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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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九校戦編〈上〉
  FLTのCAD開発センター×飛行術式テスト

フォア・リーブス・テクノロジー(英語発音を忠実に表記するなら「フォー・リーヴズ・テクノロジー」だけど、会社登記及び商標表記を故意に「フォア・リーブス」としている)略称FLTのCAD開発センターは俺達の住居から交通機関を乗り継いで二時間だけど今回は真夜と葉山さんを乗せて二台で向かっている。俺達は使い慣れた道であるが雨だったけど、なぜか快晴だった。恐らく天空神が雨から晴れにしてくれたのだろうと俺は思っているし、容姿も声も擬態前にしている俺と深雪。本社付属の研究所ではなく、こちらの研究室は主に研究中枢であるのでデータが漏れたりは一切した事がない。ここに到着した時は、俺を先頭に深夜と真夜が両サイドの腕を持ちながら歩いているから俺としては歩きにくい。深雪と蒼太、結衣、沙紀、穂波さん、葉山さんが後ろからついて来るが、今は既に研究所の建物内である。

「深夜と真夜と手を繋いでいると、両手に花という例えなのか?あと深夜は俺の妻だが真夜は七草家の妻だろうに」

「いいじゃない、私は確かに七草家の妻だけど四葉姉妹以前の問題だったのだし。元部下だったからね」

「まあ今回は真夜に対しては許しているわよ、それにこうやるのはあまりないからね。元部下で前外史の場合は妻だったのだから」

「それもそうだな、だけど到着したら離してくれよ二人とも。一応俺はここの会長兼トーラス・シルバー何だから」

ここは技術力を売りにする企業の研究中枢であり、蒼い翼関連の傘下会社でありFLTの心臓部でもある。だからなのか、警備もそれに見合った厳重にしているし監視カメラや警備員の数が多い。だが、俺達を呼び止める事はないからなのか、受付は顔パスで通り研究中枢場所である通路をどんどん奥へ進んでいく。そして扉の前に二人の警備員がいたので、IDカードと指紋データを提示してからパスワードを入力してから厳重な扉が開いた。ここからは二人は腕から離れてから俺の隣にして歩くと壁一面ガラス張りの部屋を出てから、ガラスの向こうは半地下吹き抜けの広い格納庫に出た。対面にはこの部屋と同じ部屋と同じような観測室。ここはCADのテストが行われている区画だ。部屋の中では十人以上の技術者や研究員が、忙しなく歩き回り、議論を交わし計測器を動かしていた。

「あっ、織斑会長!」

「深夜様も真夜様だぞ!」

「深雪お嬢様お久しぶりです!」

全員がそうして忙しく働いているにも拘わらず、観測室に入った俺達はすぐに声をかけられた。ここもそうだが、蒼い翼やここもそうだが俺が入ると注目を集め敬意を払えて気持ち良く迎えてられるからか俺もそうだが深夜や真夜、深雪に知っている人物達に挨拶をしてきた。ここはFLTの社長ではなく会長をしているし、蒼い翼や四葉家が出資し設立された会社である。護衛者たちも一礼をしてから俺を中心に集まってくる研究者たち。

「やあ研究者諸君、久しぶりだな。ところで牛山君はいるかな?」

俺に向けられた敬意の視線が我が事のように喜んでいるからなのか、上機嫌の深夜と真夜と深雪というトリプル笑顔の威力が高いのか業務妨害になりそうな感じではあるが最初に話し掛けた白衣の研究員に訊ねるがとても軽いように見えたと蒼太達は見えたと言う。その問いに答えるかのように、人垣の背後から俺が呼んだ人物が来た。

「お久しぶりですな、織斑会長。お呼びで?」

「お前に用件があって呼んだんだろうが、たく、昔から変わらないな。前外史でも性格は変化しないのがおかしいがまあいい」

人の壁をかき分けて姿を見せたのは、ヒョロリと背の高い、ただしひ弱さは微塵も感じさせない、灰色の作業服を着ている技術者だったけどイアンとは違うほどな見た目だった。アフロだが見た目だけで判断してはいけない、アフロだろうと技術者魂を持っている者は歓迎してやるところだ。それに俺との出会いはここの会長となってから、ループ・キャスト・システムを一人で開発したという事を知っているのはここにいる者達だけだ。トーラス・シルバーは俺だが、それだと俺の今後の動きが支障出ちまうからハードウェア開発の高い実力を持つ牛山と共同開発となったからだ。あとここにいる研究員や警備員は皆次元パトロール隊の第3課の者達だから、俺達の正体も知っているのさ。

