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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第五章 楽園
  第11話 3人でデート

士道と上条は同じ夢を見ていた。



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凜袮「起きて士道。もう朝だよ?」

士道「……ん、凜袮か?」

凜袮「うん。おはよう、士道」

士道「おはよう……今日は一段と元気だな。何かいいことでもあったのか?」

凜袮「へ?そ、そんなことはないけど……それより、今日の放課後空いてる?」

士道「ん?空いてるけど……」

もしかしてデートのお誘い?

凜袮「良かった〜。じゃ、私先に下行ってるね」

聞く間もなく、凜袮は下に降りていった。

その時の凜袮の顔はとても輝いていたような気がした。



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士道が下に行くと、そこには台所でご飯の準備をしている凜袮と、それを手伝っている佐天、お茶碗や皿を人数分出している上条しかいなかった。

士道「あれ?みんなは?」

佐天「四糸乃ちゃんが急に具合が悪くなったらしくて……それで、あーくんが能力で治したんですよ。それで具合が良くなったんですけど一応看病しとこうということで琴里の部屋で今寝かしています。あーくんと琴里はその付き添いです」

士道「な、なるほど……」

改めて一方通行の凄さを実感した士道であった。

士道「それで十香は?寝坊か?」

凜袮「ううん。十香ちゃんはもう学校に行ったよ」

士道「十香が!?珍しい……」

上条「(酷い言われようだな……)」

四糸乃のことはあったが、いつもの朝だ。

しばらくして琴里が降りてきて朝ごはんを共にした。


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琴里と佐天は学校で小テストがあるとか何やらで早めに家を出て行き、凜袮と士道と上条は最後に出ることになった。

と、突然。

凜袮「あ!……鍵……なくしちゃったかも……」

そう凜袮が言った。

士道「え!?」

上条「(まさか上条さんの不幸が……!)」

心配するベクトルが上条だけ違うが、鍵をなくしたのはちょいとヤバイ。

凜袮「どうしよう……大切にするって言ったのに……っ!」

士道「お、落ち着けって!」

上条「落としたっていってもさ、家の中だろ?俺たちが学校に行ってる間に一方通行に探してもらえばーー」

上条なりの名案だったのだが、

凜袮「ダメ……あの鍵は、士道が……私を家族と認めてくれた証……なんだから……」

士道「凜袮……」

上条「(学校に遅刻したら出席日数が……朝から不幸だ……)」

上条はそんなことをため息混じりに思ったが、彼は彼なりに凜袮が鍵をどこに落としたか考えているのだ。

今までの不幸経験を生かして。

上条「(大抵、鍵はポケットに入れる。それを出す時って行ったら鍵を掛ける時か服を着替える時。でも凜袮は制服に着替えてからこっちに来たからその線はない……と、なると考えられるのはポケットに入れてて邪魔な時だけど……)」

