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ハイスクールD×D 『存在の消失~ Memory life ~』

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四話『降臨する蒼き消失王』

【刀矢Said】

ドンッ!ドンッ!

(ここは…………どこだ?)

俺の目の前に広がる謎の光景。

紫色の月が浮かんだ場所で争い合う悪魔と天使、堕天使そして二頭の龍。

(なんなんだこれは!?)

そして俺はあることに気づいた。

恐らくは悪魔側だと思うが、その筆頭にサーゼクスさんによく似た女性がいるということに。

それぞれの勢力は二頭の龍に向かって協力して攻撃しているが、龍は二頭とも無傷。

そんななか突然、赤い龍の体に傷ができる。

その場にいた全員が恐らく攻撃をした方を見る。

そこにいたのは、蒼い鎧を纏った人物だった。

(あれは、いったいなんなんだ?)

その蒼い鎧を纏った人物は、赤い龍に向かって槍を振るい、さらには剣を使って角を切っていった。

(強い!)

俺はその光景を見て、それ以外のことを考えられなかった。

と、ここで俺が今まで見ていたものが停止する。

「やっと目が覚めたのね」

どこからか涼しげな声が聞こえる。

「…………その声、レーティングゲームの時の……」

「ええ、覚えていたのね」

そう言って姿を現したのは、蒼いドレスに透き通った青い長髪の女性だった。

「あんたはいったい何者なんだ?」

「…………そう。やっぱりわからないのね。……私の名前はロスティア。全ての者から忘れられし神よ」

「なに?忘れられし神?」

俺はそこに引っ掛かり、聞き返す。

「そうよ。そして、私は貴方の持っている力の源のようなもの。まあ、パートナーみたいなものよ」

「っ!?…………あんたが俺に関しての記憶を皆から消しているのか?」

俺は今まで我慢していた事を殺気をのせて聞く。

「確かにそれは私のせいなのかもしれない。でも、それは今では少し変わっているはずよ?」

「どういう意味だ?」

「それは今は知らなくていいわ」

「ふざけるなよ!俺は「こんなことをしていてもいいのかしら?」なに?」

「レーティングゲームは貴方達の敗けらしいわよ?」

俺はその言葉を聞いて、少しだけ冷静さを取り戻す。

「…………リアスさんはどうなった?」

「それは……あの焼き鳥?だったかしら、あれと結婚するんじゃない?」

俺はその言葉を聞いて、リアスさんの修行中の夜の表情を思い出していた。

(あの時、リアスさんは泣いていた。焼き鳥…………ライザーとの結婚が嫌だからと言っていた。…………だったら俺は)

