ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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バレットドライヴ
前書き
ついに始まりました、BOB本選!!
それではどうぞ!!
本選が始まってから30分、俺は森林エリアにて移動中だった。
ここまで敵に遭遇しないとなると興ざめしてくる。
『もうすぐ二回目のサテライト・スキャンか・・・』
俺は受信端末を取りだし、位置情報を更新する。現在の数は21、俺の一番近いところでは現在地から約580mのところで移動中とおぼしき《ダイン》とそれを追随する《ペイルライダー》、シノンが言っていた知らない人物の内の一人だ。
『様子だけでも見に行くか・・・』
俺は二人の後を追い俺は森林エリアから山岳エリアを結ぶ鉄橋へと向かった。先回りに成功し、茂みに身を潜める。先に現れたのはダイン、鉄橋の向こう岸で伏射姿勢を取る。それから数分後、ペイルライダーがゆっくりと出現した。細身の長身、青白い迷彩スーツに身を包み、シールド付きのヘルメットで顔を隠している。
武装はショットガンのみでゆらりゆらりと脱力した感じがするが、決して無駄な力が入っていない。
『あいつ、強いな・・・』
直後ペイルライダーは予想だにしない行動で回避をする。橋のワイヤーを飛び付く形で回避したのだ。縦横という二次元的な回避ではなく、全てを利用した三次元的回避を軽々とやってのけるペイルライダーを狙うのは困難だった。
『これはダインには相当愛称が悪いな・・・。あっ・・・』
ペイルライダーはダインを目と鼻の先ので引き金を三度引き、HPが0になったダインには【Dead】の立体文字列が出現した。
『はたして奴が死銃なのか否か、もしそうなら・・・、ここから狙撃しても軽く避け・・・ッ!』
俺が戦いを見届けてその場から揃うとしたその時、ペイルライダーは突然何者かの狙撃によって倒れた。昨日キリトから聞いたシノンの狙撃か?と思ったが、それだとおかしい。シノンが持つ銃は《PGM・ウルティマラティオ・へカートⅡ》、後で調べたが車両や建築物の壁を貫くだけの威力がある。
いくらサイレンサーで減音したのしても腕の一本振っとんでもおかしくないはず・・・。じゃあ、誰が・・・?
「ッ!まさかッ・・・!!」
俺は鉄橋の柱の影から現れたプレイヤーを見た。ボロボロのマントに機械的な仮面、サイレンサー付きのスナイパーライフルを担いだその男は間違いなく死銃だった。
『いつからあそこに・・・、いや、今はそんな場合じゃない!!』
死銃はハンドガンを取りだし、十字を切る動作に入る、その時だった。突如聞こえた銃声、そして死銃はその銃声とほぼ同時に後方に一歩かわした。
『あそこにいるのは、まさかシノンか?だが、隙はできた!!』
俺はその隙を逃さず行動に移った。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「あ、あいつ、最初から気付いてた・・・私たちが隠れてることに・・・」
「まさか・・・!奴は一度もこっちを見なかったはずだ!」
狙撃を試みた張本人、シノンとそれを見たキリトは死銃がその弾丸を避けたことに驚愕せざるをえなかった。
死銃はスナイパーの特権である《弾道予測線なしの第一射》を300m足らずの距離で背を向けた状態からかわして見せたのだ、常人ならまず不可能な芸当である。つまり───
「あの避け方は、弾道予測線が見えていなければ絶対に不可能。それはつまり、どこかの時点で私の姿を目視して、それがシステムに認知されたってこと・・・」
死銃は体を戻すと再度右手の自動拳銃をペイルライダーに向けると、親指でコッキングし、グリップに左手を添えて何の迷いもなく引き金を、引いた───。
かぁんと乾いた銃声が響く中、その弾丸はペイルライダーの心臓部分を───
「えっ・・・?」
「外した・・・?」
捉えなかった。放たれた弾丸はペイルライダーの横っ腹を貫くだけだった。
「どうして・・・?」
「いや、あれを見ろ・・・!」
