発生した魔方陣は転移魔方陣。
それも世界を跨ぐためのものだ。

「ゼウス……っテメッ!」

「絶対の連呼って…フリだろ?」

「違ぇよバカァァァァァァ………」

「ふう。これで世界は満足するだろう。
これもまた、お前のためなんだぞ。ユウジ…」

吸い込まれたユウジにゼウスが言葉を送る。
誰もいなくなった空間で発せられたその言葉は、イヤに良く響いた。

「ま、向こうの世界でなにするかが見たいってのもあるんだけどな!」

……やはりと言うか、締まりの無い男たちである。









ーーーーーーーと、言うことがあった。

"ドッボォォォォォン!"

水面着陸。
高く上がった水飛沫は太陽の光に反射して虹を作った。

「…ぶはぁっ!」

陸に上がって身を震い、水浸しとなった服を払う。

「俺はお前を殴るぞ…ゼウス!」

俺は天を見上げてそう言った。





「どもー。赤志ユウジでーす。
試験受けに来ましたー」

まぁ例によって道案内(チュートリアル)ってやつだ。
どこどこに行って何々をして~…と。
そんなこんなで来たのが試験会場。
しかし、明らかにおかしい点がいくつかある。

先ずは建て付け最悪だろうボロボロの3階建てビル。
そして試験を受けに来たであろう受験者の血走った眼光。
更には受付で渡された拳銃とワイヤー、手榴弾(グレネード)

「お前らぁ!これから試験始めるぞ!」

な?おかしいだろう?
明らかに今からバトロワ始まるよーみたいな雰囲気なんだよ。

ゼウス曰く、普通の学校よりかは楽しめるとのことだったから来てみたんだけどさ…。
これ明らかに学生に求める試験方法とは思えないわけだよ。

「おい」

大方警察とかそこら辺に関連する就職試験の類いじゃないかと推測。

「聞いとんのかワレぇ!」

「おっと……なんすか?」

後ろからヤクザキックを入れられたのでそれを交わして実行者をみる。
…女か。

「ちっ…さっさと中に入れや。
もう試験は始まっとんのやぞ」

あらま。見渡せば周りには誰もいない。
成る程。これが神隠しか。

「んじゃまぁ、行きますわ」

て言うかもしこれが本当にバトロワ形式の試験だと言うのなら、
誰も倒さず、ただ傍観に徹していれば失格は免れないはずだ。
と言うことは、だ。
失格のために誰も倒さず、何処かに隠れていればOKって話になるわけだ。
ふっふふふ…残念だったなゼウス。
お前は何時俺が試験を真面目に受けると錯覚していた!

そんなことを思いながら俺はボロボロビルに入っていくのだった。



















ーーーーーーーあの時の俺を殴ってやりたい。

受験番号11番

赤志ユウジ

合格

武貞ランクF

何故だ!何故受かっている!
俺は誰も倒してないし!撃墜だってされなかった!
なのに何故だ!答えろジョ○ョーー!












「んー、ここらで座っとくか」

ビルに入って二階へ。
階段近くの狭い部屋に入り、瓦礫の隙間に入っておく。
その上階では既にドンパチやらかしているらしく、発砲や爆発の喧騒が聞こえる。

「皆さん大変ですね…と」

誰かが近くにいる。
気配と視線が俺を映しているようだ。

さてどうする?
さっさと気絶させる?
いやいや、失格になるためにそんなことをしてはいけない。
しかし、相手も俺を見るだけで動かないでいるようだ。

「………監視か?」

「っ!?……」

ビンゴだ。
俺の一言が聞こえたのか、明らかに学生ではない顔をした男がゆっくりと現れた。

「俺に気づいたことは誉めてやる。
だがひとつ聞こう。何故ここから動かない?」

「わはは。受かりたくないからだバカヤロー」

「…なら何のためにこの試験に参加した。
受けたくないのなら辞めておけば良かっただろう」

いやー、確かにね。
でもこっちにだって理由があるわけでね?

「参加することに意義があるって言葉…しってるか?」

「ピエールだかの演説か?
それは詰まり、この試験に参加する思惑があったと言うことか」

「残念ながら違う。
この参加することに意義があるってのは強制参加の謳い文句なんだよ」

「………は?」

「わからないか?
詰まり、俺はとあるアホンダラからこの試験に強制参加を企てられたんだ。
知らされたのは今日の朝。
試験内容はバトロワ。何これ虐め?」

「……」

「さっさと試験終わらないかなぁ…」

ホント……制限時間いつまで?
待つのが退屈なのはじめて知ったよ。

「いや…不本意なのは認めるが…やれるだけやってみないか?」

「その言葉はやる気をそぐ言葉として有名だな。
俺、やっても意味の無いことはやらない主義だからさ」

「はぁ……」

「そんな溜め息ついたら幸せ逃げた上に蹴りが飛んでくるぞ」

「は?………ぐぇっ!」

男は気付かなかったのか、後ろから迫っていた学生に後頭部を蹴られて気絶した。

「ふぅ…粗方片付いたか?
…後は一階か…」

学生は颯爽と走りだし、気絶した男をほかって一階へと行ってしまった。
……俺に気付かずに。

「やれやれ、最近の若いやつらは物騒だねぇ…」

俺は瓦礫の隙間から一歩も動いていない。
ならば何故見付からなかったのか。
簡単だ。瓦礫と同化しただけだからな。
ほら、忍者物によくあるだろ?隠れ蓑術とか。
それと同じで俺の身体を取り巻くように幻術を使って瓦礫と見分けがつかないようにしたのさ。

"ビビーーーーーッ"

「ん?終了の合図か?」

俺は立ち上がり、未だに気絶しているおっさんを抱えて下へと降りていった。











この試験結果に明らかな不正があるとぼかぁ思うわけですよ。
もう受験態度からナニまでやる気を感じなかった俺に合格を渡すのはどうかと思うんだけど。

「そこんとこどうなの?」

「んなもん知るかいボケェ」

ホント口が悪いなこの女。
タバコ吸ってるし、一本寄越せよ。

「入学式は明日やからな!
遅れたらシバく!開催!」

まてコラ。時間と場所くらい言えや。
何周知の事実見たいに解散までもってってんの?
バカなの?死ぬの?

「なぁ…ちょっといいか?」

「…あぁ、確か俺に気付かずに一階に行っちゃった学生君」

「…何?」

「ほら、お前さんが後頭部蹴り飛ばした男がいただろ?」

「あ、ああ…」

「俺はその正面に居たんだけど」

まぁ気付くことが出来たら凄いけどな。

「嘘だろ…ヒステリアでも気付かない…?」

「で、何のよう?」

驚愕している学生君に問うてみた。

「いや、大したことじゃないんだが。
ランクは何だったのかなってな…(ヒステリアモードの俺が気付かない上にこの試験を生き残った。
それなりに高いと見て間違いないだろう…)」

「Fだな」

「……………は?」

「Fだ」

「…………はぁぁぁぁ!?」 
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