「なあ、ロスティア。力を貸してくれ」

「私に力を借りて何をするき?」

少し笑いながらそう言うロスティア。

「決まっている。リアスさんとの約束を…………助けるって言った約束を守りにいく!」

「フフッ、フフフフ。やっぱり、貴方とは仲良くできそうだわ。いいわ、力を貸してあげる。でも、これだけは言っておくわよ?力に呑み込まれないようにしなさい」

最後の方は真剣な顔で言うロスティア。

「ああ!ありがとな、ロスティア……いや、相棒」

「……それじゃあ、力の使い方だけど使いたいときにこう言いなさい。『*************』わかったわね?」

「了解。じゃあ、また」

「ええ、さようなら」

俺はロスティアと別れると、自分の部屋のベッドで目を覚ました。

「…………よし。今は俺の事よりも、リアスさんだ」

俺は立ち上がると、駒王学園の制服に着替える。

着替え終わると、突然俺の部屋に魔方陣が展開されて誰かが転移してくる。

「起きていたんですか?」

転移してきたのはグレイフィアさんだった。

「今起きたばかりですけどね」

「それで、病み上がりの人が何処に行こうとしているのですか?」

「リアスさんを助けに行きます!」

俺の返答に少し驚きながらも、グレイフィアさんが何かの紙を渡してくる。

「これは…………魔方陣?」

「サーゼクス様の特注品です」

「サーゼクスさんはわかってたんですね。俺が諦めないって」

俺は笑いながらグレイフィアさんに、そう言う。

「彼は諦めないだろうからね……とのことです」

「ありがとうございます。…………これは直接リアスさんのいるところに?」

「いえ、安全性を考えて会場の前に転移できるようになっています」

「そうですか…………あの、イッセー達は?」

俺は少し気になった事を聞いてみる。

「その方々ならもう会場に行っておられます」

「わかりました。それじゃあ、俺はもう行きますね」

俺は早速、魔方陣を展開して移動しようとすると、グレイフィアさんに呼び止められる。

「待ってください。…………リアスの事を頼みます」

「はい!」

俺は素のグレイフィアさんの頼みごとに、真剣に答えて転移する。











【イッセーSaid】

俺達は部長とライザーの婚約パーティーに来ていた。

俺と木場や小猫ちゃん、朱乃さんはまだ諦めてはいなかった。

それに、最後まで俺達の事を思って戦って、そして負けてしまった刀矢がこれで終わるわけがないと思っているからだ。

「刀矢はまだ来ないのかな?」

「まだ目が覚めていないみたいだよ」

「でも、刀矢君ならきっと……」

「刀矢先輩は絶対に来ます」

上から俺、木場、朱乃さん、小猫ちゃんがそう言う。

恐らく、一番悔しく思っているのは刀矢のはずだ。

俺がそう思った時、会場の証明が一斉に消えて、中央のステージにスポットライトが当てられる。

そしてその先には、ライザーが立っている。

ライザーは会場を見回すと、マイクを手に取った。

「冥界に名だたる貴族の皆様ご参集くださりフェニックス家を代表して御礼申し上げます。本日、皆様においで願ったのはこの私ライザーフェニックスと名門グレモリー家の時期当主リアスグレモリーの婚約という歴史的な事を共有していただきたく願ったからです。それでは、ご紹介致します。我が妃、リアスグレモリー」

ライザーがそう言ったのと同時に、展開されるグレモリーの紋様の魔方陣。

そこから登場するのはドレス姿の部長。

ドオオオオォォォォォォォンッ!

音がした方を振り向けば警備をしていた人がドアを壊して、飛んできた。

「焼き鳥野郎!リアスさんを返してもらいにきたぜ!」

壊れた扉の先には、駒王学園の制服を着た刀矢が立っていた。











【リアスSaid】

私は今、ライザーに呼ばれるのを待っている。

(…………刀矢)

私が考えることは、レーティングゲームの際に全力で私を守ってくれた刀矢の事。

あのゲームのあと、刀矢はすぐに自宅に運ばれて治療を受けていた。

(刀矢は大丈夫なのかしら。…………といっても、もう私には関係の…………でも、私は刀矢の事が!?)

私はこんなときだからこそか、混乱していた。

(修行中の時、私は刀矢の事が好きだということに気づいた。…………あの時、守ってくれると言った刀矢を今は信じる)

私がそう決意したとき、ライザーが私の名を呼ぶ。

私は転移魔方陣を展開して会場に転移した。

そして到着した矢先、会場の扉が突然壊れ、警備をしていた悪魔が吹っ飛んできた。

「焼き鳥野郎!リアスさんを返してもらいにきたぜ!」

そう言って壊れた扉の先には私が信じると決意した男性ーーーー風鳴刀矢が立っていた。













【刀矢Said】

俺はグレイフィアさんからもらった魔方陣の描かれた紙を使って、リアスさんがいる会場の前に転移してきた。

「ここって、あの時見ていた場所に似てるなって…………今はリアスさんの方が優先的だな」

俺はそう考えて、会場の入り口を探す。

「入り口はって、あれか。警備員が2~3人ぐらいか」

俺は状況をすぐに判断して、気配を消して入り口を警備していた二人に近づいて、不意打ちぎみに蹴りを全力で入れて気絶させる。

「すみません」

俺は一言そう言って、会場の中に入る。

中は結構広いと考えていた俺だったが、実際は一本道で警備員が一人だけ立っていた。

俺が近くまで来ると、あちらも気づいて攻撃をしてくる。

魔力を使わないところを見るに、パーティーが始まっていると俺は思い、一気に距離を積めて全力で回し蹴りを警備員に当てて、その後ろの扉ごとぶっ飛ばした。

ぶっ飛ばしたと同時にざわめく会場内。

俺はそんな中、中央にいる人物に向かってこう言う。

「焼き鳥野郎!リアスさんを返してもらいにきたぜ!」

「なっ!?なぜここに貴様のような人間がいる!ここはお前のような下劣な輩が来るような場所じゃない!」

「そんなことはどうでもいい!俺は言ったはずだ、リアスさんを返してもらいにきたとな!」

そう言う俺に近づいてくる複数の警備員。

ドゴッ!

「遅いぞ、刀矢!」

ザシュッ!

「本当だよ!」

ドゴッ!

「遅いです…………刀矢先輩」

ズシャーン!

