魔法科高校~黒衣の人間主神~
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九校戦編〈上〉
飛行魔法完成
国防軍基地秘密地下で、魔法師専用武装と黒鐵改専用武装であるサード・アイを調整してくれた事で安心して使える事となった。響子は新たなISで、シールドビットやライフルビットを取り出しては色々とテストをしているらしいと俺らが帰った後に聞いた。あと玄信達4名である男性隊員に使えるISのヘッドギアを応用した量子変換により、何もない空間からIS用の武装を取り出す事と特殊伸縮警棒にガイアメモリである『holy』と『Blade』メモリを、試し斬りしたら真っ二つに割れたそうだ。次の日の学校は昨日休んだが問題なくあっという間に夜になっていた。俺とゼロはある魔法の最終調整を終えた所であったところに、この家の住人である深夜、深雪、穂波さん、蒼太、沙紀、結衣が入ってきた。ISとCADを同時調整できるからだ。
「一真さん、深夜とその他大勢だけど、お茶を持ってきたわよ」
「ちょうど良いタイミングだな、全員入って来いよ」
この時間になると必ず全員がこちらに来ては、お茶かコーヒーを持ってくる深夜と深雪に地下アリーナでISの訓練をしていた者に、現代魔法を使っての模擬戦をする者がこのタイミングはいつも通りなのである。俺としてはとても助かる時間であり、ISとCADの微調整をする事になると思って振り返ると俺は驚いた。深雪を見た瞬間、自分が凝視する顔に小悪魔的な満足を覚えてから、深雪はトレーを片手で保持したまま空いてる手でスカートの裾をつまみ一礼していた。
「やっぱり驚くわよね?深雪のこの衣装は」
「ああとても驚いたが、フェアリー・ダンスのコスチュームか」
「正解ですわ、さすがですねお父さま」
「やっぱり奏さんに瓜二つだわ、この子の擬態前は。まあ今は擬態後だったけど」
ヒラヒラとなびくカラフルなシルクテイスト・オーガンジーが幾重にも重ねられたミニスカと、綺麗な脚のラインを惜しげもなく見せつける薄手のレギンスにエナメル調のタイトなショートブーツ。ウエストを絞った後ろ開きのベストは厚みの感じられない光沢素材で作られており、縫製によるものではなく素材自体に曲面を持たせた精確な立体成形で胸をしっかりとガードしている。ベストの下は、肩の部分に余裕を持たせ腕にビッタリと貼り付くレギンスと同じ柄のシャツ。レギンスとシャツではなく、袖の長いユニタードなのかもしれないと思ったが、ベストがないと女子フィギュアスケートの衣装のような感じだ。長い髪を纏めているのは羽の飾りがついた、イヤーマフのような幅広のカチューシャ。空気抵抗と胸部保護を考慮しながら華やかさを兼ね備えた装いは、九校戦でも採用されているスポーツ系魔法競技の花形、ミラージ・バット別名フェアリー・ダンスのコスチュームだった。
「深夜の言う通りだな、擬態前だとホントにそっくりだもんな」
「やはりこれを着て正解でしたね、奥様にお嬢様」
トレーをサイドテーブルに置き、グルっと一周したのを見た穂波さんが言ったので三人はハイタッチをしたのだった。だけど脚を素足として出さないのは俺としては残念ではあるが、昨日見たからまあいいやと俺は思ってから俺はあるCAD端末をコードから引っこ抜いてから言った。
「やはり俺と奏の子だから、何を着ても似合うな。あとは今来た事がとても良いタイミングだ」
「ありがとうございます・・・・?良いタイミングですか」
「深雪!一真さんを見て!?」
俺が褒めた事で一礼をしたが、最後の言葉が疑問となって返礼となったがすぐに深夜達が気付いた事で深雪も俺を見る。椅子に座ったままのはずが、いつもの位置ではなく深雪達を見上げながら浮いていた事だった。腰を下ろしていたのに目線が同じなので、下を見るとあるはずの椅子があった。俺は右脚を上に脚を組み右膝の上に右肘をつき、身を乗り出すような態勢で・・・・何もない空中に座っていた。
「深雪や蒼太達にもぜひこのデバイス実験をしてほしかったところだ」
俺はそのままの態勢でスーッと滑るように深雪達に近づく、そして接近した事でそのまま立ち上がるような動作で床の上に着地をしたのだった。
「・・・・飛行術式・・・・エレメンツの風術やサイキックのようなのではなく、私とお父さまだけの翼展開でもないという事やお父さまが持つ重力制御でもないという事は!」
「ついに完成したのよね!常駐型重力制御魔法が!おめでとう!あなた~!」
深雪が静かに分析している間に床に着地した時に抱き着いてきた深夜だった。で、一歩遅かったが深雪も抱き着いてきた。
「おめでとうございます、お父さま!」
それについては、いずれ完成予定の魔法であった。この術式はずっとゼロや俺と一緒に研究していたというよりかは、月中基地本部にいる本人に聞いてやってみたら出来たという事であるがまあいい。系統魔法、四系統八種に挙げられる「加速・加重」系統で、俺が元々持っているサイコキネシスから発展した最も基本的とされる系統魔法。加速・加重系統により理論的は実現可能とされた飛行術式、常駐型重力制御魔法はその可能性が現代魔法学確立の初期から提唱されているにも拘わらず公式発表されている限りにおいて、今日まで実現していない。今日の昼休みも生徒会室で話題になっていた飛行術式は、理論的には可能でも実行は不可能に近いというのが現代魔法のコンセンサスだった。深雪達の目の前で、現代魔法学の定説にまた一つ覆された。
「一真さんはまたしても、不可能を可能に出来ちゃうのが一番の凄い事かもしれないわ!」
「俺達が歴史的快挙の証人とした事は、俺達にとっても一真様を誇りに思うぜ!」