「ははは、そう簡単には人の性格は変わりませんぜ。相変わらず口軽いですね、まあここにいるのは皆織斑会長の手下というのは表であり、俺らは次元パトロール隊第3課の者だから文字通り本物の部下ですぜ」

「ここは本来は第0課しかいないと思ったが、今回は他の課の者もいるとは思わなかったよ。ここにいる葉山さんも第1課の者だと知ったのは、最近知ったけどな」

「という事は、第1課の部長さんですかい!こりゃ驚きましたね、ま、前置きはここまでにしといて仕事の話でもしましょうや」

葉山さんの事を紹介したらさすがのここのメンツ達も驚いていた。俺達は第0課の者だがここには第1課の部長クラスである忠教だ。欣治(きんじ)は第3課の主任を務めているからか、今回のここも主任で止まっている。俺はハードウェアもソフト開発も両方出来るように、ここに来るまでに技術を叩きこんでくれたのは彼だからな。あとはイアン辺りからの技術を貰っている。

フォア・リーブス・テクノロジーCAD開発第三課の研究主任。この場所は世に言うシルバーモデルの開発部署であるが、俺が個人で開発したというのは外には漏れてない。ホントは司波龍郎開発本部長がいるはずだが、もしかして俺達が早かったのかな?シルバーモデルは、今ではFLTの技術力を代表する製品として世間から認知されているが技術者のはみ出し者を寄せ集めで作られた開発第三課は、云わば厄介払いの部署であった。それをここまでさせたのは、俺がシルバーモデルを開発して世に出した事でFLT社内では、発言力が強くなったのが今現状で至る。ま、それをしたのは俺でありここまで大きくさせたのは会長職についてから、トーラス・シルバーという架空の存在を世界に広めたのもある。技術者や研究者はもちろんの事俺が蒼い翼本社社長という事も知っているからなのか、忠誠心がとても強いところである。

「そうだな、今回は久々に顔出しだけでもよかったが仕事を持ってきた。今回の試作品はこれだ」

蒼太にあれをと言って黒い箱を渡してもらってから、俺が開けた箱の中に入ってたのを牛山が取り出したのだった。牛山は十秒くらい手に取って見詰めていたが、この試作品CAD、T-7型は飛行術式のために試作品として俺が作ったと見せかけて牛山が作った事になっている。そんで試作機をソフトウェア実装済みだとは思うまい。

「もしかしてこれは・・・・飛行デバイスですかい?」

「当たりよ、それは一真さんが開発した飛行魔法ができるデバイスですわ」

牛山の手が震えながらそう答えるので、代わりに深夜が答えたのだった。

「深夜が正解を言ってしまったが、まあその通りだ。俺が作った事になっている試作用ハードに常駐型重力制御魔法の起動式をプログラムした物だ」

「テストは・・・・・」

「真夜と葉山さん以外の者全員やったが、問題なく飛べた。ただし俺達は知っていると思うが、普通の魔法師じゃないからな」

息を呑む音が聞こえたが、まあそうだろうな。いきなり常駐型重力制御魔法という軽い事を平然と言ったからかもしれないが、飛行魔法が出来るデバイスが目の前にあるというからなのかもしれない。そんでしばらく牛山の手にある物を凝視していた。

「・・・・・テツ、T-7型の手持ちはいくつだ?」

「十機ですっ!」

静かに部下に向かい訊ねた後にそう答えが返ってきた後に、しばらく閉ざしていた目が見開いたのだった。

「バカ野郎!たった十機かよ!?何で補充しとかねえんだ!ああ?部品の発注なんぞ後回しだ。あるだけ全部調整機にセットして織斑会長のシステムをフルコピーしろ!ヒロ、テスターを全員呼び出せ!なにぃ?休みだぁ?そんなもん関係あるか!首に縄つけて引きずって来い!残りの野郎共は、今の作業をさっさと中断して精密計測の準備だ!分かってんのか?飛行術式だぞ?現代魔法の歴史が変わるんだ!それと椎原辰郎開発本部長を今すぐ呼んで来い!」

