オズのムシノスケ
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第七幕その六
「皆で食べて飲みましょう」
「わかりました」
こうお話してでした、そのうえで。
皆で将軍のお家で作っているお菓子や飲みものを楽しむのでした、カルロスは将軍の果樹園に実っていた青いシュークリームを食べて言いました。
「とても美味しいです」
「そうでしょ」
「はい、とても甘くて」
「しかもその甘さがよね」
「癖がないです」
だから余計にというのです。
「美味しいです」
「そうよね」
「将軍が育てたお菓子ですよね」
「オズの国のね」
「そしてマンチキンの国にあるから」
「青くて」
それにというのです。
「この甘さなのよ」
「癖のない甘さですね」
「あっさりとしたね」
「マンチキンのシュークリームはこうなんですか」
「大体ね。ただね」
「ただ?」
「同じマンチキンのシュークリームでも場所によるわ」
作る場所によるというのです。
「味が違って来るのよ」
「そこは僕達の世界と一緒ですね」
「そうそう、カンサスでもね」
ドロシーは青いチョコレートを食べています、どのチョコレートも小さい摘める位の大きさでハート型になっています。
そのチョコレートを食べながらです、ドロシーは彼女の故郷のお話をするのでした。
「作物は場所によってね」
「味が違ったんですね」
「そうなの、もっと言えばアメリカの中でもね」
「作る場所によってですね」
「同じ麦でもね」
大麦でも小麦でもです。
「味が違っていたわ」
「そういうことですね」
「だからね」
それで、というのです。
「オズの国でもそうなのよ」
「同じシュークリームでも」
「青い色でもね」
「味は違うんですね」
「そうなのよ」
「そして作る人によっても」
将軍の旦那さんも言ってきました、旦那さんはパイを食べています。このパイも将軍と旦那さんの果樹園で実っていたものです。
「味が変わるんだよ」
「じゃあこのお菓子が美味しいのは」
「うちの女房のお陰だよ」
何につけても、というのです。
「うちの女房は畑も果樹も上手にやっていくからね」
「味もですね」
「よくなるんだ」
「いい腕がいい味を作るんですね」
「そうだよ」
まさにそうなるというのです。
「それは他のことでもだよね」
「そうですね、サッカーでも」
カルロスは自分が大好きなこのスポーツを引き合いに出しました。
「上手な人は凄いプレイをします」
「そういうことだよ」
「学問もですな」
教授はチョコレートを食べた後でお茶を飲みつつ述べました、紅茶の味ですがその色は綺麗なコバルトブルーです。
「よい学者が書いた論文はよいものです」
「教授のお仕事ですね」
「左様、これでも毎日書いておりますぞ」
教授は旦那さんに笑顔で答えました。
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