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オズのムシノスケ

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第五幕その四

「それが問題だよ」
「そうですね、ボタン=ブライトをどうして起こすか」
「どうしたものかな」
「皆で考えてみる?」
 ドロシーがこう皆に提案しました。
「この子を起こす方法をね」
「揺らしても声をかけても起きないですからね」
 カルロスはドロシーにも応えます。
「ですから」
「そう、あらためてね」
「人を起こす為の方法だね」
 また教授が言ってきました。
「それについては」
「教授は何か知識が」
「そうだね。ここはね」
「ここは?」
「皆で図書館に行こう」
 こう皆に言うのでした。
「私は考える時はいつも図書館に行くんだ」
「そこで本で調べながらですか」
「そう、考えていくんだ」
「だから今回も」
「そう、図書館に行こう」
 こう言ってです、皆を誘ってです。
 教授は図書館に入りました、王立大学の図書館は物凄い大きさです。その図書館の中に入ってでした。
 皆で席に着いてです、教授は本を開きながら考えます。そうしてでした。
 皆にです、こう言いました。
「北風と太陽だね」
「あの童話ですね」
「そう、それでいこう」
「じゃあ無理に起こすのじゃなく」
「そうだよ、起きてもらうんだよ」
 太陽になるというのです、教授達が。
「彼にね」
「起こすんじゃなくてですね」
「北風で幾ら吹いてもね」
「旅人はコートを脱がないですね」
「寒いと余計に着るね」
「はい、僕達にしても」
「けれど暖かったら」
 寒くなく、です。
「コートを脱ぐね」
「童話にある通りですね」
「無理に起こすのは止めよう」
「起きてもらうんですね」
「そうしよう、だからね」
「その方法をですね」
「皆で探すべきだが」
 それでもとです、教授はここでこう言いました。
「そのやり方ならもう私の知識の中にあるよ」
「僕達が太陽になるですね」
「そう、それはもうあるよ」
 教授は本を開いたまま皆に言いました。
「それを使おう」
「その方法は」
「カルロス君は好きな食べものは何かな」 
 教授はここでは微笑んでカルロスにこう尋ねました。
「一体」
「色々ありますけれど」
「その中で一番好きなものは何かな」
「そう言われるとシェラスコですね」
 これがカルロスが一番好きな食べものだというのです。
「お肉をたっぷりと」
「その匂いも大好きだね」
「はい、大好きです」
 その通りだとです、カルロスは答えました。
「本当に」
「そうだね、だからね」
「ボタン=ブライトにも」
「傍に好きな食べものを置いてね」
 その枕元にだというのです。
「その匂いで」
「起きてもらうんですね」
「そうしよう、これでどうかな」
「いいですね、それは」
 カルロスははっとしたお顔になって教授の提案に頷きました。 
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