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Gフォース~正義の行方~

作者:がっと
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第1話:新しい戦い

 ゴジラとの戦いから2年がたった。
 ゴジラによる被害は世界で3億人近くを殺し、世界中で大量の放射能性物質の入った雨をまき散らすという被害をだした。
 世界中は怪獣を恐れていた。
 しかし、怪獣対策チームGフォースとメカニコング、そして優秀なエースパイロットのフォード・ブロディと兄のサムの活躍でゴジラは宇宙へと姿を消した。

 そして、残った怪獣たちとの戦いが始まった、だが残った怪獣たちはみな雑魚ばかりであった。

 何よりも怪獣よりも人々は恐れていたのは人間そのものだった。

 ゴジラの被害で、世界経済は落ち込んでいた。
 そしてゴジラ被害の多かったアメリカの経済・軍事力・国力の停滞とともに、アジアや欧州では中国ロシアの侵略が始まっていた。

 アメリカ国内でも、あいつぐ不況と混沌のせいで各地で犯罪発生率が高くなり、メキシコや南アフリカを抑えて世界最悪の犯罪発生率を誇る犯罪大国となった。
 

 2019年、10月、ロシア、昼間。

 巨大なクモの怪獣のクモンガは雄叫びをげながら、その鋭い毒爪で敵に切りかかった。
 シベリアの平原はざわつきながら辺りにいた動物たちを恐怖に変えた。
 木々は踏みつぶされ、破壊が広がっていった。

 クモンガは巨大なカマキリのカマキラスの死骸を足の爪で引き裂くと、口から放った糸で縛り上げながら死骸の血液を吸い取っていった。
 ロシア軍の戦闘機はミサイルを放ちながら、クモンガへ激しい攻撃を加えた。

 しかし、クモンガは攻撃を受けてもなお余裕の様子だった。
 クモンガは糸でからみあげたカマキラスをもしゃもしゃと食べていた。

 ふと、戦闘機のパイロットが指をさした。

 すると、高さ500mから巨大な何かが降ってきた。
 パイロットは指をさし目を凝らしながらみつめた。

 太陽の光が、反射していた。
 人にみえた。
 しかし、違った。
 身長150mある、銀色の鎧に身を包んだゴリラのような姿をしたロボット怪獣。
 

 メカニコングだった!



「クモンガか、あいつは倒し飽きたな。」

 パイロットのフォード・ブロディは29歳の青年士官だった。
 赤い髪と水色の目をしたハンサムな米国軍人は世界中で怪獣を倒す花形パイロットとして有名人だった。
 妻と2歳の子供をもったフォードには女性関係は関係ないことだった。
 フォードはふと、無線越しから相棒のビビアンに聞いた。

「クモンガを倒したあとは、なんだっけ?」

 無線を手にしながら、テキサスのGフォース基地からビビアンは答えた。
 ビビアンは2度の離婚歴を持った40過ぎの女性科学者だった。
 
「確か、太平洋上にいるテロ組織の摘発よ。」

 フォードは頭を抱えながら答えた。

「ゴジラを倒したら終わりじゃなかったんだな。」

 メカニコングは高度800mあたりからHALOジャンプをして飛び降りていた。
 空気を切り、風を切りながら銀色の姿をした巨大メカゴリラは落下していた。
 ふと、フォードは地面をみつめた。
 クモンガは大きさ200mある巨大クモだった。
 だが、フォードはもう2体も倒した。
 フォードはいつものように片腕を地面につけ、大きな衝撃と振動とともに落下した。
 
 クモンガは上空から来た招かれざる客をにらみつけた。
 怒りに震えながら、巨大な足を広げ口から粉上の糸を吹きかけた。
 メカニコングの体を雪のように糸が降りそそぎ、150あるメカニコングの体は一瞬で巨大な繭となった。
 クモンガは巨大な繭になったメカニコングにとどめをさそうと足を持ち上げ、爪で突き刺そうとしたその時だった。
 
「お前の戦い方はもうわかってるんだよ。」

 フォードはそう言うと、左腕を突き上げた。
 繭から巨大な左腕がでてきて、クモンガの足をつかんだ。
 クモンガは悲鳴を上げながら、足をひっこめた。
 そして、後ずさりをして敵から離れた。
 すると、繭から赤い光をしたエネルギーブレードがでてきて、繭を切り裂いた。
 繭から姿を出したメカニコングはエネルギーブレードを構えたまま待機した。

 メカニコングはヘルメットを装着したフォードの脳内と神経経路をつなぐことで、フォードの考えた動き通りに動く。
 フォードはヘルメットを外すと、ポケットの中にいた10㎝の小美人ヒオに話をした。