内線が繋がっていたのかは知らないが、この部屋の中だけでなく対面の計測室でも休日出勤していた所員達がバタバタと一斉に動き出した。俺達は邪魔にならないようにして、大型体育館に匹敵する広さと高さを持つCAD屋内試験場。俺達は観測室に案内された後に、椎原辰郎開発本部長が慌てた顔をしながらこちらを見た時は面白いリアクションだった。その天井から通信ケーブルが吊り下げられて、テスターが着込むベストに繋がれた。その手伝いをしている蒼太達であったけど、俺らの護衛者に指示を出したからだ。あのケーブルが命綱に兼ねているからだ。

浮遊の術式は既知のものであり、このテストラボでも測定を経験済みだが、飛行術式は空中に浮かぶというところまでは同じでも背後にある仕組みは全く違う。ジャンプや落下減速とも異なる未知なる魔法である。テスターの顔からは緊張をしているが、蒼太達が声をかけていたので大丈夫だろうな。新種の魔法には、それがよく知られた魔法バリエーションに過ぎないものであってもどんなリスクがあるかは分からない。魔法式の小さなバグが、魔法師を死に至らしめてしまう事もあるからだ。それが全く新しいスキームを用いた世界初の魔法となれば、どれほど用心しても用心過ぎてしまう場合がある。なので護衛者である蒼太達を行かせた。そして準備が終わったので、蒼太達はこちらまで戻ってきたが、本部長がこっちに来た時の会話はある。

「遅れて申し訳ないが、牛山主任!織斑会長!」

「遅いわよ!あなた一真さんを出迎えもせずに何をしていたの!」

「こ、これは深夜様と真夜様!申し訳ありません、こちらに会長が来るのは知っていましたが『もういい、久しぶりだな。司波龍郎』お久しぶりです、織斑会長」

「さてと、これからお見せするのは現代魔法の歴史を変える時が来ましたから。ぜひ開発本部長も見て行ってほしいですな」

という会話があったが、本部長の隣に牛山がいて、その隣に俺達がいる。床面が緩衝素材に切替られ、吊り下げテストを行って、ようやく実験準備完了となった。

「実験開始」

牛山の合図で観測員の安全とテスターの安全両方ある、合図と共にテスト開始された。上から見ているのでヘルメットで顔が見えないが、二十代にして既にベテランと言えるだけのキャリアを持つファースト・テスターが、緊張をした面持ちである事が感じられる。いくらベテランだとしても、この未知なる魔法には緊張してしまうのが当たり前でもある。そしてデバイスのスイッチを入れる動作に躊躇はなかった。

「離床を確認」

「反動による床面設地圧の上昇、観測されませんでした」

視認するよりも早く計測機器の前から報告が飛び交う。

「上昇加速度の誤差は許容範囲内」

「CADの動作は安定しています」

ゆっくりとテスターの身体が上昇するが、それははっきりとテスターの足が床から離れていく。弛んだケーブルが、吊り上げによるものではないと物語っている。観測機器の音と計測結果を報告する声以外、観測室には衣擦れの音すらなかったが全員が動く事を忘れて目の前の光景を計測器の示す数値を凝視していた。

「上方への加速度減少・・・・ゼロ。等速で上昇中」

ゆっくりと浮かび上がるテスターの身体がここ観測室のある高さ3mまで上昇してから目線が並んだ。

「上昇加速度、マイナスにシフト・・・・上昇速度ゼロ。停止を確認」

ここまでは、浮遊術式でも可能な範囲なのでここからが本番だ。本部長も凝視していた。

「水平方向への加速を検知」

誰かが、誰もが、息を吸い込み、息を詰めた。

「加速停止。毎秒1mで水平移動中」

観測報告が耳に入る前に、ハッキリと分かる速度で空中を移動しているテスターの姿が目に入った。

「動いた・・・・」

「飛んでいる・・・・・」

半信半疑の呟きが逆に、目にするものが事実だと実感させたのはテスターの一言である。

『テスター・ワンより観測室へ。僕は今、空中を歩いて・・・・いや・・・・宙を、飛んでいる。僕は、自由だ・・・・・』

予定外の通信がスピーカーから流れ出したのか、それが驚愕と変わり感情のリミッターが外れたのだったと共に俺達は互いの拳を当てていたのだった。深夜達は握手をしていたりしていた。