「うふふ、ここは私達が引き受けるので刀矢君はリアスを」

そう言って警備員を相手に戦っていくイッセー、木場、小猫ちゃん、朱乃さん。

「さて、決着をつけるとしようか?焼き鳥さん」

「リアス殿、これは一体!?」

俺がそう言うと、慌てたオッサンがリアスさんにそう聞く。

「私が用意した余興だよ」

乱入してきた第三者の声。

聞き覚えのある声に、俺は微笑む。

「さ、サーゼクス様!」

「余興とはどういうことですか!?サーゼクス様」

サーゼクスさんの登場に慌てる焼き鳥。

「彼の力が見たくて、ついグレイフィアに頼んでしまいましてね」

その言葉に対して、会場のざわつきがもっと大きくなる。

「ライザー君。この間のレーティングゲーム、しかと拝見させてもらった。しかしながら、ゲーム経験の少ない妹相手では些か…………」

「サーゼクス様はこの間の戦いにご不満が?」

「いやいや、私が言葉を差し挟めばレーティングゲームそのものが、存在意義をなくしてしまう。ましてや今回は事情が事情だ。旧家の顔もたたないだろう?」

その言葉と威圧に黙りこむ焼き鳥。

「可愛い妹のせっかくの婚約パーティー。派手な趣向も欲しいものだ。そこの少年、君の有する未知数な力をこの目で直接見たいのだが、どうかな?」

「なるほど、つまりは……」

「未知数な力対フェっニックス。これだけの力で会場を盛り上げてはくれないかね?」

上手くサーゼクスさんの言葉にのっていく焼き鳥。

「いいでしょう。魔王様直々に頼まれたのなら、このライザー、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう!」

完全にやる気のある焼き鳥。

「ふむ。では、少年。君が勝った場合の代価は何がいい?」

「サーゼクス様!?人間ごときに、代価などと!?」

サーゼクスさんの意見に反対気味のオッサン達。

「だったら、俺が負けた場合はこの命を賭けます。だから、俺が勝った場合はリアスさん…………リアス・グレモリー様を返してください!」

俺の言ったことに会場中が反応する。

「良かろう。では、二人ともこちらに来てくれるかな」

そう言ってこちらに来るように促す、サーゼクスさん。

俺達はサーゼクスさんに近づくと、サーゼクスさんは会場の中央に新たな空間を作り出した。

俺と焼き鳥は互いに別の方向に移動して、その空間に入る。

対面するように、空間内に来た俺と焼き鳥。

俺と焼き鳥の準備ができた途端、審判役の悪魔が叫ぶ。

「開始してください!」

その言葉と同時に動き出す焼き鳥。

「どうした、人間。動かないのか?」

俺に向けて何かを焼き鳥が言ってくるが、俺はそれを無視してリアスさんに向けてこう言う。

「待っててください、リアスさん。さっさと焼き鳥を潰して助け出しますから!」

俺はそう言うと、焼き鳥が飛ばしてきた炎の塊を避けて、呟く。

「リミッター解除!モード消失王ッ!」

俺がそう言うと、俺の周囲に蒼いオーラが現れて俺を包み込む。

そしてそのオーラが消えると、俺の姿は蒼くて長い髪に透き通る位の蒼い服を着た姿に変わっていた。

「いくぞ、焼き鳥さん?」

俺は軽く地面を蹴ると、焼き鳥の懐に入って蹴りを入れる。

焼き鳥はそれをくらって吹っ飛ぶが、翼を使って空にとんでダメージを減らしてくる。

「今回はこの前とは違う。出し惜しみなしでいくぞ!」

そう、俺のこの力は今までのように記憶の消失をしなくてもいいという能力だ。

「ソードオブクリエイト」

俺はロスティアと合う前に見た、蒼い鎧を纏った人物が持っていた剣を想像して作り出す。

なぜだか知らないが、俺はこの剣の使い方を知っている。

俺は剣を軽く握ると、焼き鳥に向かって高速で接近して剣を一振りする。

ピキッ!

