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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第六章 正義の在り処編
  第百八十一話  『謝罪と新たな情報』

 
前書き
久しぶりに更新します。

今回は少し進展かも?

ではどうぞー。 

 



Side シホ・E・S・高町



魔術事件対策課の部隊長であるミゼさんとの合同捜査の要請が実現して、さてこれからだという時にちょうどいい感じにフェイトからなにやら新たな情報を掴んだという知らせを受けて私は機動六課の隊舎へと帰っている途中だ。
しかし、こんなことなら車の資格でも取得しておくべきだったか?
魔術事件対策課と機動六課の隊舎の位置は結構離れているために今日はバスを使って向かった次第である。
私とアルトリア、ネロ、フィアとラン、レン、すずかにライダーの家にもすぐに帰れるように時間があったら運転免許の講習を受けておくのも一興かもしれない。
今まで取ろう取ろうと思っていて、しかし流していたからちょうどいいしね。
これから生まれてくる私達の子供達にも不都合な思いはさせたくないしね。
そんな事を思いながらも私はバスを利用して機動六課隊舎へと帰ってきた。
そんな時に入ってくる通信。
相手を見てみるとはやての名前が表示されている。
大方今はどこにいるのか?という感じの事だろう。
それで私はすぐに通信に出るとスクリーン映像がアンリミテッド・エアを通して表示されてはやての顔が映り出す。

『あ、シホちゃん。よかったわ、すぐに出てくれて』
「なにか急用な出来事でもあったの? フェイトから新情報が入ったと知らせを受けて、ミゼさんとも話をそこそこに切り上げてきて今は機動六課の隊舎前まで帰ってきたところよ」
『そか。ならちょうどええな。そのままブリーフィングルームまで足を運んでくれるかな? シホちゃん以外のメンバーはもう集まっとるから』
「了解したわ」
『ほんなら待ってるでー』

はやては笑みを浮かべながらも手を振って通信はそこで『ブツンッ!』と切れる。
切れた後に私の隣にネロが霊体を解いて実体化してその場に立ち、

「ふむ。はやてのあの笑み、なにやらその新情報とやらはかなりのものだったと予想はできることだな、奏者よ」
「そうね。ま、捜査が進展することは良いことだわ。いい意味でも、悪い意味でも、ね」
「うむ、確かに奏者の言う通りだな。その新情報が必ずしも好転の鍵となるとは限らない。いい情報は時にして同時に悪い情報すら運んでくる時があるからな。
まずはその情報を深く吟味し、咀嚼して理解し、その隠された裏をも読み取らなければいけない。
でなければ情報に振り回されてあたふたするのは目に見えているからな」
「ええ、そうね。でも、さすがネロね。私もそうだったけど新情報の一報にそこまで裏読みをしているなんてね。さすが皇帝の異名は揺るがないわね」
「うむ! 奏者に褒められたぞ。余はとても嬉しい!」

そう言ってネロは私に抱きついてくる。
昔からそうだったけど、やっぱりネロは過去に色々な情報を相手取ってきた一皇帝だけあって鋭い洞察力を発揮する。
これでしっかりと民の想いを理解していればどうなっていたか………、いや、ネロの過去に対して変なことを考えてはいけない。
サーヴァント全体に共通することだけど、下手したらその英霊の過去の生き方を侮辱、もしくは否定することにまで発展してしまいかねない。
だから過去については掘り下げてはいけないのだ。
マスターとしても、一人の人間としてもそこだけは触れてはならないなにかがあるのだからね。
それに、私も突っ込めるところではないし……。
私がそんな事を考えているとはつゆ知らずネロは私に擦り寄ってくる。
そんなネロの頭を優しく撫でながらも私達はブリーフィングルームまで向かうのであった。



◆◇―――――――――◇◆



そしてブリーフィングルーム前まで到着して中に入るためのボタンを押す。
扉はすぐに開いて部屋の中へと入るとまずはやてとリインの姿があった。
あちらもすぐに私とネロの入室に気付いたのだろう、

「シホさんにネロさん、お帰りなさいです」
「あ、シホちゃんにネロさん。早かったね。はやく席についてな」
「ええ、わかったわ」

はやての言葉に従い、私は空いている席を探す。
見れば他のメンツはまずなのは、オリヴィエ陛下、ヴィータのスターズの隊長、副隊長。
ライトニングのフェイトにシグナム、ランサーの隊長、副隊長。
フィアにアルトリアのセイバーズ。
………フィアに関しては妊婦さんということもあり参加はしなくてもよいのではないか?と私は思って、

