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ハイスクールD×D 『存在の消失~ Memory life ~』

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五話『消失王の使い魔探し』

 
前書き
今回は少し短めです。 

 
【刀矢Said】

焼き鳥とのいざこざから一週間が過ぎた。

その一週間で変わったことといえば、リアスさんが家に住むようになったことだ。

ただ住むのなら別に俺はいいんだが、リアスさんは俺と一緒に寝たりしたりして、こちらの精神面が結構やばい状態なのだ。

同じ家に住んでいるから、登校する時間も同じでなぜか手を組んで歩いているため、皆からの視線が集まってくる。

男子達からは、喧嘩を売られる。(即、殺気をのせて睨むとすぐに終わるが…………)

まあ、こんなことがあって俺は今オカ研の部室内で、完全にdownしていた。

「使い魔…………ですか?」

イッセーが訝しげな物言いで返して、リアスさんが頷いた。

「そう、使い魔。あなたとアーシアはまだ持っていなかったわよね」

(使い魔ね。刀矢、あなたも使い魔を手に入れたらどうかしら?)

(俺も手に入れられるのか?その使い魔ってやつ)

俺は急に頭のなかで話しかけてきたロスティアに、そう問い返す。

(ええ、可能よ。……それに、刀矢も気づいているのでしょ?微量でも魔力が宿ってきているということに…………)

(ああ、魔力が少なからずも俺の中にあることは気づいているさ。でもさ、この魔力だけで使い魔なんてできるのか?)

俺はロスティアの質問に答えながらも、新たな疑問を問いかける。

(できるわ。魔力の問題は私が何とかするし、後は刀矢の意思次第よ)

(わかった。じゃあ、俺達も行くか)

俺はロスティアにそう言うと、リアスさん達の方に意識を向ける。

「部長、準備整いましたわ」

朱乃さんがリアスさんへ報告する。

「あの、リアスさん。俺も使い魔が欲しいんですけど……」

「刀矢も?…………いいわ、刀矢もいらっしゃい」

リアスさんの許可をもらって、俺はやる気をだす。

「というわけで、さっそくあなた達の使い魔をゲットしにいきましょうか」

有言即実行。

それがリアスさんだった。











転移魔方陣の光が止むと、そこは見知らぬ森の中だった。

「ここは悪魔が使役する使い魔のたくさん住み着いている森なのよ。ここで今日、イッセーとアーシア、刀矢には使い魔を手にいれてもらうわ」

(確かに多くの魔力の気配を感じるな、ここは)

「ゲットだぜ!」

「なっ!」

「きゃっ!」

「そこか!」

俺は突然現れた声の主に向かって、拾った小石を投げる。

「俺の名前はマダラタウンのザトゥーってあぶねぇだろ!?」

俺が投げた小石が当たる直前で、避けたおっさんがそう言ってくる。

「わるい。突然出てきたから、つい反応してな」

「ったく、まあいいか。では、改めて…………俺はマダラタウンのザトゥージ!使い魔マスターを目指して修行中の悪魔だ!」

おっさん…………いや、ザトゥージがそう言って自己紹介する。

「ザトゥージさん、例の子達と追加でこの子の使い魔にも協力してくれるかしら?」

「へぇ。さえない顔の男子と金髪の美少女さんに、さっきの人間さんのか?OK!任せてくれ!」

何やら頼りになりそうな、ザトゥージさん。

「さて、どんな使い魔がご所望かな?強いの?速いの?それとも毒持ちとか?」

「いきなり毒持ちとか危険極まりないこと言わないでくださいよ。なあ、刀矢?」

「確かにそうだが…………オススメってどんなのですか?」

ザトゥージさんはニヤリとしながら、カタログらしきものを取り出して迫力のある獰猛そうな獣の絵を指した。

「俺のオススメはこれだね!龍王の一角ーーーー『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマット!伝説のドラゴンだぜ!龍王唯一のメスでもある!いまだかつてこいつをゲットできた悪魔はいない!そりゃそうさ!魔王並の強さって話だからな!」

何やら物騒な事を興奮ぎみに言う、ザトゥージさん。

「いいわね。伝説のドラゴン同士なら意気投合できそうだわ。イッセー、ティアマットにしたら?」

(俺、相棒がロスティアで本当に良かったって今は思うよ)

