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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十話 剣道少女その三

「最高ということはありません」
「九段でもですか」
「はい、段位の問題ではなく」
「剣道の腕がどうかということですか」
「そうです、しかもそれは技だけでなく」
「心技体の三つがですね」
「最高ということはありません」
 こう僕に話してくれた。
「剣道もまた然りです」
「だから九段でもですね」
「はい、最高ではないのです」
 そうだというのだ。
「このことはご存知下さい」
「わかりました、何でも最高はないんですね」
「昇り詰めることはです」
「ないんですね」
「龍は果てしなく昇っていきます」
 天に昇りそれからもだというのだ。
「ですから」
「その龍と同じで」
「人は何処までも上を目指すものです」
「果てしなくですね」
「そうです、剣道もそうですから」
「九段になってもさらに」
「もっと言えば段位の問題ではなく」
 またこう言う畑中さんだった。
「昇っていくものなのです」
「ただひたすら上に」
「解脱と同じです」
 今度は仏教の話になった。
「解脱をしてもそれで終わりではありません」
「さらに先があるのですか」
「解脱をして、さらに先があると言われています」
「じゃあお釈迦様を」
「悟りを開かれましたね」
「修行といいますか旅の果てにですね」
「はい、悟りを開かれそこからです」
「そういえば色々ありましたね」
 僕はブッダという漫画を思い出した、手塚治虫先生の漫画で相当に面白かったうえに勉強にもなった作品だ。
 その漫画を思い出すとだ、確かにだった。
「お釈迦様は解脱してからも」
「そういうことです、ですから解脱しようとも」
「さらにですね」
「人の道はありますので」
 だからだというのだ。
「剣道もです」
「果てしなく心技体を磨いていく」
「そうしたものなのです」
「そうですね、それで今度の人もですね」
「剣道をされていまして」
 それで、というのだ。
「果てしなく道を進まれています」
「剣道をですね」
「非常に素晴らしい方なので」
「だからですね」
「是非お会いされて下さい」
 これもまた畑中さんの言葉だった。
「これから」
「それじゃあ」
 いよいよだ、僕達は扉の前に来た。そうしてだった。
 扉を開けて正門に行くとだ、するとだった。
 そこに和服の美女がいた、和服であることは小夜子さんと同じだけれど。
 その人は袴だった、濃紺の袴に白い着物は剣道のものだった。そして外見は。
 背は百六十二位でだ、黒い目は切れ長で奥二重、それにだった。
 睫毛は長く眉毛は細く長いもので流麗だった。
 唇は小さく紅でだ、白の細面で。
 腰のところまである黒髪は後ろで束ねている、剣道着の上からもはっきりとわかる位見事な胸だ。その人がだ。 
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