「ねぇ、フィア。会議とはいえあなたは参加はしなくても……。もしお腹の子になにかあったら」
「お姉様、ご心配ありがとうございます。でもこれは私が希望したからです。戦闘には参加はできませんが、情報だけでも目に通しておけば心配の種は減りますから!」
「そう?……なら、いいけど」

そう言って私はフィアの隣が空いていたのでそこに着席する。ネロも私の隣の席に着席する。
それともう一つ、気になっていたことがある。
それは、

「ねぇ、はやて」
「なんや?」

はやては私の言葉に少し思案の表情になるが、すぐに私の言いたい事が分かったのかすぐに手をポンッ!と叩く。
ここはさすが部隊長なところはあるわね。私の言いたいことを察したのだろう。

「シホちゃんの言いたいことはなんとなくだけど分かったわ。それになのはちゃんやフェイトちゃんにも聞かれたしなー」

やっぱり……。
私が疑問に思ったのだから2人も反応するのは当然と言うべきか。

「うん。私とフェイトちゃんもはやてちゃんに聞いてみたんだよ」
「私は事情は理解していたけど、やっぱりちょっと、ね……」

なのはは当然問いただしたらしい。
フェイトに関しては事情を理解しているがゆえに、でもという思いだろう。
なので改めてはやての方に向いて私は聞いてみることにした。

「それで、はやて。聞かせてもらうけど、フォワードのみんなは今回は参加させないでよかったの?」
「やっぱり、駄目かな……?」
「ダメとは言わないけど、スカリエッティ事件を乗り越えたスバル達ならたかが新情報くらいで心は揺るがないと思うわよ。
私の予想だけど、おそらくスバルとティアナが関係しているんでしょう?」
「うっ……」

それではやては少し硬い表情になる。
次には何かを言おうとしているのだろう、口を開こうとして、しかしそこで別方向から声が聞こえてきた。

「主はやてはスバルとティアナの事を思って敢えて今回はフォワードのみんなを呼ばなかったのだ」
「シグナム……」

シグナムはそう言う。
と言うことはやっぱりスバルとティアナに関係すること。つまりリオンさん関連だろう。すぐに察することができる。
しかし、

「でもはやて。二人に伝えない事で後悔をしてしまうかもしれないわよ?」
「そうだぜ? あいつらはまだまだ未熟だ。だがな、それでも一人前の戦士だぜ?」
「ランサーの言う通りです。はやて、敢えて伝えないというのは悪手です。後悔してもいい、しかし情報は伝えておいた方がいい。それがスバルとティアナの為にもなります」

私の言葉にランサーとアルトリアが助け舟を出してくれる。
そう、もうスバル達はおんぶに抱っこの子供ではない。しっかりと自身で考えて判断できる立派な戦士だ。
だから決して聞かせてしまっても悪くはなろうとも最低な事にはならないだろう。
むしろよく考えていい方向に転換してくれるはずだ。
私達はそれをスカリエッティ事件で魅せられたのだから。
あの子達の成長とともにね。
それをはやてに言い理解してもらうと、はやても堪忍したのだろう、

「わかったわ……。そうやね、私はスバル達の為やと思って今回は呼ばなかったけど、裏返せばスバル達をまだ完全に信じきれてなかったわけやね。部隊長として部下を信じられなければ隊長失格や。今からでもスバル達を呼ぶことにしよか! リイン! さっそく頼むわ!」
「はいです、はやてちゃん!」

それでリインははやての指示ですぐにスバル達に連絡のための通信をしている。
それを見て私達はホッと息を吐くのであった。
ヴィータなんかは「さすがはやてだぜ!」みたいな満足げな表情をして、シグナムもはやてに直接言えなかったのだろう、はやての思い直しで安心の表情になっていた。
はやてもはやてで部隊長として自覚できたようでよかったわ。これでこそ部隊長の姿よね。

「よかったね、シホちゃん……」
「そうね、なのは」

なのはが小声でそう言ってきたので私もしっかりと頷いておいた。




………しばらくして、スバル達フォワード陣のみんながブリーフィングルームにやってきた。

「フォワード部隊、参りました!」

ティアナが強い声で五人を連れて挨拶してくる。
うん、ここはしっかりしているわね。

「うん、よく来てくれたんね。と、その前にみんなには謝っておきたいことがあるんよ」
『はい?』

はやてがそう言って先ほど私達に諭された事を包み隠さずにフォワード達に伝える。
はやても罪悪感があったのだろう、頭を下げていた。
そんなはやての姿にまずティアナが口を開く。

「頭を上げてください、はやて部隊長。あたし達の事を思って敢えて呼ばなかったっていうのには少し反論したいところですけど、その分部隊長の思いも知れてよかったですから」
「そうですよ! きっとリオンが関係していることは確かなことです。
でも、あたし達はそこまで弱くないです。きっと、リオンを助けますから」

