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ソードアート・オンライン ~白の剣士~

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コンバート

菊岡の依頼を受けてから数日後、俺はキリトたちと一緒にALOで狩りをしていた。なんでも、リズの素材集めらしい。

「セヤッ!!」

植物系のモンスターを倒すと周りにモンスターがいないのを見る。ポップしていないのを確認すると、もう狩り尽くしてしまったようだ。

「エリー、少し休むか?」

「うん、それじゃああの木の上に行こっか♪」

そう言ってエリーは目の前に生えている木のオブジェクトを指差す。彼処なら奇襲を防ぐことができる。 

「そうだな、あそこにするか」

「うん♪」

木の上に飛ぶと、広大なフィールドが目の前に広がる。目下にはリーファ、リズ、シリカがとある二人組を眺めていた。
その視線の先を見ると、そこにはキリトとアスナが一緒にいた。

「あの二人はいつも通りだな・・・」

「そうだね・・・」

エリーは苦笑を浮かべながら三人の少女が一組のカップルをため息混じりで眺めている光景を見つめていた。俺も目下に繰り広げられている光景を横目に考えていた。数日前に聞いた《死銃事件》について。

『本当にゲーム内の銃撃だけで人を殺せるのか?アミュスフィアには少なくとも人を殺せるだけの力はない。ならどうやって・・・』

「シオン?」

「何だ?」

「どうしたの?さっきから思い詰めた顔をして?」

「いや、ちょっと依頼を受けてな、実は・・・」

俺はエリーに今回の依頼においてのコンバートについて話した。はじめは驚いていたが、俺の顔を見て何かを察したらしく、それ以上に関しては聞かなかった。

「まあ、君のことだから止めてもいくんでしょ?」

「ああ」

エリーはため息をついて俺の手を握った。

「なら、約束して。“無事で帰ってきて”」

「ああ、そのつもりだ」

俺は改めて自分には帰る場所があるのだと自覚した───

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

俺は今現在、千代田区にある大きな都立病院に来ている。何故こんな場所に来ているのかというと、ここが菊岡が用意した施設だからである。

「ここか・・・」

俺は中に入ると、菊岡のメールに従い指定された病室まで来た。ノックをしてからドアを引くとそこには、一人の少年と、看護婦がじゃれあっている光景が目に映った。

「・・・お邪魔しましたー」

「ちょっと待て!!」

少年は俺を叫び気味で食い止める。俺はため息をつきながら振り返る。

「なにしてんだ、キリト?」

「これは安岐(あき)さんが・・・」

「やぁ!久しぶりだね、高嶺君!!」

「ええ、お久しぶりです安岐さん。それとその手をワキワキする動作をやめてください。触るなら普通にしてください」

「はいはい。うん、高嶺君はちゃんと鍛えてるねぇ、しっかりと肉がついてる」

今、俺の体をさわっているこの看護婦。俺が退院してから、というかALOでの一件が終わってからお世話になったのがこの安岐さんである。
時折このように筋肉のつき方を確認するのだが、手つきがいやらしい。

「それで、どうして安岐さんがここに?」

「あの眼鏡のお役人さんから話聞いてるよー。なんでもお役所のために仮想、ネットワーク?の調査をするんだって?それで、リハビリ中の桐ケ谷君と高嶺君の担当だった私にぜひモニターのチェックをして欲しいとか言われて、今日はシフトから外れたんだ。師長とも話ついているみたいでさ、さすが国家権力って感じだよねー。とりあえず、またしばらくよろしくね、二人とも」

「ええ、こちらこそ」

「あ、こ、こちらこそ・・・」

俺は平然と返して、キリトは少々ぎこちなく返した。
安岐さんに菊岡のことを聞いたのだか、どうやら外せない会議があるらしく、来ていないらしい。その代わり、彼からは伝言を預かっていた。

『報告書はメールでいつものアドレスに頼む。諸経費は任務終了後、報酬と併せて支払うので請求すること。追記───美人看護婦と個室で二人きりだからといって若い衝動を暴走させないように』

メモを読んだ俺とキリトは封筒ごと握りつぶし、キリトはポケットに放り込んだ。

「あー、それじゃあ早速ネットに接続しますんで・・・」

「あ、はいはい。準備できてるわよ」

案内されたところには二台のベッド、そしてモニターとアミュスフィアがあった。

「じゃあ脱いで二人とも」

「は、はい!?」

「わかりました」

キリトが戸惑うなか、俺は言われるがまま上を脱いだ。

「電極貼るから。どうせ入院中に全部見ちゃったんだから・・・」

安岐さん、なんか目が危ないですよ・・・、俺はそう思いながらベッドに横たわる。
心電図モニター用の電極を上半身の各箇所に貼られると、俺はアミュスフィアを頭に被り電源を入れた。

