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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五話 お兄ちゃんじゃないからその五

「ですから義和様も」
「わかりました、やらせてもらいます」
「その様に、それでは」
「今日になっても」
 深夜でもだ、深夜もまた僕にとっての常になっていた。だからもうそれは受け入れることにした。
「そうさせてもらいます」
「はい、では」
「今からですか」
「いえ、今夜は別の方がです」
「来られるんですか」
「左様です、実は先程メールが入りまして」
 そうしてというのだ。
「入居されますので」
「わかりました、じゃあ今から迎える準備を」
「それはもう整っていますので」
「本当に早いですね」
「仕事は的確かつ迅速に」
 その二つだった。
「それが私の信条なので」
「流石ですね」
「お褒めに頂き何よりです」
「奥さんも来られるんですね」
「妻は私の三倍優秀です」
 何か赤い人なのかな、と思った。三倍だからだ。ただ畑中さんが既に普通の人と比べてると赤い位に優秀だけれど。
「ご期待下さい」
「奥さんのことも期待させて頂きます」
「それでは」
 こうした話をしてだ、話が一段落したその時にだ。
 屋敷のベルが鳴った、何時の間にかチャイムからそれの音になっていた。どうもその辺りも畑中さんがしてくれたみたいだ。
 それで外に出るとだ、やけに小柄な娘がいた。
 美沙さんよりも小さい、一四五あるかどうか。かなり小さいうえに童顔だった。少し丸い感じで身体つきもいささか肉付きがいい。髪は黒く長いもので綺麗にまとめている、目は大きくて口は小さい。中学生みたいな可愛らしい娘だ、服はもうだった、八条学園高等部の制服の一つの古典的なセーラー服を着ている。スカーフが綺麗なえんじ色の。
 その女の子がだ、僕を見てすぐにこう言ってきた。
「あの、大家さんですよね」
「そうだけれど」
 僕もこうその娘に答えた。
「君が、だよね」
「はい、東山千歳といいます」
「東山さんだね」
「そうです」
 必死な感じの仕草でだ、僕にこくりと頷いて答えてくれた。
「宜しくお願いします」
「うん、これからね」
「東山様のお部屋ですが」
 僕の隣に控えてくれていた畑中さんが東山さんに言う。
「既に用意してありますので」
「どのお部屋ですか?」
「104号室です」 
その部屋だというのだ。
「そちらにどうぞ」
「わかりました、それじゃあ」
「家具は既にです」
 それもというのだ。 
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