「やった!」

「成功だ!」

「おめでとうございます、織斑会長!」

「私からも言わせて下さい、織斑会長。あなたは歴史を塗り替えたのです、これは賞賛を値します。改めておめでとうございます!」

牛山の声と共に本部長が来てから、俺に一礼をしてから握手をしたのだった。万歳を叫び始める観測要員に、ランダムな航跡を空中に描くテスター。狂騒を示す所員達の祝福を俺達は受け止めたのだった。そんでしばらくしてからであった。

「お前ら、揃いも揃ってアホか・・・・・・?」

俺達はテスター達がいる実験室に入っていたが、さすがの俺でも牛山と同じ気持ちである。椎原辰郎本部長は早速本社に報告書を作成するために、デスクに戻って行きやがったがまあいい。それを見るのも俺の仕事だからな。牛山が呆れ顔で見下ろしていたのは訳がある、魔法の使い過ぎでダウンしたテスター達を同じく呆れ顔で見ていた俺達だけど。テストは予定時間より大きく超過して、九人のテスター全員の魔法力が尽きるまで続いたのだった。観測が上手く行かなかったのではなく、テスターが止めなかったからである。彼らの要望で命綱を兼ねた有線ケーブルは無線通信に切り替えられ、仕舞いには予定外の鬼ごっこを始める有様だったから俺以下深夜達や蒼太達も呆れ顔。

「常駐型魔法がそんなに長時間使える訳ねえだろうがよ」

現代魔法のほとんどは瞬間的か短時間に発動されるもんばかりだから、継続的に作用する魔法の大半は発動時に作用時間を指定するのであって、連続的に発動し続ける魔法を常用する魔法師は少数だ。例えば高周波ブレードは常駐型に分類されるが、実態はほとんどの遣い手が斬撃の都度、魔法を発動し直しているからだ。魔法を連続発動するテクニック自体が、つい最近まで一部の魔法師の特殊技能とされていたのであり、魔法演算領域内で起動式を自動的に複写して魔法式を連続構築するループ・キャスト・システムの実用化によって市民権を獲得したようなもんだ。

「俺から言わせてもらうと、お前らと俺らじゃサイオン量が違うんだから調子に乗った罰だと思え」

「織斑会長の言う通りでっさ、そのツケは自分で払えよ。超勤手当なんぞ出さねーからな」

幸い後遺症の残るような魔法力枯渇を起こしたテスターはいなかったが、少々調子に乗ったバカテスターだった。シャレになる範囲で済んだからよかったものだ、牛山は抗議の声を鼻先で笑い飛ばし粉砕させて、テスト結果に目を通す俺の許へ歩み寄った。深夜達はここならIS起動できるので、展開してから本物の空を飛ぶという見本をしていたのだった。深雪も久々に展開させてから鬼ごっこを始めた深夜達だった。

「何か気になるところでもありますかい?それと深夜様達は自由に飛んでいますねぇー」

「起動式の連続処理というのは、欲を言えば限がないが今のままだと負担が大きいようだ。ま、俺達のようにサイオン量は違うからな。あとで蒼い翼本社に電話してテスター達に未知なる魔法をテストしてくれたという恩赦で、多少の手当をあげようと俺は思うな」