ティアナとスバルはそう言って強さを遺憾なく発揮してくれた。
やっぱり強くなったわね。改めて実感できるわね。

「うん。僕達はもう弱くありません。並んで皆さんと戦いたいですから。ね、キャロ?」
「うん、エリオくん!」
「私達はまだまだ未熟ですけど足を引っ張るほど弱くはありません。必ず力になります!」
「ラン姉さんの言う通りです。だから遠慮なんてしないで全力で僕達を頼ってください!」

エリオ、キャロ、ラン、レンも負けじと声を上げる。
特にレンは良い事を言ったわ。後で褒めてあげないとね。

「うん……ほんとみんなゴメンなぁ。それと、ありがとうな」

それではやては改めて謝り、そして感謝の言葉を言うのだった。

少しして全員が着席し、スクリーンを写すために部屋の中が暗くなった。
そして映し出されるのはあの時に戦った機械兵士の残骸だった。
フェイトが立ち上がってみんなに説明を開始する。

「それじゃ、もうみんなも知っていると思うけどこの機械兵士だけど、―――コードネームはキリングドールと名付けられました」

キリングドール……殺人人形か。
確かに、殺傷兵器を軽く使ってきたのだからこの名前が妥当なところね。

「キリングドールは魔導の力で動きながらもその実それは防御にのみ使われています。ですから主武装は実大剣に銃の二パターンに今のところは限られています。
ガジェットのように後継機型も出てくるかもしれないからみんな、十分注意してね」

フェイトの言葉に私も含めて無言で頷く。

「そしてここからが本命………スバルにティアナは特に覚悟して聞いてね?」
「は、はい!」
「了解しました!」

それでフェイトはある画面に移行させる。
それはキリングドールの残骸から発見されたのだろう、映像機器。
それをフェイトは起動後の画面に移す。
再生されるとその映像機器から映像が流れ出す。

『うまく再生されているかね?』

そこからは顔を仮面で隠し、男とも女とも判断できない声で話す人物の映像が流れ出していた。

『まぁ、いいだろう。さて、では私からある提案だ。私から指定するのはスバル・ナカジマとティアナ・ランスターの二名だ』
「えっ……」
「あたし達……?」

いきなり名前を呼ばれて困惑の表情を浮かべる二人。
確かに呼ばれれば吃驚するものだ。
なにが狙いだ……?

『この二名を二日後にミッドチルダ東部の“パークロード”に寄越してこい。もちろん、この二名だけだ。
他のものがやってきたら、そうだな。遊びに来ている観客を無差別に殺していくというのはどうだろうか……?』

『なっ!?』

それで私達は思わず叫びを上げる。
こいつはなにを考えているんだ!
無差別に殺害するなんて……。狙いは最高評議会の残党ではなかったのか?

『それを起こしたくなければ二人だけで来い。友達が待っているからねぇ。ククク、ヒハハハハハハッ!』

そこで映像は途切れて映像端末も爆発してしまった。

「………これが相手の指定だよ。だから、スバルとティアナには聞かせたくなかったんだ。あまりにリスクが高い任務だからね。できれば私達で秘密裏に処理しようという考えもあったんだよ?」

そう言ってフェイトは辛そうな表情になる。
確かにこれは二人には辛い任務ね。
観客の命も掛かっているとなると大問題だ。
しかし、スバルとティアナの二人はどこか決意をしたような表情になっていて拳を握りしめていた。
これは……もしや。

「あたし、やります! 責任重大ですけど、なんとかやってみます!」
「あたしもやります。リオンが待っているというんなら、やります!」

二人は覚悟を決めたのだろう、その気持ちはもう揺らぎはないという感じだ。

「わかったわ。だけどこちらでも手は打たせてもらうで。やられっ放しなんてこちらの気が収まらないわ!」

はやても覚悟を決めたのだろう、二人に任せることにしたようだ。
手を打つ、というのは……おそらく。
まぁ、私達も出来ることをしていこう。
誰も死人は出させないわ……!
私はもちろん、私達の信念に賭けて!


 
 

 
後書き
はやての謝罪。部下を信じられなければ部隊長は勤まりません。それを自覚させました。

そして敵の非常な通告。スバルとティアナの二人はどうする?



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。

あ、Fateアニメはとてもよかったです。凛が可愛い、Zeroの名残がある、戦闘が派手と良いことづくめでしたね!かなり興奮しました。
こんなハイペースで最後までいくとなると最高ですね。
桜映画も二部作か三部作にしてしまえ! 
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