上条はある結論に至った。

上条「トイレの中じゃないのか?」

凜袮「え?………あ!」

凜袮はある場所へと駆け出した。

士道「え?凜袮?」

しばらくして凜袮が戻ってきた。

凜袮「はぁ……はぁ……あったよ士道!お手洗いの中に置いてあった!」

士道「おお!よく分かったな上条!」

上条「いや〜昔の経験が役に立ちましたよ〜」

その昔の経験とやらがとてつもなく気になるが、聞かないでおこう。多分不幸な出来事っぽいから。

上条「それじゃ、学校に行くとしますか」


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士道「ふー、学校に到着っと」

凜袮「もう……士道ったら……」

士道「ハハハ……」

上条「(こいつら、何イチャついてんだよ……)」

殿町「よっ。朝から一緒に登校とは見せつけてくれるな。……クソッ……なんで五河と上条だけ……」

教室に着くなり殿町の愚痴を聞いたりしたが、それはあっさりスルーする。

さあ、もうすぐホームルームだ。


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さあ、朝の眠たい授業も乗り切ったし、やっと昼だ。

十香「し、シドー!」

妙にそわそわしている十香が士道に話かけた。

士道「よう十香。お前ずっと授業中寝てただろ」

十香「う、うむ!そ、それでだなシドー……ん?それは何だ?」

士道「へ?あぁ、これか。今日凜袮が作ってくれたんだ」

そう士道が言った瞬間、

十香「そ、そうか……」

とても悲しげな表情をした。それに気づかない士道は、

士道「で?何の用だったんだ?何か言いかけてただろ?」

十香「何でもない……何でもないのだ!!」

十香を怒らせてしまったようだ。そのまま十香はどこかへ行ってしまった。



その過程を全て見ていた上条は、

上条「(デジャヴだ……)」

数日前の凜袮のことを思い出した。すっかり立場が逆になってる。

さて、十香を慰めに行きますか。



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学校に通達。ASTより。



現在、天宮駐屯地の観測機がうまく作動していない模様。原因は不明。



空間震が発生した場合、警報が遅れる、または鳴らない場合があるため、少しでも異変を感知したらすぐにシェルターに自主的に避難するように。


以上。







上条「(フラクシナスだけでなく、ASTも機能不全か……)」

ホームルームの時間に聞かされた話は、上条達には信憑性があった。

既に、琴里に天宮市の異変のことを聞かされていたから。

岡峰「ではホームルーム終了です。皆さん気をつけて帰ってくださいねぇ」

そういえば今はホームルームだったな。と上条は思った。



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ーー




皆の衆に聞きたいことがある。


デートって言われたら何を思い浮かべる?



そりゃほとんどの人はこう答えるだろう。

男女一人ずつが、二人きりでどこか出かけたり……とにかく二人で楽しむことだ。上条さんもずっとそう思ってましたよ。

凜袮の発言を聞くまでは。




凜袮「3人でデート行かない?」

上条さんが思ってた理屈をあっさり覆したよ。

士道「俺はいいけど……」

いいのかよ。

上条「デートって普通2人一組で行くもんじゃ……」

凜袮「細かいことは気にしないの!」

細かいのかなぁ……

凜袮はすんげぇ笑顔が輝いてるし、士道も満更でもないし……

上条「ま、いっか」

凜袮「ふふ。じゃあ決まりだね」

こうして、三人のデートが始まった。



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ーー




全く、凜袮の考えてることがよく分からないなぁ……

上条はそう思った。

上条「(でもまぁ、これが凜袮なりの″考え″なんだろうな)」

士道「どうした?」

上条「いや、何でもない」

あ、言い忘れていたが、現在進行形で凜袮はここにはいない。

へ?どこにいるのかって?