「ありがとう皆。空を飛ぶ事は今までだったら俺や深雪達IS部隊だったし、古式魔法では実現している飛行術式だけどな。俺の風術とかでは不可能だが、古式魔法のなら可能だと思ったからさ」
「古式魔法の飛行術式など、少数の魔法師しか使えない、属人的な異能ではありましたが。一真さんが作り上げた飛行術式は、理論的に必要な魔法力を充たしていれば誰でも使用可能でしょうね」
そう言った後に俺達は地下アリーナに行った後に、深雪達一人ずつ実験してもらった。深雪、深夜、穂波さん、蒼太に結衣、沙紀と全員ではあるがやはり女性陣達はISの方が飛びやすいと言っていた。皆が握りながら持っていた携帯端末形態のCADで、深夜達が来る前に調整を終えたばかりの物である。似ていると言えば俺達が使っている携帯端末だけど。このCADは特化型のデバイスで、いくら汎用型を使っている深雪達でさえ操作方法は簡単な事である。
オン・オフのボタンがあるだけで、一旦スイッチを入れるとそれをオフにしない限り、バッテリーが尽きるまで使用者から自動的にサイオン(想子)を吸い取って起動式を処理し続けるという事なので、ある意味では暴力的と言える代物である。ただしサイオンの使用量は限界まで抑えられているし、ユーザーの負担を最小限のものとする工夫が設計上コンセプトでなおかつ限界を超えたら自動的に安全装置が発動するようになっている。何も意識しなくとも、サイオンが吸い取られるという感覚は全員理解しているようだったし微量の吸収。
予め教えられていたが、全員が驚くほどの小規模な起動式となっていて全員の処理能力なら余裕があるくらい。そして無駄な部分をカットした効率化された起動式だと。起動式の変数部分にデータをインプットして魔法式を構成だが、通常であれば魔法師が意識しない。魔法師は現実に対する改変を、言語、数式、若しくは映像というイメージで無意識領域に送る。イメージを魔法式のインプットデータに変換するには、魔法演算領域の役割で起動式の変数部分は魔法師が特に強くイメージする部分を指す。魔法師は自分の中に読み込まれた起動式を認識し、自分の中で構築された魔法式を認識する事ができる。魔法式を構築する処理そのものは、本人の意思が及ばぬ半自動プロセス。人間の情報処理能力で物理現象を改変する事に足る情報体の作成とかは出来るはずがない。
「これはイメージで飛べるからいいけど、サイオン吸収されるから普通の魔法師では慣れが必要かしら?」
「起動式の連続処理が負担にもなっていないし、その所為で頭痛や倦怠感はない。この飛行デバイスの仕組みは、連続的に処理される起動式により魔法の連続発動。変数の代入値は、新たななイメージが演算領域に読み込まれない限り、前の値を引き継ぐようになっている」
起動式に自分自身を複製する無系統魔法の情報を追加して、魔法式を構築するコンパイルの最終段階において魔法演算領域内に起動式を貼り付け(ペースト)してからデバイスを操作しなくとも同じ起動式を利用できるようにしたのがループ・キャストの仕組みなら、連続して読み込まれる同じ起動式から同じ魔法式を組み立て、同じ変数を自動的に入力するのが飛行デバイスの仕組みである。トーラス・シルバーの出世作であるループ・キャスト・システムと今回作られた飛行デバイスは対を成すシステムとされている。ま、FLT会長をしている俺がトーラス・シルバーというのは、一部のみだ。
「全員、魔法による断続感はないか?」
そう質問すると全員の代表として深雪が答えた。タイムレコーダー機能は完璧に作動している。このシステムの要は、発動中の魔法の発動時点を正確に記録する機能。デジタル処理は人間ではなく機械でやってしまおうという事だ。魔法技能のみによる飛行に拘っては、到底実現不可能なものであったが今後役に立つと思って開発した物であるけど。
「そうそう原作の飛行魔法とは一個だけ違う機能があるが、それは何だと思う?」
「飛行魔法ですか?うーん、ISと違う事ですか?」
「惜しいな。正解はこれだ」
飛行デバイスを俺の手に持たせた後にオンにした後に、俺の背中に翼が生えたのだった。これは大天使の時のではなく4対8枚のサイオンの色によって出来た翼であったからなのか、俺の翼は白く色が付いた後に高速運転をし出してまるでISを展開したかのような加速をしていた。地下アリーナはIS用の模擬戦闘できる広い空間なので亜音速で動き回った後に、俺は深雪達のところに着地した。
「正解はこの飛行術式には二つのモードが存在する事だ、普通の人でも使えるのはノーマルモードで俺らのようにサイオン保有量が普通よりもとても多い場合のみ使用可能するバーストモードが存在する。無論サイオンの色によっては翼の色は違うと言えるだろうな。このモードを使えるのは限定的なもんだから普通のもんが使おうとしても、発動しないようにしてある」
「なるほどね、ワンオフで言えばトランザムシステムを積んだと言った方が分かりやすいか。それなら私達も納得だわ、ISに慣れてしまったのかノーマルだとあんまり飛んでる気がしていなかったわ」
トランザムで全員納得したが、今度の休みにFLTのCAD開発センターに行くつもりだと言ったら深夜達も行きたいと言ったので一緒に行く予定を立てたのだった。ついでに真夜と葉山さんも呼ぶかと思った深夜が連絡を取ると、一緒に行きたいと言ったのだった。FLT本社は首都圏にあるが、FLTのCAD開発センターは俺らの家から交通機関を乗り継いだ辺鄙な場所にあるので当日は車で行こうという事になった。
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