現代魔法の魔法力の尺度で測れば、俺達は未知なる魔法師であり、現代や古式とも違う魔法という異能の力を保有している俺でもある。エレメンツ使いは建前上であり、本来の力は神の力とでも言った方がいいような力である。魔法の無効化という力も技術化不可の力だ。30年前と今では全然違うが、起動式のノウハウが現代ほど進んでおらず、起動式から魔法式を構築する速度が今とは比べものにならないほど遅かったが、魔法式の効率は低かったし、実効性のある魔法式を構築する為には現代の何倍のサイオンが必要とされていた。当時は魔法式構築速度より魔法師が体内(肉体・精神体を合わせた「体内」)にサイオンに保有するサイオン量が、魔法師の力量を測る尺度だった。当時のサイオン量が俺達と共に最上級の評価を受けるサイオンを保有していたが、今現在では起動式と魔法式、CADというデバイスの進歩によりサイオン保有量が魔法を発動する上では、直接問題ではない。無系統魔法に分類される、サイオンそのものを放出できる術式以外で、サイオン保有量は見栄え以上の意味を通常、持たない。起動式を展開するには魔法式を構築するにもサイオンを消費する事に変わりなく、それが何百回、何千回と繰り返すと魔法師にとって負担と感じるからだ。

「それに関してはテスターの為にはなりましょうぞ、それで問題というのはサイオン自動吸引スキームを効率化する事ですかね?」

「まあな、これに関してはソフトではなくハードで処理すれば問題ないと俺は考えている。負担も減るし、タイムレコーダも専用回路を付けた方がいいでしょう。それとこのデバイスにはある隠しモードがあるのをご存じでしたか?」

「それは俺も同じ考えでしたが、隠しモードとはどのようなので?先ほどデバイスチェックの時にはそんなのはなかったですが」

「隠しモードは俺達しかできない事だ、テスターの者達よ、貸してほしい」

そう言ってテスターが持っていたデバイスを俺達9人に渡してもらってから、バーストモードと音声認識システムが起動したと思いきや全員に翼が生えたのだった。俺は白で深雪は水色、深夜と真夜は紫色、穂波さんと葉山さんは銀色で、蒼太、結衣、沙紀は緑色の翼を展開しながら音速飛行を開始したのだった。トランザム並みの速度だったので、テスターと研究員と技術者たちもこれは凄いと言いながら目では追えていない。そして牛山のところに着地してから解除したけど。

「これが俺達しか使えないバーストモードだ。分かりやすく言うとトランザムシステムを入れたと言えば分かるかな」

「こりゃすげえですぜ!隠しモードというのは、普通の魔法師では使えないモードですな。ここにはいない本部長に追加報告をするにはいいですね」

ハード面の改善ポイントがいくつか炙り出したものの、術式とハードについては大満足となる結果となったからな。市販のCADで平均的な魔法師でも飛行術式は十分可能だと判明した後は、本部長である椎原辰郎も一緒に打ち合わせをしたのだった。打ち合わせ中は深夜達は暇になるので、せっかくここに旧名四葉深夜と真夜が来ているからこの中を案内してもらった。牛山と同じく忠誠を持っている者にな。深雪もついて行ったけど、新製品のデバイスやら今研究しているのだった。

「今回の実験結果を整理した後に、来週中にでも飛行術式のノウハウをトーラス・シルバーの名で発表させてもらいます。まあ本当は織斑会長の手だけで開発された物ですけど」

「それはしょうがないだろう?椎原開発本部長。俺が開発した事にすれば今通っている学校を最悪退学しなければいけない、そうならないために架空の名前を持つ人物を作り出したのだから」

「会長の仰る通りかと、FLT内でもトーラス・シルバーが共同開発した二人の優秀な技術者達だと公表しているんですから。飛行魔法の発表は拙速なくらいが望ましい、今回も『世界初』なのですからな。『世界で二番目』というのは嫌がる会長だという事は、本部長も分かっているでしょう」

一番と二番じゃインパクトが違うし強さが違う。それと隠しモードがあるというのも、一応発表項目にあるがバーストモードは普通の魔法師では使えないという事にして使用者の負担が一番あるからだ。なのでバーストモードは、使用者は限定されているがその人物名は伏せる事にした。飛行術式用の専用デバイスのデザイン面も新しく新設計してから九月(半期決算月)を目処に製品化される。この打ち合わせは長時間となったが、ティーラウンジで待たせた深夜達とはちょうど良く終わらせたようだったのでこちらも満足だ。そして本部長と主任である二人に見送られてから、俺達は帰路についたのだった。 
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