| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五話 お兄ちゃんじゃないからその十

「二十面相の服ってルパンよね」
「はい、実際にルパンもです」
「タキシードにマントだったのね」
「その格好です」
「二十面相ってルパンがモデルだったの?」
「そうみたいですね」
 実際にというのだ、江戸川乱歩がルパンをモデルにしてこの二十面相というキャラクターを生み出したと言われているというのだ。
「あの人は」
「ああ、やっぱり」
「ですからルパンをする時も」
「タキシードにマントだったのね」
「そうでした、私ルパンもしたことがあります」
「成程ね」
「怪盗っていいですよね」
 演じるにはとだ、笑顔で言う千歳さんだった。
「痛快な感じで」
「そうだね、ただね」
 ここで僕はあることに気付いた、その気付いたこととは。
「二十面相って怪盗だけれどあまりものを盗んでないよね」
「そうなんです、実は」
 千歳さんもこのことを知っていた、そのうえで僕に頷いてくれた。
「ルパンもですけれど」
「二十面相は愉快犯みたいなことばかりしててね」
「ルパンも冒険とかしていたりして」
「盗みはね」
「あまりしてないですね」
「考えてみればそうなんだよね」
 ルパンに至っては探偵みたいなこともしていた、そもそも怪盗であるがどちらも無闇に人を殺すことはしない。
「あの人達って」
「紳士ですし」
「そうそう、怪盗でもね」
「あまりものを盗まなくて」
「それ以外のことばかりしてるんだよね」
「二十面相は色々変身してるけれど」
 その変装がだった、何かとおかしなものばかりで。
「宇宙人になったりカブト虫になったり」
「他にも色々ありましたね」
「そう、色々あったけれど」
 そのどれもがだった。
「どう見ても怪盗の変装じゃなかったね」
「豹人間にもなってましたよね」
「サーカスの怪人とかもあったね」
「夜光人間も」
「どれもただ世に出て世間を騒がせるだけで」
「盗んでないですよね」
「殆どね」
 考えてみれば何処にそうした愉快犯的行動を取るお金があったのかも謎だ、とはいっても小説だからどうにでもなるだろうが。
 それでもだ、僕も言うのだった。
「何で怪盗だったのかな」
「おかしな話ですよね」
「ルパンは確かに怪盗だったけれどね」
「後からその盗みもしなくなって」
「どっちも怪盗らしくないね」
「考えてみればそうですよね」
「あの」
 ここでだ、小夜子さんが言って来た。
「私思うのですが」
「小夜子さんが?」
「はい、二十面相さんは楽しんでいたのではないでしょうか」
「楽しんでいたんだ」
「そんな気がします」
 こう僕達に話してきた。
「どうも」
「人を驚かせて」
「だからああした格好で出ていたのでは」
「そうかもね、言われてみれば」
 僕は小夜子さんのその言葉に頷いて返した。
「そんな気がするよ」
「そうですよね」
「本当に愉快犯だよね」
「そうですよね」
「まああのシリーズはね」
 少年探偵団のシリーズはというと。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