(あら、嬉しいことを言ってくれるわね)

俺が心の中で呟いたことに反応するロスティア。

「イッセーが無理なら、刀矢はどう?」

「いや、無理ですよ!俺、人間ですよ!?魔王並の強さなんかを相手にするのはちょっと無理です」

突然リアスさんからの殺人的なお願いに、俺は焦ったが丁重にお断りした。

「あの、こんなのっけからクライマックスな使い魔はいいんで、もっと捕まえやすくて友好的なのいませんかね?」

イッセーがそう聞くと、ザトゥージさんは再びカタログのページをめくり始めた。

(刀矢、この森の気配だけど少しおかしくない?)

ロスティアのその一言を聞いて、俺は辺りの気配を注意深く探る。

(っ!?確かに、この森中の魔力が荒れている)

(これは不味いかも知れないわよ。刀矢)

(ああ、それに何かがこちらに近づいているしな)

俺はロスティアにそう言うと、リアスさん達の方に近づく。

「あの、何かさっきからこの森の中騒がしくないですか?」

俺がそう言うと、いち早くザトゥージさんが何かに気づいた。

「これは不味いぞ!グレモリーの嬢ちゃん、今すぐここを離れるんだ!」

「え?突然なんなの?」

「最近この森にはアイスフェンリルが住み着いてるんだ!そいつが今ここに!?」

ザトゥージさんがそういっている間に、氷の塊がこちらに飛んでくる。

俺は瞬時に反応して、剣を想像してその氷を切り落とした。

「っ!ザトゥージさん、今のはそのアイスフェンリルってやつの攻撃なのか?」

「ああ!間違いない。そして奴はもうこの近くにいるぞ!」

「だったら、ここは俺が何とかします!リアスさん達はその間に安全な場所まで避難してください!」

「ちょっと!?刀矢は大丈夫なの?」

俺が言ったことに、心配してくれるリアスさん。

「大丈夫ですよ。それにアイスフェンリルってやつを俺の使い魔にします!」

俺がそう言うと、リアスさんは呆れながらも皆とともにこの場を離れていってくれた。

「さて、ロスティア。どうする?」

(そうね…………アイスフェンリルと戦ってどちらが強いかを示したらいいんじゃない?)

「ハハハハハッ、わかったよ」

「オオオオオオオンッ!」

雄叫びが聞こえた後、蒼白い大きな狼らしき獣が現れる。

「いくぞ、ロスティア!リミッター解除!モード消失王!」

俺はそう叫んで、力を解放させる。

アイスフェンリルは俺の姿を見ると、前足の鋭い爪で切りかかってくる。

俺はその攻撃を炎の剣を想像して、受け止める。

ゴオオオオッ!

受け止めると同時に剣から炎が吹き出て、アイスフェンリルの足を焼き尽くしていく。

だが、それとは反対にアイスフェンリルの前足から冷気が放たれ、炎が凍っていく。

「ロスティア、こいつの氷って俺等以上の威力なのか?」

俺は一旦後退してロスティアに訪ねる。

(いいえ、威力でいえば私達の方が上よ。でも、氷と氷では相性が悪すぎるわ)

そんな事を話していると、アイスフェンリルがこちらに向かってブレスのようなものを放ってきた。

俺はそれを避けて、もとの位置を見る。

「おいおい、こいつって水のブレス何か使えるのかよ」

(それだけじゃないわ。あのブレスの後がもう凍っているわ)

「厄介なことこの上無いな!」

俺は再び振り下ろされた前足を横に避けて回避して、焼き鳥戦で使っていた蒼白の剣を作り出した。

「やっぱりこの剣が一番馴染みやすい!」

俺はそう言って、アイスフェンリルに向けて蒼白の剣を振り下ろした。

アイスフェンリルはそれを避けようとするが、足下が凍っていて動くことができない。

ガキッ!

俺が振り下ろした剣が、アイスフェンリルの牙に当たってその牙をへし折った。

「オオオオオオオンッ!」

「あっ、やり過ぎた…………かな?」

俺がそう思ったとき、目の前のアイスフェンリルが光輝く。

「おいおい、どうなるんだよ。こいつは…………」

(ふふふっ。どうやら私達の勝ちみたいね)

ロスティアがそう言っていると光が消えて、目の前には小さな狼?が立っていた。

「ワン!」

「え?…………ええええええええええ!?」

俺は突然の出来事に叫んでしまう。

「おまえがあのアイスフェンリルなのか?」

「ワン!」

そう言って、俺に近づいてきて目の前で座る蒼白い狼。

「なあ、ロスティア。これってどうなってんの?」

(刀矢が主だって認めたんじゃないかしら?)

