| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五章 楽園
  第8話 肝試し

お供え物。

それは、神や仏、あるいは先祖や、故人の魂など、信仰あるいは崇拝する対象に捧げるものを指す。

これを踏まえて、皆が持ってきたお供え物の品を見ていこう。


ーーーー
ーーー
ーー


駅前の池

琴里「うぅ……お、お兄ちゃん!もう帰るのだ!」

士道「え?まだ来たばっかなのに?」

そりゃそうだろう。夜になり辺りは暗い。霧も少し出ていて不気味だ。

白リボンの琴里は怖くないとか言っているが、明らかに嘘だ。

一方「つゥーかよォ。なンで言い出しっぺの殿町だっけ?そいつがいねェンだよ」

佐天「そうですよね〜。せっかくお供え物も持ってきたのに……」

そう言う一方通行と佐天の横でダークオーラ全開のやつが一人いた。

上条「不幸だ……」

何も知らない者が見れば、幽霊だと思って逃げ出す人がいるかもしれない。例えば琴里とか。

ちなみに、今日彼は買い物当番だったのだ。

それでスーパーでのセールをおばあちゃんの道案内をしたせいで逃し、レジに並べばお金が足りず、銀行にお金を下ろしに来たところ銀行強盗に出くわし、財布を取られ、トボトボ帰ってきて、自分がお供え物を何も買ってないことに気づき、さらに落ち込んで前を見ずに歩いていたら足を踏み外し池へとダイブした。

こんなところだ。

不幸の域を超えているような気もする。

こんな上条の前ではふさけることなど出来はしない。例えばわざと怖いとか言って士道に抱きつくとかな。

凜袮「ねえ、殿町くん待ってる間暇だしさ。みんなが持ってきたものを見せ合う……ってのはどうかな?」

と、凜袮の言葉にみんなは賛同した。

暇だしな。

この言葉が上条を地味に傷つけてるとも知らずに。

士道「なら十香から見せてくれよ」

十香「うむ!私が選んだのはこれだ!」

十香がカバンの中から取り出す。

その瞬間、とてもいい匂いがした。

凜袮「十香ちゃん、これは……」

十香「商店街で買ったケバブサンドだ!冷えても中がジューシーでたまらんぞ!」

お供え物の意味を分かってないな。

士道「そういう凜袮は何を持ってきたんた?随分重たそうだけど……」

凜袮「えっと……これなんだけど……」

後ろから、ドサっという音と共に出されたのはスイカだった。

上条「すげぇ……上条はこんなデカイスイカ食べたことありませんよ?」

確かにかなり大きい。

士道「上条は何にしたんだ?まさか来る途中に落としたりしてないよな?」

上条「……」

上条はうなだれた。

士道「マジかよ……じ、じゃあ佐天さんは?」

佐天「私はあーくんと一緒にコレを買いました」

と、取り出したのは一本の花だった。

佐天「これは『スターチス』花言葉は『変わらない誓い』です」

士道「ヘェ〜、都市伝説になぞらえたのか……ん?佐天さんは何で都市伝説を知ってるんだ?」

佐天「今日、上条さんと一緒に帰ってきた殿町さん?だっけ?っていう人に聞きましたけど……」

士道「(あの野郎……)」

士道は心の中で殿町を恨んだ。

士道「折紙は?」

折紙は佐天と一緒で、花を取り出した。

折紙「白百合。お供え物」

さすが優等生だ。その辺はきっちりしている。

士道「じゃあ次は四糸乃だな」

四糸乃「は、はい!あの……私はこれです!」

取り出したのは、牛……のぬいぐるみだった。

いや、正確にはパペットだった。

どうやら前に令音からもらっていたらしい。

よしのんが寂しくならないようにもらったのだが、右手に付けて話しかけても無駄だったらしく、それで同じ牛どうし仲良くできれば。といつことらしい。

まあ、よしのんが特別なだけなのだが。

士道「琴里は?」

琴里「うー……おにーちゃんは?」

士道「ん?俺はこれだ」

上条「お?うまそうなショートケーキだな」

士道「だろ?商店街で買ったんだ」

もう、お供え物は何でもありらしい。

士道「……で?琴里は?」

琴里「ふふ……私はとっておきのこれだー!」

と、琴里が出したのは……



棒付きキャンディー



士道「……って、いつもと変わんねぇじゃねぇか!」

琴里「違うもん。これ地域限定発売だからいつもと違うもん」

士道「あ、ナルホド……」

違いがよく分からない士道だった。

さて、

殿町はどこだ?


