オズのムシノスケ
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第六幕その一
第六幕 象と猪
一行は朝御飯を食べてから大学を出ることにしました。その時にです。教授は五人にこんなことを言いました。
「一ついいかな」
「はい、何ですか?」
「うん、将軍のお家までは近いけれど」
「それでもですか」
「旅だからね」
それでだというのです。
「決して一人にならないでね」
「危ないからですね」
「旅先で一人になること程危ないことはないよ」
「そうですね、オズの国にしても」
「色々ありますからね」
「そうだよ、カリダだっているし」
あの猛獣もです。
「他にも危険があるからね」
「死なないにしても」
「それでも」
「危険はあるんだよ」
死にはしなくともです。
「だから決して一人にならないこと、いいね」
「わかりました、じゃあ」
「将軍のお家に着くまでも」
五人は教授の言葉に頷きました、そうしてです。
皆で将軍のお家に向かいます、青い世界の中を。
その中で、です。トトが皆に言いました。
「将軍のお家に着いたらね」
「うん、そこでだよね」
「将軍に事情をお話して」
「それからお菓子を貰おうね」
そうしようというのです。
「ボタン=ブライトの大好きなそれを」
「お菓子はクッキーとかキャラメルだよね」
カルロスが尋ねます。
「そうしたものだよね」
「そうだよ、将軍のお家にあるのはね」
「そうしたものを貰って」
「将軍のお家にはお菓子が一杯あるんだ」
「栽培しているからだね」
「クッキーやキャラメルの木があってね」
オズの国ではお菓子は木に実ります、果物と同じく。
「それを貰ってね」
「ボタン=ブライトの枕元に置けば」
「あの子も絶対に起きるよ」
「それじゃあ早く行こう」
「そうしようね」
トトは尻尾を横にぱたぱたと振りつつ言います、その中で。
教授もです、皆と一緒に歩きつつ言いました。
「何かあればね」
「トラブルがですね」
「そう、それがあればね」
ジョージに答えます。
「どうするかが問題だけれど」
「教授とドロシーさんがおられますから」
ジョージは安心している笑顔で教授のその言葉に返しました。
「大丈夫ですよ、トトもいるし」
「いやいや、この国のトラブルは凄いじゃないか」
「ううん、そういえば」
「ドロシー嬢も私もこれまで数多くのトラブルに遭ってきたけれどね」
「そのどれもがですね」
「強烈なものばかりだったからね」
「今回の旅もですか」
「何かあるかも知れないからね」
だからだというのです。
「その時はね」
「オズマがいてくれているから」
ドロシーが笑顔で皆に言います。
「オズマの助けを借りることになるわ」
「オズマ姫ですね、そういえば」
神宝がドロシーに応えて言うのでした。
「オズマ姫は毎日三時に鏡でオズの国のあらゆることを見ているんでしたね」
「勿論私のこともね」
「だから僕達で手に負えない事態があると」
「オズマが助けてくれるからね」
「そしてオズの国の人達が来てくれるんですね」
「私達や教授だけでは貴方達をどうにか出来ない場合はね」
ドロシーはトトも見ながら五人にお話します。
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