SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―
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05:苦難の末の撃破
「「――っ、おぉぉぉっしゃあぁぁぁっ!!!」」
沈黙を破ったのはライトとリンの勝利を喜ぶ叫び。それと同時に部屋の中では各々が喜びを見せる。ナギはオウカとハイタッチ。アツヤはヒメカと肩を組む。リンとライトは剣と剣を合わせる。リオンとルスティグはお互いの顔を見て笑う。セツナは静かに地面にしゃがみこむ。そして、セモンとハリンは拳を打ち合わせ、笑みを浮かべる。
「ありがとう、セモン君達が来てくれなかったらと思うと······今も震えが止まらないよ」
「いやぁ、まぁ気にすんなって。俺等も大きく遅刻しちまったしな。」
結果的にその遅刻が勝利に繋がったのだとハリンは言う。それに照れくさそうな表情を溢すセモンは歳上には見えない若さを感じさせる。
「さて、皆帰ろう!!」
ハリンが手を叩き注目させ、帰投を連絡する。全員さっさと帰りたかったのか、合図と共に転移結晶を取り出す。それぞれパーティー会場のある層の名前を叫び、転移し、その場から消える。かくして、新年のイベントボス討伐大作戦は幕下ろした――――
* * * * *
「せーのっ······乾杯っ!!」
「「「「「「「「「乾杯っ!!!」」」」」」」」」
グラスを打ち付ける音が響く。二度目の光景だ。有言実行とでも言うべきか、本当にパーティーの二次会が行われている。先程のボス戦の話しも当然話題に上がっている。
「あー、流石にあれは面倒過ぎるだろ······」
この場で一番面倒事を嫌う男、アツヤは、大きく伸びをしながら愚痴を溢す。軽い気持ちで討伐に行った事が悔やまれる程強かったのだが、命さえあれば問題はない。ノープロブレムだ。
「けど、あの槍の雨の時私を庇ってくれたアツヤ、格好良かったよ」
満面の笑みを見せ、アツヤの勇姿を評価するのはヒメカ。直ぐにピンク色のムードに入る二人組は放置······もとい二人だけの空間を満喫させつつ、他を見てみよう。
「SAOがクリアされてる、か······これは僕等も頑張らないとね」
「ま、体壊さない程度にな?」
セモンとハリン。お互いの世界について語る二人の姿。驚くべき事に、セモンの世界では既にソードアート・オンラインはクリア、生き残った6000人ものプレイヤーは各々自分の生活に励んでいるらしい。
「じゃあ、パーティーが終わったら攻略再開ですね、ハリン君?」
そう問いかけるのはオウカ。彼女もまたパーティーの主催者なのだが、買い出しに行っている間に事が進んでいて合流には少々遅れた。もっともそれは彼女のせいではなく、何処ぞの双刀使いのせいなのだが。
「あはは······お手柔らかに······」
苦笑いするハリン。それに「まるで夫婦のようですね」とセモンに囁くセツナ。セモンは「夫婦の会話に攻略なんて出ないだろ」と苦笑いしつつ答える。雰囲気だけだと分かってはいるようだ。
「なぁルーグ~、アイツ等夫婦っぽくねー?」
「俺に聞きますか、リオンさん?······まぁ、雰囲気だけなら」
遠くでハリンとオウカを指差し、「夫婦っぽい」と言う少年はリオン。それに「雰囲気だけは」と賛同するのはルスティグ。ルスティグは「貴方にも夫婦に近い存在がいるじゃないですか」と言うが右から左に受け流される。
「これ美味しい······♪」
そんな中で一人の少女は料理を楽しんでいる。ナギだ。別に一人を好んでいるわけでなく、再び作り直された料理に目移りしているだけなのだ。彼女も彼女なりにパーティーを楽しんでいる。
「ねぇ皆、この後の予定なんだけど――――」
ハリンは予定を大きな声で叫ぶ。終わりに近付く宴······その時間をどう使うのか――――
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