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早死に

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第四章

 新太郎はカツで御飯をガツガツと食べながら仁に問うた。
「早死にの原因は」
「あのね、まずはね」
「ああ、まずは?」
「お酒だよ」
 これだというのだ。
「新太郎一日一升飲んでるんだよね」
「平均してな」
「それを毎日だよね」
「二十歳の誕生日の時からな」
 まさにその時からというのだ。
「飲んでるさ」
「そうだよね、しかも朝も」
「ああ、食欲がなくて車に乗らない日はな」
 このこともまた答える彼だった。
「飲んでるよ、ビールに生卵入れてな」
「それが朝御飯だね」
「そうだよ」
「それで煙草は」
「一日二箱な」
 それだけ、とだ。このこともまた答える新太郎だった。
「多い時は三箱な」
「それだけだね」
「親父も叔父さん達も吸ってたよ」
 その煙草を、というのだ。
「祖父さんもひい祖父さんもそうだったらしいな」
「代々喫煙派だね」
「そうだよ、親父も二箱吸ってたな」
「そうなんだね、それと好きな食べものは」
「肉だな、あと揚げものにバターやチーズをたっぷり使ったものだな」
「お野菜や果物は?」
「ああ、どっちも大嫌いだよ」
「好きなお野菜とかはないのかな」
「全然ないな、果物もな」
 どちらもだというのだ。
「本当にな、茸とか海草もな」
「全然なんだ」
「卵は好きだぜ」
「お豆腐とか納豆は?」
「ああ、食わない食わない」
 そちらもだというのだ。
「全然な」
「お肉と御飯だけ?」
「まあそうだな」
「お菓子好きだよね」
「酒飲むけれどな」
 それでもだというのだ。
「甘いものも好きだぜ」
「それで朝からコーラも」
「炭酸飲料も好きだよ」
 このことも笑って言う彼だった。
「そういえば魚とかも食わないな」
「お肉と御飯だけなんだ」
「そうだな、回転寿司行っても魚系食わないな」
「うん、よくわかったよ」
 ここまで聞いてだ、仁は確信して新太郎に言った。
「それが代々だよね」
「ああ、親父達皆肉ばっかりで野菜とか果物には目もくれなかったな」
「甘いもの好きで」
「それもな」
「お魚とかお豆腐とか食べなくて」
「全員な」
「それじゃあ当然だよ」
 苦い顔になってだ、仁は箸で鯖を食べつつ新太郎に答えた。
「早死になのも」
「当然か?」
「あの、毎日お酒飲んでヘビースモーカーでお肉とか脂っこいものしか食べないって」
「駄目か」
「駄目だよ、それじゃあ本当にね」
「早死にもか」
「当たり前だよ、というか新太郎も」
 彼自身もというのだ。
「そんな生活してたらね」
「早死にするか」
「うん、するよ」
 確実に、と言う仁だった。
「五十までにね」
「そうなのか」
「お酒は控えて。煙草も」
 そうして、というのだ。
「お肉だけじゃなくてお野菜とか果物も食べて」
「魚とか大豆系もか」
「そう、根本から変えないと」
 それこそ、というのである。 
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