キリトが見たのは死銃の隣に転がっていた黒い球体、プラズマ・グレネードだった。その時間・・・きっかり15秒。
「ッ!伏せて!!」
「エッ!?」
シノンはキリトに覆い被さるようにしてその場に伏せた。直後、強烈な光と共にグレネードは爆発。轟音が響き渡った。
「な、なんだ今の・・・?」
「プラズマ・グレネードよ、でも誰が・・・?」
シノンは先程爆発が起こった場所を見る、するとそこには鉄橋の柱に退避した死銃とペイルライダーのいた場所に残った【DISCONNECTION】の文字だった。
死銃はプラズマ・グレネードが飛んできた先を見る。
「さあな、だが俺の知る限り、こんな無茶苦茶する奴は一人しかいない・・・」
キリトが見た先には鉄橋の向こう側で白い髪をしたプレイヤーが一人いた。
「お前、は・・・」
死銃もそのプレイヤーを睨むようにして見る。白い髪のプレイヤーは表情を崩さずに言った。
「チッ、間に合わなかったか・・・。だがまあ、これでお前のマジックの種も分かったことだ、ペイルライダーには感謝するしかないな」
「シオン・・・!」
「あいつ、まさか彼処からぶつけたって言うの・・・!?って言うかそんなことより・・・」
シノンは先程のペイルライダーがいた場所に残る【DISCONNECTION】の文字を見る。そして今度は死銃を見る。
「あいつ、サーバーから他のプレイヤーを落としたの?」
シオンはそれにまるで答えるかのように言った。
「よう、死銃。お前、ペイルライダーを殺したな?」
シオンはゆっくりと死銃に歩みを進める。
「・・・・・」
「黙秘、か。それは肯定を意味するということでいいんだな?なら・・・」
橋の中央の所でシオンはホルスターから銃を引き抜き、銃口を死銃に向けた。
「観察対象から殲滅対象へと切り替える!!」
シオンは死銃に向けて走り出した。死銃もハンドガンをしまうと、スナイパーライフル、《サイレントアサシン》に切り替えてシオンに向けた。同時に放たれた弾丸は、真正面で掠めて軌道がそれぞれ鉄橋に着弾する。
二撃目は、互いに回避して死銃は柱の影に隠れ、シオンも同じく柱の影に隠れてタイミングを計る。
「何なの、アイツ・・・」
「いくら本調子じゃないにしても、シオンの動きについていっている。あの男、相当強い・・・!」
キリトとシノンは二人の戦いを見て死銃の強さを目の当たりにした。
それはシオン自身も感じていたことだった。
『あの無駄のない動き、銃の扱いに関して言えばやつの方が上か。なら・・・』
シオンは柱から姿を現した。銃をホルスターに収めた状態で───
「ッ!アイツ一体どういうつもり!?」
「アイツ、まさか・・・!?」
シオンが丸腰で出てきたところを死銃は逃さず撃つ、しかしシオンは必要最低限の動きで回避した。
「かわした・・・!?」
「行くぞ・・・!」
シオンは死銃に再び接近する。死銃はサイレントアサシンを捨てると、ハンドガンで応戦した。
「ハァアッ!」
「ッ・・・!」
死銃が撃った弾はシオンの髪を掠めて彼方へと飛んでいく。シオンの正拳突きをかわした死銃は後方へと後退、サイレントアサシンを回収した後逃走した。
「・・・逃げたか」
「シオン!」
二人の戦いを見届けたキリトとシノンが崖から下りてくると、シオンは軽く手を振った。
「ようキリト、シノン。二人とも無事だったか」
「そりゃこっちの台詞よ!あんな無茶苦茶なことして、どうかしてるわよ!!」
「その無茶苦茶をしなきゃ道は開けない、今さらうだうだ言ってる暇なんかねーよ」
シオンの言葉にシノンはため息をついてこれ以上言っても無駄だと判断すると、
「それであんた、さっきの動き何よ?丸腰で出てきたかと思えば銃に対して拳で挑むなんて・・・」
「ああ、あれはMCMAPの応用だ。あの距離でライフルは撃てないから好都合だった。それに、こうした方が避ける方に集中できる」
「MCMAPって?」
「対ナイフ、銃を相手にした近戦格闘術だ。常に最前線で戦うが故にこれは非常に高度で実戦的なんだ」
「一体誰から教わったの?」
「まあ、それに関しては企業秘密とさせていただこう」
シオンはマップで鉄橋からやや北西に位置する《都市廃墟》を見る。
「まずは《都市廃墟》を目指す、死銃もおそらくそこに向かってる」
