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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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椿を見よ


椿の花言葉

至上の愛らしさ
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椿を見よ





波の国から帰還し、木の葉で鍛錬、任務の繰り返し

そんな日々に疲れが溜まっていたのか、起きぬけに吐血し動けなくなり、ナルトが泣きながら俺を病院に運びこんだ


「入院させます」


担当上忍ということで呼び出された先生と、泣きながらオレにすがりつくナルトに向かって医者はそう言った

こうしてオレは問答無用で入院させられた


「まさか・・・集中治療室に入院とは・・・」

「ゴホッ・・・君も難儀な体ですねぇ・・・」

「まだ若いのにねー」


今ではお馴染となった面子

そう、知る人ぞ知る、木の葉病院の三馬鹿患者が勢揃いしているのだ

基本入れ替わりで入退院を繰り返していたため、同部屋で顔を合わすというのは初めてだ


「ハヤテさん、咳きこみ過ぎて肋骨折ったんですか・・・
 オレも気をつけないと・・・」

「コン君も十分気を付けてくださいね、意外とキますよ
 しかしカカシ上忍も眼精疲労で入院とは・・・」

「今度ばかりは無許可で写輪眼摘出されるかと思ったよ」


はぁ・・・と三人揃って肩を落とす

最近は医者の言動が棘だらけで悲しい

カカシがイチャパラを取り出した

お前眼精疲労で入院してんのに・・・また医者に怒鳴られるぞ

そう思っていたらカカシが何者かに殴り倒された

検温にきた看護婦が言うには、何度言っても懲りないカカシを痛めつけるためだけに暗部を雇ったらしい

また、見舞いの名目でイチャイチャし始めるハヤテとその恋人暗部の対策として暗部モテない連合までもが病室を見張っているとか


「・・・オレは・・・?」


大丈夫だよね?何もしてないよね?と看護婦にすがりついてみるものの・・・

少しでも病院を脱走しようものなら、森乃イビキ&みたらしアンコのドSコンビを差し向ける手配がすんでいるそうだ


「病院こわい」


数時間後、6班メンバーと任務帰りの森乃イビキが一緒に見舞いに来てくれた

思わず何でも吐きますと泣き続けた

病院が本気出すとマジ怖い

 















「ようシナイ
 聞いたぜお前の班、Cランク50回達成だって?」


コンのお見舞い用に花を買いに行くと猿飛アスマと10班が居た

そうか、ここが山中イノの花屋だったか


「いつの間にやら、な
 おかげで後始末班とあだ名されるようになったよ」


シュロやイカリが10班とじゃれあう光景を微笑ましく見守る

若いって良いなぁ


「・・・そりゃ、拷問部とかの雑用任務受けるせいだろ」

「今ではうちの班拷問部の癒しだぞ
 特にコン」


そりゃもう、万年寝不足部隊の拷問部に弁当やら茶菓子の差し入れまでしてるからな

しかも蜂蜜はシュロ自家製で妙に栄養が取れると噂される幻の甘味

そのうえ美人のイカリとちっちゃいコンの手作り

未婚の連中から可愛がられるイカリと既婚組みから息子のようだと可愛がられているコンだ


「・・・あの小さい奴か、確かイビキのお気に入りだったか?」


「アンコのお気に入りでもあるな
 ・・・本当、ドSに好かれる子だよ」


イビキ経由で差し入れの菓子が特別上忍へ回ってから、今では会うたびに菓子の催促をされている

よく頬を抓られているのを目撃する

ちなみに、うちの班はいつも誰か1人は甘いもの持ってる

私はあまり甘いもの好きじゃないから持ってないけどな

今だってほら、チョウジに飴やらガムやらチョコを分けている

市販品を持ち歩くのはシュロで、チョコ系統はイカリが、手作り系はコンの担当だ


「昨日もらったブランデーケーキがまだあるんだが、食べるか?」


食べやすいようにとスティック状に切られたものだ

こういうことに気を回すマメな子である


「お前、甘いもの嫌いじゃ・・・」

「酒をたっぷり使ってあるから食べれる
 むしろこれは酒の味しかしない」

「・・・美味いのかそれ」

「これが意外と・・・雪国なら毎日持ち歩きたい逸品だ」


残念ながら未成年には食べさせられないぐらい酒がキツイということか

酒好きの私と紅は喜んで食べる


「まじらず上忍、これから見舞いですか?」


傷だらけの強面男・・・森乃イビキが現れた

この時間帯にこいつが外を出歩くということは任務終わりだな


「あぁ、花でも持っていこうと思ってな
 ・・・お前、その手の甘栗甘の・・・」

「ええ、団子じゃなくて葛きりですがね
 これなら食えるだろう?」

手に持った袋を掲げられる

随分と仲良くなったものだ


「へぇ、本当にイビキのお気に入りだったのか」


アスマが心底驚いたように声を上げた


「コンだけじゃなくて油女や志村も、だがな
 六班全員うちの隊に貰えませんかね?」


なかなか成りたがる者がいない部署だ

人員の確保に忙しいらしい

確かに、六班みたいに嫌悪感を抱かない下忍はそういないだろう


「シュロは暗部に売約済みだよ
 イカリは養父の許可がないとダメだぞ?」


意外と子供に甘いからなあの親は

ちなみにシュロは兄トルネと同じく暗部の根に入るとダンゾウと密約を交わしていた

いつかダンゾウを倒してイカリを嫁に貰うらしい

ダンゾウもその時のために体を鍛えて修行しているとコンが言っていた

娘の父親というのは案外楽しいものらしい


「コンはたしか医療部隊が欲しがってたな・・・実験体に」

「実験体!?」


そうなんだよ、実験体なんだよ


「あぁ、あの新開発の増血丸の被験者って・・・」


特別上忍ってのは噂が流れやすいな

お前らくだらないことでも情報交換しすぎだろう


「コンだ
 確かによく効くようになったけどな新・増血丸・・・」


「「「実験体か・・・」」」


病院で処方されてる薬のほとんどが未許可の新薬だと上が知ったらどうなることやら

本人了承してるからまたややこしい事態になりそう

アスマ達と別れ、コンの将来について語りながらイビキと共に見舞いに行った

コンは看護婦に何やら脅されている最中だったらしく、イビキの顔を見た瞬間涙目になっていた



 
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