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『自分:第1章』

作者:零那
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『語り合い』

犬っころとカラオケ店。
まず酒を頼む。
おなか空いた言うから御飯モノもガッツリ頼んだ。
で、躊躇無くいきなり歌い出す。
アカペラじゃ無いのが逆に新鮮だったりする...
注文したモノが全部揃ってから食べ出す犬っころ。
あっと言う間にペロッと食べたのにはビックリした。

そしたら、真剣な顔で真っ直ぐ零那を見るから少し焦った。

『今日は、零那さんの人生、過去を教えて欲しかったんです。前回話した後、いろいろ考えてたんです。俺の今後の人生は、零那さんの過去を詳しく聞けば絶対に何かが変わると思った。こないだは何も聞かんかった...聞けんかったけど、知りたい!嫌じゃなければ!』

零那は迷った。
正直、面と向かって過去を話して欲しいなんか言われたこと無いし。
でも、零那の経験が役に立つんなら...

『解った。何をドコから話せば良い?聞く方も覚悟は要るよ?零那も覚悟する。あんたを信じる。あんたの為になんねやったら話す。』

まず家庭環境。
最悪な実母と養父からの虐待、レィプ、兄姉からのイジメ。
家庭内生き地獄。
養父の子供やから憎んでた罪無き弟の事。
最愛の実父の事。

弟に対しての憎しみは、少しの間一緒に暮らしただけで綺麗に無くなった事実。


他の家族に対してはマダ憎しみが消えてない事実。

養父に限っては見かけたら殺そうとさえ思ってた。
でも、実際見かけた時は過呼吸なって呼吸困難から心停止。
こっちが殺された。
生き返らされたけどね。

情けないやら悔しいやら...
殺してやるって気持ちは強いくせに体はビビってんねん。
まいるわぁ...
負けた気ぃしかせぇへん。


犬っころは、たったこれだけの事で既に心がしんどそうだった。

『そんな事、ドラマや本の世界みたいで信じれん...』

『ほんまやな。夢だったら良かったのにって思うよ。ドラマや本かぁ...なるかな?売り込もっか♪』

半分本気で、半分冗談。
笑いながら言った。

『無理して強がらんといて下さい!一生、絶対、何があっても消えん傷やのに...』

『ん~...そんな思うほど無理してないよ?でも文章能力無いから売り込みは無理か♪
それに意外と強くなれるもんやで?てか、警察と検察の聴取が拷問やったから麻痺ったんやろな♪
弱っちぃまんまやったら生きていかれへんしな。こんな醜い汚い世界じゃ。だって矛盾だらけやんか世の中。
素直に真っ直ぐ生きるなんか無理。てか、純粋な子ほど生きにくいやん?自分も汚れるしかないんやなって思う』


『...俺なんか、全然やのに悩んで苦しんで馬鹿みたいや...』

『それは違う!イタミや苦しみは他人と比べるもんじゃない!!
綺麗事や理想論ばっか言ってても何も変わらん。こんな時代の世の中に期待なんかするだけ時間の無駄。
零那は、死にきれんかった未遂も、死んだことも、何回もある。
そんな人生でも、零那を大事に想ってくれて本気で叱咤してくれるお父さん代わりの人が居た。本気で殴ってくれる姉代わりの子が居た。真っ直ぐ純粋に強く慕ってくれる妹代わりの子が居た。
だから今此処にこうして生きてるんやと、生かさしてもろてるんやと...
そんな大事な人達に出逢えた奇跡に感謝して生きてる。
だから、今迄の人生100%が深い闇ってだけじゃない。』

『...なんか、俺情けないなぁ男やのに...痛感した。零那さんみたいに男らしく強くならなあかんなぁ俺!!』

『男らしい言われるほどや無いわ。マダマダ強くならなあかんねん...全然足りん』

『俺、いつかは零那さんより強くなって全てを受け入れられるような男になるけん!!』

『全ては無理ちゃうか?今話したのって、基盤になる初歩的な家庭の事情のみやし。マダマダこの先が波乱万丈やのに♪』

意地悪っぽく笑った。


そしたら真剣に言い返された。

『いつか絶対受け止める!!!』

『...ありがとぉ。でもその殆どは零那の弱さからくるもんだったと思うから...
それより、ほんの少しでもあんたの役に立ったん?あんたが前に進めるなら零那に出来ることがあれば何でもする。
頑張って!としか言いようがないけど...今は、とりあえず歌っとく?♪』

『あはははははは♪』

犬っころ何故か大爆笑。

『今日は零那も飲も!酔いたいわ♪』

事務所で寝れるなら少しくらい酔っても良いよね?

『酔ったら歌って下さいね!』

『あはははははは♪』

零那が音痴でシラフじゃ歌わんのも言ってた。
やから、鋭いとこツッコまれた。

ユウには非通知から留守電入れといた。
今日は友達の家で寝かせて貰うから屋上には居らんよって。

 
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