「根拠は?」
「・・・勘だ」
「ハァ・・・?」
シオンの言葉に対してシノンは絶句の一言だった。
「ほら、立ち止まってないで行くぞ。これ被害はあまり増やしたくはない」
シオンはそう言って歩き出すも2、3歩歩いた程度で立ち止まった。
「・・・シオン?」
キリトが呼び掛けた瞬間、シオンはコルトガバメントを引き抜き振り向き様に先程キリトたちがいた崖に向かって発砲した。
「なッ!?」
「そこにいるのは分かってる、いい加減出てこい」
次の瞬間、四方から弾道予測線が飛んできた。その数、約20発。
「ッ、キリト!!」
「ああッ!!」
キリトは光剣、シオンはM945とコルトガバメントで応戦する。辺りがスローに見えてくる、その弾丸一発、一発がどこに着弾するのかを三次元的思考で把握、そして───
『俺はシノンやアリアのような遠距離の精密射撃は出来ない、なら俺は・・・』
「近距離で乱れ撃つ!!」
シオンは右に回避して飛んできた二発を避け、次に前方にいたプレイヤーをヘッドショットで仕留める。
『まずは一人!』
続いて右前方にいるプレイヤーに接近、相手は撃ってくるが照準が定まらず外れていく。シオンは足払いをしてバランスを崩させ、再びヘッドショット。【DEAD】の文字が出現する。
『二人目!』
周囲には確認できる限り、あと3人いる。シオンは後退するとキリトとシオンに言った。
「キリト、シノン!合図と同時に伏せろ!」
「「わかった!!」」
「よし・・・」
シオンはマガジンを多連弾式に入れ換えると身体を捻った。
「今だ!!」
キリトとシノンが伏せた次の瞬間、シオンは乱射しながら身体を高速回転を始めた。
「乱れ撃つぜぇえええッ!!」
弾は周囲のプレイヤーに被弾。一人は倒れ、二人はレッドゾーンまでHPを削った。
「クッ!こんのぉおおお!!」
一人はシオンにアサルトライフルを向けて乱射を試みるが、それは叶わなかった。
シオンに気を取られていた隙にキリトが接近、光剣で斬りつけ、残りのHPが吹き飛ばした。更にもう一人はシノンの狙撃によって倒された。
周囲に敵がいないことを確認すると、銃をホルスターに収めた。
「やはり待ち伏せがあったか」
「それにこの数、たぶん予選の映像を見て先に潰そうとしたのね」
シノンは倒した死屍累々を見て目を細める。
ここまで人数が集中していると異常であることは明らかである。
「そしてこの戦いを端から見ていた良いご身分の傍観者がいる」
「えっ・・・?」
「おい、いい加減出てこいよ。そこにいるのは分かってるんだ」
シオンがそう言うと、先程キリトたちのいた岩影から一人のプレイヤーが姿を現した。
「おーおー、怖い怖い」
「アリア!?」
「やっぱりお前だったか・・・」
「いや~、なんか突然爆発音がしたものだから様子を見に来ればシオンがドンパチしちゃってるんだもん。驚いちゃったよ~!」
アリアは肩に《アキュラシーインターナショナル AW50》を担ぎ、平然とした顔でシオンに言った。
「見ていたなら加勢してくれ」
「いやー、ごめんごめん♪」
「ねぇ、ちょっと」
「ん?なんだシノン?」
このあとシノンがシオンに対してとんでもない質問をした。
「あんたたち、付き合ってるの?」
「・・・は?」
「アハハッ!君、面白いね!!だけど残念、付き合ってないよ。たしかに“お姉さん”はシオンに興味はあるけど、この子には彼女がいるからね~♪」
アリアはニヤニヤしながら肘でシオンをつつく。
シオンはそれを払うようにして切り替える。
「茶番はこのくらいにして、行くぞ。中心である《都市廃墟》に!」
シオンたちは死銃を追うべくフィールドのほぼ中心、《都市廃墟》へと向かうのだった。
後書き
死銃との第一戦、そしてキリトたちと合流することができたシオン。都市廃墟ではどのようなバトルが繰り広げられるのか、次回をお楽しみに楽しみ!!
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ではでは~♪三( ゜∀゜)ノシ
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