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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第七話 アメリカからの入居者その十三

「一応あちこちに道標はあるけれどね」
「それでも迷う場所なのネ」
「ここはまた特別だからね」
 だからだとまたジューンさんに話した。
「本当に気をつけてね」
「わかった、それじゃあネ」
「暫く通っても全部の場所を覚えきれないから」
「高等部でモ?」
「そう、ここでもね」
 まさにだ。
「高等部だけでも広いから」
「そうなのネ、あとネ」
 今度はジューンさんから僕に尋ねて来た。
「ここってアメリカ人も多いよネ」
「うん、世界中から人が来ていてね」
 その多くの留学生の中でもアメリカからの留学生はだ、僕はジューンさんの質問にありのまま答えた。
「アメリカからの留学生が一番多いだろうね」
「そうみたいネ」
「ただね」
「アジア系の子もいるよネ」
「うん、だからぱっと見だけではわからないことも多いよ」
「そうだネ、アジア系だとネ」
「そうなんだ、アジア系の留学生も多いね」
「ジャパニーズやチャイニーズ、あとフィリピーナもネ」
「フィリピンね」
「ワタシにもフィリピーナのフレンド多いヨ」
 こんなことも言うのだった。
「ジャパニーズ、チャイニーズの娘もネ」
「色々な人種の子と友達なんだ」
「ロスは色々な子がいるから」
 それでだというのだ。
「ワタシにも色々な友達がいるノ」
「成程、そうなんだ」
「それで陸上はアフリカ系の娘に誘われたノ」
「黒人の娘?」
「キャシーっていうノ。今も向こうのハイスクールで元気にやってるヨ」
 その人もジューンさんの友達らしい、話を聞いていてわかった。
「そうなんだ」
「あっ、今アメリカは人種の問題が深刻だって思ったネ」
「うん、実はね」
 実際にその通りだった、この話はよく聞いている。アメリカはとにかく人種問題が深刻で色々な話を伝え聞いている。  
 それで僕も今実際にそう思った、ジューンさんもそれをわかって言うのだ。
「ふと思ったけれど」
「そうだネ、それは本当だヨ」
「やっぱりそうなんだ」
「けれど人種差別もあるけれド」
 それでもと言うジューンさんだった」
「それだけじゃないヨ」
「アメリカはそうなんだ」
「そう、アメリカは人種があってもフレンドリーもあるノ」
「フレンドリーも?」
「友達、仲良くするってことヨ」
 それだというのだ。
「それもあるかラ」
「そうなんだ」
「酷い奴もいるけれどいい人もいるかラ」
 それがアメリカだというのだ、ジューンさんの祖国だと。
「そこもわかってネ」
「だからジューンさんも」
「ワタシそういうこと嫌いだかラ」
 人種差別、それがというのだ。
「人は人種じゃ決まらないヨ」
「その通りだよね」
「それはわかっているつもりだかラ」
 それでと言うジューンさんだった。 
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