ーーーー
ーーー
ーー




遅い。遅すぎる。約束の時間はとっくに過ぎてるのに。

まさか寝てる?いやいや、女の子絡みでそれはない。

なら道に迷った?いや、場所を指定したのはあいつだ。それもない。

神隠し?そんなバカな。

士道「ちょっと俺、殿町探してくる。なんか嫌な予感がする」

上条「じゃあ俺も行く。一方通行はここで待っててくれ。流石に女の子だけを残していくのはマズイからな」

一方「へいへい……」

琴里「うー……は、早く帰ってくるのだぞ!」

士道「分かったよ。じゃ、行ってくる」

と、怖がりの琴里の声を聞いて、駆け足で探しに行った上条と士道であった。


ーーーー
ーーー
ーー



士道「おーい!殿町ー!どこだー?」

上条「いたら返事しろー!」

しかし返事はなかった。

士道「ったく……どこにいるんだよ」

上条「まさか神隠しにあったとか?」

士道「……ま、まさか……」

上条「実は幽霊に……」

二人の身体が少しずつ震え出した。要するに怖いのだ。

その時、

ガサッという音がした。

士道「ひっ!」

上条「うぉっ!」

情けない声を出しながら音源の方を向く。

そこには、




凜袮「あ、士道。当麻」




上条「り、凜袮?」

士道「何でこんなところに……」

凜袮「う、うん……士道と当麻がなかなか帰ってこないから探しに来たんだけど……」

上条「そ、そうか……」

優しすぎるだろ。っと上条は思った。

凜袮「でも良かった。歩いてたら変なとこ出ちゃうし、暗いから心細いし……殿町くんは?」

士道「それがさっぱり……」

凜袮「なら私も手伝うよ」

士道「え?みんなのところに戻らなくてもいいのか?」

上条「じゃあ何のためにここまで来たんだよ……」

士道「あ、そっか……じゃあ……」

凜袮「ふふ……お手伝いさせていただきます」

その時、凜袮の頬が少し赤く染まっているのが上条には分かった。

俺たちはまだ探していない方向へと歩き出した。

士道の隣を凜袮が歩き、俺はその後ろを歩いている。

凜袮「ねえ士道」

士道「ん?」

凜袮「今日のプール楽しかったね。十香ちゃん、大はしゃぎしちゃって」

士道「そうだな。ああじゃないと十香らしくないからな」

凜袮「ふふ……そうだね」

お前らは夫婦みたいな会話をするな。と上条は思った。

全く、殿町を探すという目的はどこへ行ったのやら……

その時、




ウウウウゥゥゥ………




何かの鳴き声らしき音がそこに響いた。

上条「(何だ……?)」

士道と凜袮は気づいていないらしい。

そして

?「出たあああぁぁぁぁ!!」

誰かの絶叫が聞こえた。

上条「この声は殿町……!士道、凜袮!早くみんなのところに戻るぞ」

俺たち三人はみんなのいる場所へと走って行った。






そこにはみんなと殿町がいた。

上条「おい!どこに行ってたんだ!?」

殿町「出た出た出た!出たんだよ!」

士道「はあ?まさか『天狗牛』がか?」

殿町「お前、そんなこと言ってるとバチが当たるぞ!とにかく俺は帰る!五河と上条も早く帰れよ!」

殿町は猛スピードで帰っていった。

士道は冗談かと思っていたが、

上条「一方通行」

一方「あァ……」

二人もかなり真剣な表情になっていた。

士道「おいおい。まさか殿町の言うことを信じてるんじゃ……」

二人は答えない。その二人を見てみんなから笑顔が消えた。

一方「佐天はここにいろ」

佐天「了解です」

佐天も察したのだろう。ここに、もし何か出たら皆を守れ……と。

上条「行くぞ」

上条と一方通行は霧が深い、池の方へと降りて行った。



ーーーー
ーーー
ーー



上条「なるほどな」

一方「鳴き声の正体はコイツだったのか……」

そこには十数頭の『ワニ』がいた。

ちなみに俺たちは上条が龍の右手を出して『ワニ』達を威嚇している。

少し池を沿って歩いて行くと、

上条「久しぶりだな」

ある人物と会った。

上条「昨日ぶりかな?」





上条「狂三……」






時崎狂三がそこにいた。

狂三「久しぶりですわね。当麻さん、一方通行さん」

一方「チッ……」

狂三「出会って早々舌打ちは酷いですわ。レディの心を痛めてしまいましたわよ?」

一方「そンなことを俺が気にすると思ってンのか?」

狂三「ふふ……そうでしたわね」

横にはワニの群れがいることを忘れているんじゃないだろうな?

狂三「それよりいいんですの?ワニの何匹かは上に上がって行きましたけど……」

上条「嘘だろ!?じゃあ助けに行かないと!」

上条は龍の右手にしたまま上へと上がって行った。

狂三「せっかちな人ですわね。さあ、あなたも行きますわよ。あーくん?」

一方「テメェがその名で呼ぶな」

狂三「あら?私は結構気に入ってますのよ?」

そんなことを話しつつも、狂三と一方通行も上条の後を追った。




その後、ワニを追い払い、狂三が姿を消した。

戻ってみると琴里は気絶しているし、四糸乃は半泣きだし、凜袮はパニクっているし、大騒ぎした結果、家に戻ることになった。



気絶している琴里を〈フラクシナス〉に運び、令音の言葉を士道、上条、佐天、一方通行で聞いた。

天宮市で起きている異常はまだ分からないこと。

天宮市全域に及ぶ霊波反応は通常と比べても比較にならないほど強力だということ。

士道のやることはとにかく精霊達を安心させること。

上条達三人はその士道を全力でサポートすること。

こうして、今日はお開きになった。







家に帰って思い出した。

そういや、明日は球技祭だ。

なんでテスト前にやるのかなぁ……

と、部屋の明かりを消して、ベッドの中で考えていた。

そのまま、

夢の中へと誘われた。


ーーーー
ーーー
ーー




?「……何故……?」


またあの女の人が夢の中に出てきた。


?「あの記憶も……あの記憶も……全て残っている……?やはりリセットが不完全になってきている……」


?「〈凶禍楽園(エデン)〉の力が不安定になってきている……何故……?どうしてこんなことになってしまったの?」


?「……これでは、守れない……」


?「それだけは避けなければならない……なんとしても……!」



君は一体……



夢は、そこで途絶えた。

















































今日は、6月26日。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