焼き鳥を切ったところが、一瞬だが凍るとすぐに溶ける。

「俺に氷などはきかん!」

そう言って俺に炎の塊を放ってくる焼き鳥。

「おい、焼き鳥。お前はリアスさんの気持ちを考えたことがあるのか?」

俺は焼き鳥の攻撃を避けながら、そう言う。

「リアスの気持ちだと?そんなものは今はどうでもいいものだ」

「そうか…………だったら、なおのことお前なんかにリアスさんはわたさねぇ!」

俺はもう一度懐に飛び込んで今度は剣を突き刺す。

「だから、何度やろうが結果はおなじだ!」

そう言って近距離で俺に向けて炎を放ってくるライザー。

わかっていた。

俺には炎は効かないということを、どんな属性の魔力も効かないということを。

「凍てつけ!プリズン・アイス!」

俺がそう言った瞬間、焼き鳥が放った炎は氷漬けになった。

「なっ!?ば、バカな!この俺の炎がたかが氷に!」

そう言っている焼き鳥の足元も凍っていってる。

「覚悟しとけよ!焼き鳥」

俺が殺気を込めてそう言うと、焼き鳥が慌ててこう言ってくる。

「わ、わかっているのか!?この婚約は、悪魔のために必要なことで「知るかよ!俺はただ約束をまもるだけだ!」っ!?」

「心配するな。お前に止めをするのは、あの人の技だ」

俺はそう言うと、片手を前につきだして叫ぶ。

「コピーオブキングダム!」

そう叫ぶと、つきだしていた俺の右手に赤黒い魔力の塊が集まり始めた。

「これで終わりだ!焼き鳥!」

俺は右手にできた『滅びの魔力』を最大火力で、動くことのできない焼き鳥に向かって放った。

一瞬の静寂の中、俺の放った滅びの魔力が焼き鳥に当たり、完全に意識を刈り取った。

俺は意識を失った焼き鳥に近づいていく。

「待ってください。もう兄は戦える状況じゃ!?」

そう言って俺と焼き鳥の間に入り込む、焼き鳥の妹。

「わかってるさ。俺はただその氷を解除しにきただけさ」

俺はそう言って焼き鳥の足を覆っていた氷を解除する。

「そこまでです!」

審判役の悪魔がそう言って、俺はもといた会場に転移していた。

俺はすぐにリアスさんのもとにかけよって、こう言う。

「行きましょうか?リアスさん」

「…………刀矢」

俺は手を差し出して、リアスさんを引き寄せる。

「ここにいる悪魔の全員に言っておく!今後、リアス・グレモリーに手をだせば今回のように俺が………………いや、この消失王がぶっ潰す!それを覚えておけ!」

俺は殺気をのせてそう言うと、リアスさんを連れて会場を出る。

俺達の後ろには、オカ研の部員達がついてきている。

「さてと、これの裏の魔方陣を使って…………」

俺はグレイフィアさんからもらった魔方陣の描かれた紙の裏にあった、もう一つの魔方陣を使う。

すると、出てきたものは転移用の魔方陣ではなくて、大きな鳥?のようなもの。

「グリフォンですわね」

朱乃さんが目の前の鳥を見てそう言う。

「刀矢、お前は部長と先に帰っとけよ」

「そうだね。僕達はあとからいくからね?」

「…………行ってください」

イッセー、木場、小猫ちゃんがそう言ってくる。

「じゃあ、行きましょうか?リアスさん」

「ええ、そうね」

俺はグリフォンに飛び乗ると、リアスさんを支えながらグリフォンに乗せる。

「じゃあ、先に帰ってるからな!」

俺はそう言うと、グリフォンの手綱を握り、空を飛ぶ。

会場から少し離れた空の上で、俺はリアスさんに呼ばれる。

「刀矢…………」

「なんですか?リアスさん」

「貴方はなぜ、私を助けにきたの?」

「約束したじゃないですか?俺だけではなくて、皆でリアスさんを助けるって」

俺が平然とそう言うと、リアスさんは悲しい表情をしてこう言う。

「あなた達はライザーに勝てると思っていたの?」

「勝負には絶対というものは存在しません。それに…………俺はリアスさんに支えられていたから、勝てたんですよ」

俺は笑いながら言った。

「それに……リアスさんが悲しむ姿を見たくなかったから…………あなたが傷つく事が本当に嫌だったからこそ、俺はこうしてあなたを助けることができた 」

俺はそう言って、リアスさんの顔を見る。

リアスさんは泣いているが、表情は笑っている。

「ありがとう。…………でも、また縁談の話が来たら……」

「会場でも言いましたが、何度だって助けますよ。俺はリアスさんを守るためなら、なんだっーーーー」

俺はそれ以上の事を言えなかった。

何故なら、リアスさんが俺の唇に自分の唇を合わせているからだ。

つまりは、俺とリアスさんはキスをしている。

「リ、リアスさん!?」

「ファーストキスよ?日本では女の子が大切にするものよね?」

「は、はい」

俺は突然の事に、動揺しながらそう言い返す。

「これは私を助けてくれたお礼よ。そして、これは…………」

チュッ。

「私は、あなたの事が好きよ。刀矢」

突然のリアスさんの告白。

俺は一瞬、面をくらってしまうが、すぐに冷静になる。

「俺も…………俺もリアスさんの事が好きですよ」

俺がそう言うと、リアスさんは顔を赤くした。

こうして俺は焼き鳥との決着を着けるのだった。 
 

 
後書き
五話『消失王の使い魔探し』 
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