八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四話 三人目の人はその七
「だから悪く思わないでね」
「はい、わかっています」
「ならいいいよ。とにかくね」
僕はこう言ってだった、そのうえで。
「本当に」
「わかっていますので」
「それならね」
僕は小夜子さんの返事に安心してそのうえでまた言った。
「そういうことでね」
「ええ。それで」
「それで、ですね」
「この学校のことで何かあれば」
「その時はですね」
「何でも僕に聞いてね」
こう小夜子さんに言った。
「言い忘れていたけれど」
「はい、それでは」
「そうしてね、何時でもいいから」
「ではお昼に」
「お昼に?」
「お弁当は貰ってますので」
シェフの人が作ってくれたものだ、僕も詩織さんも貰っている。これがいつもびっくりする位豪華で量もかなりのものだ。
「そのお弁当を食べながら」
「そうしてだね」
「色々とお聞かせ下さい」
「それじゃあその時にね」
「はい」
こうしてだった、僕は。
お昼に小夜子さんが学校について色々知りたいことを尋ねてきたのを答えた、何しろこの学校には保育園から通っている、しかもこの学園の経営一族の端くれだ。それこそ裏方のことまで知っている。流石に裏方のことは言わなかったけれど。
お弁当を食べながらだ、僕は話していった。けれど。
時間を見てだ、一緒にいて話を聞いていた詩織さんが言って来た。
「あの」
「あっ、もうなんだ」
「はい、もうそろそろ」
「五限目だよね」
「ですから」
「そうだね。じゃあ小夜子さん」
僕は小夜子さんに答えた。
「後はアパートで」
「わかりました」
「夕食の時でもね」
「お願いします」
小夜子さんもこう答えてくれた、そしてだった。
僕は八条荘に帰っても小夜子さんに学校のことを色々と話した、とにかく巨大な学園なので話すことは多かった。
その話があらかた終わったところでだ、急にだった。
家のチャイムが鳴った、すると。
畑中さんが来てだ、僕にこう言って来た。
「来られましたね」
「えっ、来られましたって」
「新しい入居者の方がです」
その二十数人いる人達のうちの、というのだ。
「来られました」
「じゃあ三人目の」
「そうなります」
「そうですが。ですが」
今度は僕が時計をチェックした、壁の鳩時計を見ると。
十一時を回っている、真夜中と言っていい時間だ。
その時間をチェックしてからだ、僕は畑中さんに言った。
「今十一時ですよ」
「正確には十一時三分ですね」
「こんな時間にですか」
「はい、来られました」
今回も実にあっさりと答えてくれる。
「おそらくは」
「そうですか」
ここで僕は詩織さんと小夜子さんを見て言った。
「それじゃあ」
「それじゃあですか」
「お迎えしましょう」
「わかりました、何か釈然としないですけれど」
こんな時間に人が来ることがだ、詩織さんと小夜子さんもだったけど。
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