「ヒオ、あいつに説得が通じるかやってみてくれ。」

 ポケットの中からヒオは姿を出した。
 ヒオは見た目はアジア系の美少女の姿をしていた。
 堀の浅く、黄色い肌がコックピットのシート座席に輝いた。

「任せて。」

 ヒオは片手をかかげると、クモンガの脳内に侵入した。
 フォードはヒオに聞かせるように口を開いた。

『君を傷つける気はない、降参してここから消えてくれ。この先の村には人間がいる。』
  
 フォードはヒオに対してそうしゃべった。
 ヒオはクモンガにそのメッセージを伝えた。
 小美人のヒオは、怪獣と人間の交渉人もしていた。
 彼女は地球人ではなく、脳波をつなぐことで直接話しかけることができた。
 ヒオは心配そうにフォードに伝えた。

「『お前は食い物だ。』だってさ。」

 フォードはそれを聞くとため息をつきながらヘルメットをかぶった。

「仕方ない、じゃあ力づくでわかってもらうしかないな。」

 メカニコングは再び動き出し、構えていたエネルギーブレイドを使い素早く走り始めた。
 クモンガは足を構えるとメカニコングに突き刺そうとした。
 フォードは、メカニコングの半身をずらしてそれをよけると、エネルギーブレイドを使い足を切り裂いた。
 クモンガはオレンジ色の血を出して、大きく倒れた。
 メカニコングはその足で倒れたクモンガの胴体を踏みながらエネルギーブレイドを構えた。

「『このままだと死ぬぞ、諦めろ』と伝えろ。」

 ヒオは片腕をかかげながらフォードの言葉を伝えた。
 フォードは冷酷な目でクモンガをみつめた。
 ヒオは少し、悲しそうな顔をしながらフォードに伝えた。

「『死ね』だって・・・。」

 フォードは頭を横に振りながら、エネルギーブレイドをクモンガの胴体に突き刺した。
 クモンガは血を吹きだすと、動かなくなった。
 フォードの任務は終了した。
 大きくため息をつくと、フォードはヘルメットを外した。
 そして、シートにうなだれて座ると呟いた。

「いつまで、こうしなくちゃいけないんだろうな俺たち・・・・。」

 フォードはクモンガに少しばかりの同情をした。
 クモンガはもともとここに住んでいた。
 だが、人間を守るために死んでもらうしかなかった。
 そんなフォードをみつめてヒオは胸ポケットごしからフォードの体を抓った。

「いたいっ!」

 フォードは悲鳴をあげると飛び上がった。
 ヒオは笑いながらフォードをみつめた。

「そんな事しなくてもいいだろ・・・・。」

 フォードはあきれて笑った。
 そのやり取りを聞いていたビビアンも少し笑っていた。

「あんたがああ、しなかったらきっと村の人たちは死んでいたよ。」

 フォードは800m先にある寒村をみつめた。
 そこには光がまばらにあった。
 人が住んでいる。
 フォードは人を守ったのだ。

「そうだね、君の言う通りだよ。」

 フォードは少し、微笑んだ。
 すると無線上からビビアンの次の指令が入った。

「次の敵は太平洋上にある、客船よ。そこが海賊に襲われたらしいわ。」

 フォードは大きくため息をつくとヘルメットを再び頭に付けた。
 
 ゴジラとの戦い以降、怪獣被害は少なくなったがそれと反比例するように人間のテロリストや暴徒による犯罪が増えた。
 Gフォースは怪獣討伐以外にも、その任務を引き受けていた。
 だが、怪獣とは違い、そのほとんどは殺害することなく気絶させるだけで終わっていた。

 フォードはメカニコングの背中についたジェットパックを使うと、空中へと飛び上がっていった。





 同時刻、アメリカ、ワシントン。
 ペンタゴンの地下では巨大な四つのモニターが並んでいた。
 モニター状にはそれぞれ、違う国の人物がいた。
 その真ん中に、黒縁眼鏡をした灰色のスーツをした男性がいた。
 男性は大きなスクリーン上でメカニコングとクモンガの戦いを中継してみせていた。

「さて、Gフォースは今までこのように敵と戦ってきました。」

 男性はスクリーンの画面を消すと、モニターに近づいた。

「では、これからはどうなるでしょうか?私が思うに次の戦いが始まります。」

 モニターの中にいたターバン姿の老人が話しかけた。

「次の戦いとはなんですか?シンクレア上院議員。」

 シンクレア上院議員といわれた男性はターバン姿の老人に話しかけた。

「怪獣の被害は年々少なくなっています、ゴジラ討伐以降はその傾向は明確です。我々はこれを怪獣に代わる新たな敵ともなる『テロリスト』に使うべきでしょう。」

 シンクレア上院議員はターバン姿の老人に向かって微笑みながら話しかけた。

「ご心配なく、カーンさん。すでに準備は整っております。」


 
 

  
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