「えと、それじゃあ・・・行ってきます。多分、四、五時間くらい潜りっぱなしだと思いますが・・・」

「俺たちのモニタリング頼みます」

「はーい。二人のカラダはしっかり見てるから、安心して行ってらっしゃい♪」

「よ、よろしくお願いします・・・」

俺は眼を閉じると耳元でスタンバイ完了の電子音がなった。

『さて、行くか・・・!』

「「リンク・スタート!!」」

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

GGOの世界に降り立つと目の前に広がる世界はまるで鉄の世界だった。
薄く赤味を帯びた黄色に染まった空、メタリックな高層建築群、それを網目のようにつなぐ空中回廊。まさしくALOとは対称的なサイバー感溢れる世界だった。
辺りのプレイヤーは銃をぶら下げているのを見て多少気圧される。

「ここが、GGOの世界・・・」

改めて俺はここが銃の世界なのだと自覚した。さて、キリトを探そうとしたその時、後方から大きな声がした。

「な、なんじゃこりゃあああ!!!」

声のしたところを見るとそこには身長低めの“女の子らしき”プレイヤーがいた。背中まで伸びた長い黒髪、全体的に細く、透き通るような白い肌。
男からすればナンパするであろうその容姿をもったプレイヤーは自分の姿にオロオロとしていた。

「そういえば俺の容姿はどうなってるんだ?」

そう思い、俺はミラーガラスに近づき自分の姿を見た。

「これは・・・」

その姿はALOでのリュミエールになる前のアルモニーとCOS(クロスオーバーシステム)でリンクしたときの容姿ににていた。
髪は白髪だが、肩まで伸びている。目は蒼と赤のオッドアイ、体型は少し細身といった容姿に設定されていた。

「・・・・・」

俺は頭を切り替え、先程悲鳴(?)をあげたプレイヤーに声をかける。

「おい、キリト」

「ま、まさか、シオン?」

「やっぱりか・・・」

女の子らしきプレイヤーがキリトと判明した時、一人のプレイヤーが声をかけてきた。

「おおっ、お姉さん運がいいね!そのアバター、F1300番系でしょ!め~~~ったにでないんだよ、そのタイプ。どう、今ならまだ始めたばっかだろうしさぁ、アカウントごと売らない?二メガクレジット出すよ!」

『お姉さん、ねぇ・・・』

俺は慌てて胸部に両手を当てるキリトを見ながら同情の眼差しを送る。そんな中、話しかけてきたプレイヤーが俺を見て驚いた。

「お、おい兄ちゃん!そのアバターM9100番系じゃないかい!そのアバター、このお姉さんと同じくらい珍しいんだぜ!」

「そうなのか?ちなみにこいつは男なんだが」

そう言って俺はキリトを指差した。

「じゃ、じゃあ・・・それM9000番系かい!?す、すごいな、それなら兄ちゃんたち、四、いや五メガ出す!売ってくれ、ぜひ売ってくれ!!」

「悪いな、このアバターはコンバートなんだ。ちょっと金には変えられない、悪いね」

「そ、そうか・・・」

男のプレイヤーは残念そうな顔をしたが、しかし切り替えて尋ねた。

「噂じゃ、その手のレアアバターはコンバート前のアカウントを使い込んでるほど出やすいらしいんだよね。参考までに、前のアカのプレイ時間を教えてくれないかい?」

「プレイ時間・・・」

俺は頭の中でSAOのことを浮かべたが、それをいれると余裕で一万を越えるので、それは知られる負けにはいかないと思い、一年くらいだと答えた。

「うーん、そうか・・・。まぁ、気が変わったら連絡してくれ」

そう言って男は名残惜しそうに去っていった。その場に残された俺とキリトは武器屋を探すべく、町を散策することにした。
しかし、この中央都市《SBCグロッケン》は道が入り乱れており、容易に迷ってしまった。

「あの、すみません、ちょっと道を・・・」

丁度プレイヤーを発見し、声をかけると、失敗したと思った。
そこにはキリトとは明らかに違う女の子だった。水色のショートヘアー、藍色の瞳、その容姿は女の子を証拠付けるものだった。

『不味いな、ナンパに思われたかも・・・』

少女は警戒していたが以外にすぐにその警戒は溶けた。

「君たちこのゲーム初めて?どこに行くの?」

「あ、えーっと。安い武器屋と総督府ってところなんだが・・・」

「そう、わかったわ。ついてきて」

そう言ってその少女は俺たちを武器屋に案内すべく歩きだした。


ここから始まるのだ、新たな物語が───

新たな、闘いが─── 
 

 
後書き
はい!遂に来ましたGGO!!
これからどのように書くか大変ですが、頑張ります!!

コメントお待ちしております!!
ではでは~三( ゜∀゜)ノシ
 
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