八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九話 はじめて見たツンデレその二
「その呼び方でね」
「わかったわ、それじゃあ大家さん」
「うん、これからだね」
「宜しくね。ただ私のことは構わなくていいから」
何か随分つっけんどんな調子の言葉だった、それはさっきからだったけれど。
「気にしないでね」
「いや、そういう訳にはいかないからね」
「ダオ様も入居されたのですから」
畑中さんもダオさんに言う。
「ですから」
「それでなのね」
「お世話はさせて頂きます」
はっきりとした口調でだ、畑中さんはダオさんに答えた。
「その様に」
「ま、まあね」
何故かここで戸惑いを見せたダオさんだった。
「それじゃあ宜しくね」
「それでは」
「とにかくよ」
ダオさんは何故か必死の調子で言って来る。
「私はこのアパートに住むから」
「うん、宜しくね」
僕がそのダオさんに応える。
「これから」
「そうね。それにしても大家さんって」
僕のその顔を見ての言葉だった。
「我が国の俳優さんに似てるわね」
「ベトナムの?」
「そう、まあ悪くない感じよ」
顔を横に向けて横目で僕を見ての言葉だ、それがまた随分とわかりやすい。僕は鈍感じゃないつもりなのでわかった。
けれどそのことは話には出さずにだ、僕はダオさんに言った。
「それじゃあね」
「お部屋はね」
「一〇八号室です」
「そこに入ってあげるわね」
「それでは」
「そういうことでね」
今度は畑中さんに応えてだった、そして。
そのやり取りからだった、ダオさんは自分の部屋に入ることになった、そして晩御飯の時に僕達の住人にも挨拶をした。
その挨拶が終わってからだ、早百合先輩がその晩御飯のテーブルの場で言った。
「国際色が豊かになってきていますね」
「そうですね」
詩織さんが先輩のその言葉に頷く。
「アメリカ、中国に続いてベトナムですか」
「八条学園らしくなってきましたね」
「そういえばこの学園は」
千歳さんも話に入る、僕達の今日の晩御飯は他人丼とお味噌汁、それにゴーヤチャンプルだ。お漬物もある。
そのお味噌汁の椎茸とエリンギを食べながらだ、千歳さんはこう言った。
「色々な国から人が来られてますね」
「そうなのです、この学園は」
先輩が千歳さんに答える。
「世界中から人が集まる学園です」
「そうですよね」
「構内にお寺や神社もありますし」
「教会もありますよね」
千歳さんがここで言ったのはキリスト教の教会だ。
「他にも日本の宗教の」
「天理教の教会よね、あれ」
美沙さんが千歳さんが首を傾げさせたところで言って来た。
「確か」
「そうだよ、あれは天理教の教会だよ」
「宗教関係も充実してるのね」
「八条大学には宗教学部もあるからね」
そこで仏教や神道、キリスト教、天理教を専門的に勉強出来るのだ、僕が千歳さんに対してこのことを説明した。
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