「そういうもんなの、これ」

俺はそう言いつつも、小さくなったアイスフェンリルの頭を撫でる。

すると、気持ちいいのか目元を細めて尻尾を振るアイスフェンリル。

「こいつ、以外に可愛いな。…………名前はアイリでいいか」

俺はもう飼うこと前提で名前をつけた。

「よ~し、アイリ。皆のところに戻るぞ」

俺がそう言うと、アイスフェンリルことアイリが俺の肩に飛び乗る。

そして俺はあることに気付く。

「やべ!?辺り一面氷付けじゃん」

戦闘に集中していたせいで、気づかなかったが、辺り一面が氷付けになっていた。

「まあ、じきにとけるか…………たぶん」

俺はそう言って、リアスさんの所に向かって歩いていく。

歩いている最中、アイリが俺の肩から降りて前方に向かって氷の塊を放った。

「どうしたんだ?アイリ」

「ああっ!?すら太郎が凍っていく!?」

アイリが氷の塊を放った方から聞こえてくるイッセーの声。

俺はアイリを抱き抱えてその方向に走っていく。

「…………えっと、なにこの状況?」

俺が皆の所に到着すると、何故だか下着姿のリアスさん、朱乃さん、小猫ちゃん、アーシアさん。

そして、アーシアさんに抱きつきながら緑色の凍ったスライムのようなものと、触手を持って泣き叫ぶイッセー。

なんと言うか、色々カオスな状況だった。

「刀矢、良かった。無事だったのね」

俺を見つけていち早くこちらに来たリアスさん。

「はい。ですが、なんですかこの状況?」

「イッセーがあの触手とスライムを使い魔にするって聞かないのよ…………」

ため息をつきながら言うリアスさん。

あのザトゥージさんですら呆れている。

「あ~、俺のすら太郎よ!おまえの分までこの触手丸を可愛がってやるからな!」

何やら、もう止められそうにないイッセー。

バリバリバリバリッ!

そんな音と一緒にアーシアさんに抱きついているイッセーと触手だけが感電している。

その雷の発生源を見れば、小さな蒼い龍だった。

すると、その蒼い龍は止まっていた木上からゆっくりと羽ばたいて、アーシアさんに飛び付いた。

「あ、あの、ドラゴンくんを使い魔にしてもいいですか?」

アーシアさんの一言に微笑んで頷くリアスさん。

「ところで刀矢、あなたが抱えているその子犬はなんなの?」

リアスさんがそう聞くと、ザトゥージさん以外がこちらに聞きたそうな顔を向けていた。

「いや、何ってあのアイスフェンリルですけど?」

「そう、アイスフェンリルなの」

(あれ?皆、驚かないんだな)

俺がそう思っていると、皆が一瞬停止してもう一度こちらを見る。

「「「え?えええええええええええええええええ!?」」」

今度はザトゥージさんを含めて、叫んでいる。

「おい、人間の坊主。それは本当なのか?」

「ああ、何か光ったと思ったらこのサイズになってた」

俺がザトゥージさんの質問に答えると、ザトゥージさんが真剣に何かを考えている。

「…………俺もまだまだ修行がたりないみたいだぜ!」

ザトゥージさんはそう言って、森のなかに消えていった。

「あら?もう行ってしまったのね。…………結局、使い魔ができたのはアーシアと刀矢だけみたいね」

リアスさんはそう言うと、朱乃さんに魔方陣を準備するように言う。

「さあ、皆帰るわよ」

帰りの準備が出来て、魔方陣を展開するなかイッセーだけはまだ何かを言っている。

「部長!俺はもう一度だけ森のなかに入って、すら太郎達を!」

「アイリ、あのバカの頭を冷やしてやってくれ」

「ワン♪」

そう言って、アイリはイッセーを凍らせる(氷は息ができるようにしてある)。

俺達は呆れながら、部室に帰るのだった。


 
 

 
後書き
次回、六話『現れる聖剣の使い手』 
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