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オズのムシノスケ

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第五幕その五

「それじゃあその方法で」
「起きるには目覚ましだけれど」
「あれはね」
 ジョージと神宝がお話します。
「起こすだしね」
「しかもあれを使ってもね」
「多分ボタン=ブライトは起きないね」
「今の彼はね」
「うん、起きないだろうね」
 教授も二人にそうだろうと答えます。
「今の彼の眠りの深さだとね」
「やっぱりそうですよね」
「目覚まし時計じゃ起きないですよね」
「それに起こすだからね」
 ここでもこう言う教授でした。
「起きてもらわないと」
「駄目ですから」
「ですから」
「起きてもらうよ」
 また言う教授でした。
「絶対にね」
「はい、じゃあ」
「ここは」
「食べものを使おう」
 それを彼の枕元に置くというのです。
「そうしよう」
「そのボタン=ブライトの好きなものは」
「一体何かしら」
 今度はナターシャと恵梨香が言いました。
「色々好きなものがあるみたいだけれど」
「一番は何かしら」
「あの子はお菓子が好きなの」
 ドロシーが二人の女の子に答えます。
「それもキャラメルやクッキーとかがね」
「そうしたお菓子がですか」
「好きなんですね」
「それもとびきり美味しいお菓子がね」
「とりわけですね」
「好きですか」
「そうなの、そうしたお菓子なら絶対に起きるわ」
 絶対にというのです。
「あの子でもね」
「それじゃあ」
「お菓子をすぐに集めましょう」
「そうしてあの子の枕元に置いて」
「起きてもらいましょう」
「そうね、それだとね」
 ここでドロシーは皆に言いました。
「マンチキンの国で一番美味しいお菓子を手に入れましょう」
「オズの国で一番美味しいお菓子はね」
 ここで言ったのは教授でした。
「ジンジャー将軍のお家で作っているよ」
「あの叛乱を起こした」
「あの人ですね」
「あの人も今では結婚してね」
 そうしてというのです。
「お菓子を作ってるんだ」
「農家で、ですよね」
「そうされてるんですよね」
「そうだよ、だからね」
 それでだというのです。
「あの人のところまで行ってお菓子を貰おう」
「そしてボタン=ブライトに起きてもらって」
「ボタンとスカーフを返すんですね」
「そうしよう、どうも待っていてもね」
 彼が起きることをです。
「無駄になりそうだし」
「あのまま何週間でも寝そうな感じだよね」
 ドロシーのお膝の上にいるトトが言ってきました。
「本当に」
「そう、そうなりそうだからな」
「待つよりはね」
「動くべきだよ」
 そう思うが故にでした。
「だから将軍の家に行こう」
「ジンジャー将軍のですね」
「あの人のお家に」
「君達は将軍のお家に行ったことはあるかな」
「いえ、なかった筈です」
「確か」
 五人はこう教授に答えました。 
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