なんか、気になるアイスがあったからって言ってそっちに買いに行ったよ。夏だしな。

凜袮「ゴメンゴメン。遅くなっちゃって……」

凜袮が駆け足で帰ってきた。

士道「いや全然……ってオイ!」

上条「……結構買ったんだな」

凜袮「つい……」

凜袮の手には十本近くのアイスバーがある。まさか何も考えずに買ったとは……意外と抜けてるんだな、凜袮って。

士道「溶けない内にさっさと食おうぜ」


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ーー



ということで公園にやってきた。

凜袮「はい、当麻」

上条「サンキュー」

上条はアイスバーを受け取り、それを食べようとする。

ボテッ。

嫌な音がした。

足元を見ると、今上条が食べようとした、アイスに似た……いや、一緒の色の冷たいものが落ちてる。

士道「だ、大丈夫だって!まだ半分残ってーーー」

士道がそう言った瞬間、

ボテッ。

嫌な音がした。

上条「不幸だ……」

僅か十秒で上条の手にはバーだけになった。

凜袮「もう一本あげるから……ね?」

上条「………サンキュー」

食べる気が失せてきた上条当麻であった。





凜袮と士道もアイスを食べ始めた。

士道「………」



デジャヴだ。



士道はそう感じた。



以前に四糸乃と一緒に食べたことがあるような……







上条「悪りぃ。俺トイレ行ってくる」

士道「あぁ」

その思考は上条の言葉によってかき消された。

と、上条がトイレに向かった途端、

士道「あ、」

アイスが溶けて指に落ちたようだ。これぐらいなら自分で舐めれば問題ないーー

と、突然。

凜袮「あ……士道の指にアイスが……綺麗にしなくちゃ……」

と、言った。

士道「え?凜袮?」

おかしい。彼女の様子がおかしい。凜袮は普通そんなことを言わない。

そう思ってると、指をとられーー



パクッ。



士道の指は凜袮の口の中へと入った。

士道「ーーッ!!?」

人に指を舐められるのに慣れてないーーいや、慣れていたらそれはそれで恐ろしいがーー士道は驚きのあまり身体が硬直して、そのまま何とも言えない感覚に浸るのだった。

士道「お、おい凜袮!」

凜袮は一向にやめようとしない。それどころか夢中でしているような気さえする。



デジャヴだ。



前に狂三とデートした時に、こんなことがあったような……








上条「おーい、ちゃんとアイス食ってーー」

またしても上条によってその思考はかき消された。

士道「(ん?上条の声がするってことは……)」

恐る恐る振り返る。

それは、トイレから帰ってきた上条がこの光景を目にしていた。



顔をピクピクさせながら。



上条「………どういう、状況……で、せうか……?」

とりあえず今の状況は色々とマズイ。士道が今すべきことはただ一つ。

士道「凜袮、もう指を離してくれ!頼むから!」

士道がそう叫ぶように言うと、凜袮は案外すぐ離してくれた。

上条「………説明をしてもらわないと上条さんは琴里に今のことを教える他ありませんよ?」

士道「分かった!分かったから!今は待ってくれ!」

携帯を取り出しているところを見る限り本気らしい。

危なかった。士道はホッとしたように安堵の息を吐いた。

でも彼は悩んでいた。






凜袮を心配するか


凜袮を問い詰めるか






上条も同じことを思っていた。

だが今回ばかりは士道と凜袮の問題だから何ともいいようがない。

上条は士道の答えを待った。

そして、

士道が出した答えはーー




士道「凜袮、お前さ……俺に隠してることないか……?」




問い詰めた。

凜袮「……」

凜袮は、悲しげな表情を作っていた。

上条「(……まさか!?)」

上条は何かを察した。

士道「お前の知ってること、全部離してくれないか?」

士道は困惑しながらも凜袮を問い詰めた。

凜袮「あ、士道……後ろ……」

士道「頼む!あと少しで繋がりそうなんだ!」

凜袮「ごめんね士道」

うっすらと微笑む凜袮。

士道「な、何だよ急に……」

凜袮「″当麻以外″に気づかれちゃったら……こうするしかないの」

士道「上条以外……?どういう……」









そして、









士道の視界が黒く塗りつぶされたと思うと、そこはまるで別世界に来たように変貌していた。








空は赤黒く染まり、建物や公園も一切なく、まるで人の気配がしない場所。

さらに、

士道「な、何だコイツ……!」

目の前には、背中に白と黒の翼らしきものを3対6本携え、修道女のような服を着て顔を薄いマントで覆っている″何者か″がそこにいた。

?「………」

士道「(ヤバイ、攻撃がくる!)」

士道は咄嗟に逃げようとした。

その時、彼は気づいた。



自分と、先ほどの″何者か″以外にももう一人、ここにはいることに。




士道「………何でだよ」

逃げる足を止めて、その″もう一人″に話しかける。

士道「何でてめぇがここにいるんだよ……!」

必死に彼は言う。まるで怒りを抑えているかのような声量で。

士道「お前は何を知ってるんだよ……凜袮と一緒に何を企んでるんだよ……!」

そして、叫んだ。

















士道「答えろ!!上条当麻ッ!!!」




















喉が潰れそうな勢いで叫ぶ士道。

だが上条は答えなかった。



ただ言えることは、

その時士道が見た上条は、不気味に笑っていた。



そして、光線らしきものが士道にむけて発射された。

士道「くっそおォォォォッ!!」



士道はそこで意識が途絶えた。



















































今日は、6月28日。
 
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