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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第三十六話 昔

 
前書き
時間軸はX2辺り。
少し息抜きで。 

 
エックスは自室で仮眠を取っていた。
シグマの残党がまだ活動しており、いつ休めるようになるかは分からないために休めるうちに休んでおくのだ。
傍らに愛しい人の形見を置いて。



































『…ス……クス……エックス?』

ふと聞こえた声に目を見開くと、エックスは思わず目を見開いた。

エックス『…ルイン?』

ルイン『おはよう、エックス』

満面の笑顔を浮かべて言うルインに自然とエックスの身体が動いてしまった。

エックス『治ったのかルイン!!』

ルイン『ひゃ!!?』

力強く抱きしめられたルインは思わず声を上げた。

『何をしてるんだお前は?』

エックス『痛っ!!?』

頭を叩かれたエックスは叩いた手の方に視線を遣ると…。

エックス『ゼロ!!?』

ゼロ『何だエックス?寝ぼけているのか?』

大破しているはずのゼロがここにいる。

エックス『え…あ、何で…?』

ゼロ『本当に寝ぼけてやがるな…今日は召集だぞ。早くしないとシグマ隊長に何か言われるぞ』

エックス『シグマ…隊長が?』

ルイン『どうしたの?エックス?』

首を傾げながら聞いてくるルインにエックスは笑顔を浮かべて首を横に振った。

エックス『何でもないよ』

エックス達はブリーフィングルームに向かい、本日の予定を聞いた。
後に部屋に備え付けられているデスクで今日の日にちをチェックするとシグマが反乱を起こした日であることに驚いた。
エックスはシグマを警戒していたが、シグマは何もしない。
それどころか正常そのもので、イレギュラー化の兆候は訪れなかった。




































エックス『…………』

エックスは自室のベッドで寝転んでいた。
最近はエックスの株が上昇している。
ゼロに負けるとも劣らない成績を叩き出し、第17番精鋭部隊のエースとして活躍を期待された。
昔と違ってイレギュラーに対してためらいがなくなった。
それを皆が喜ぶ。
容赦なくイレギュラーを叩き潰した時の同僚達の唖然とした顔ったらなかった。
シグマだけは表情を変えずに労いの言葉を言うと、去って行ったが…。
あいつも成長したんだとみんなが言う。
しかしルインは違った。
エックスは最初から強かったと。
それに同僚達が笑っていたが、彼女の優しさを久しぶりに感じていた。
結局シグマは反乱を起こさなかった。
ケイン博士は悪戯を仕掛けてきて、自分達に撃退され、ゼロはデスクワークをサボってシグマに注意される毎日。
え?エックスとルイン?
2人は基本的に真面目なので仕事をサボりません。

ルイン『エックス~』

紙袋を持ったルインがエックスの部屋に来る。

ルイン『たまには見晴らしのいい屋上でご飯にしようよ』

エックス『ああ、それもいいね』

2人で屋上に向かう。





































エックス、ルイン『『何でここにいるのゼロ?』』

ゼロ『寧ろそれは俺のセリフなんだがな』

何故か屋上にはシグマにデスクワークを命じられたはずのゼロがいた。

エックス『またサボっているのか?』

ルイン『もう、サボっちゃ駄目だよゼロ』

エックスが言い当てたので繋ぐように叱る。
大してゼロには効果がないようだ。

ゼロ『お前達は何しに来たんだ?』

ルイン『また話をはぐらかす。ご飯を食べに来たんだよ』

ゼロ『そうか』

エックス『シグマ隊長、ゼロを発見しました。』

反省しないゼロにエックスは最終兵器シグマを始動させた。
その後、ゼロは問答無用で連行された。

ルイン『全くもう、ゼロのデスクワーク嫌いには困ったもんだよね?』

エックス『やれば出来るのに何でやらないんだろうな?』

苦笑するエックス。
2人は紙袋から昼食を取り出すと食べ始めた。
あれから世界は平和だった。
時折イレギュラーは発生するけれど基本的に世界は平和であの大戦は起こらなかった。
こちらが現実ならいいのに…。
しかし違う。
これは夢だ。
自分が望んだ都合のよい夢。

エックス『ルイン』

ルイン『何?』

エックス『君は幸せか?』

ルイン『え?うん、平和でゼロやみんながいて、そしてエックスがいて、私凄く幸せだよ?』

エックス『そうか…』

エックスは彼女の手に触れた。
都合のよい夢は此処まで。
エックスは涙を流した。

エックス『ありがとうルイン、俺にこんな幸せをくれて。もう大丈夫だ。これで俺はまた頑張れる。君が目を覚ます時まで世界を平和に出来るように頑張るから』

夢なのに何を言ってるんだと自嘲するが、ルインは満面の笑みを浮かべた。

ルイン『うん、でも私はエックスだけに任せたりはしないよ?私もエックスの力に…支えになるから』






































身体を起こすと、エックスは辺りを見回し、深い溜め息を吐いた。

エックス「……ありがとうルイン。」

ルインの形見を携えて部屋を後にしようとした時、警報が鳴る。

『シティ・アーベル西17番地区にてイレギュラー反応!!エックス隊長は出撃して下さい!!』

エックス「…行くか!!」

格納庫に向かい、チェバルに跨がると紅のチェバルと朱のチェバルをチラリと見遣り、現場に急行した。 
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