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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四話 三人目の人はその五

「私は」
「いいから、いるだけでもね」
「時々練習に来てくれるだけでもいいのよ」
「それはね、茶道部とかはお家のお仕事だけれど」
「それでもね」
「在籍だけでもね」
「ああ、もういいじゃないかな」
 ここでだ、僕はだった。
 彼女達にだ、こう言ったのだった。
「もうね」
「あっ、大家さん」
「大家さんじゃない」
「何、その仇名」
 僕は女の子達が大家さんと呼んだので思わずこう返した。
「大家って」
「だって小林さんのアパートの大家さんじゃない」
「だから大家さんよ」
「ヨシじゃないんだ」
 これまでの僕の仇名でなかったので言い返した。
「そっちじゃ」
「まあね、何となくね」
「これでいこうかなって思ってるけれど」
「別にいいわよね」
「私達が決めたし」
「いや、君達が決めたって」
 勝手な、と思い僕はまた言い返した。
「それはちょっと」
「けれど実際その通りでしょ」
「大家さんじゃない」
「別に悪口でもないし」
「馬鹿にもしてないわよ」
 女の子達もこのことは保障してきた。
「間違ってもそいいうのはないから」
「八条君嫌いじゃないし」
「そう、性格いいしね」
「成績もそれなりだし」
「ルックスも」
 何か結構いいことを言われている、少なくとも僕が女の子達から嫌われていないことはわかって内心ほとしたものがあった。
 けれどだ、それでも言う僕だった。
「それでも大家さんなんだ」
「これからそう呼ぶから」
「宜しくね」
「拒否権ないんだ」
「そのうち別の仇名になるかも知れないけれどね」
「今はね」
「こう呼ばせてもらうから」
 女の子達のペースで言われ続ける、そしてだった。
 女の子達はまただった、小夜子さんに言うのだった。
「それでバスケ部だけれど」
「やっぱり駄目?」
「入部は」
「してくれないの」
「すいません」
 小夜子さんの返事は変わらなかった。
「既に四つの部活に入ることが決まっていますので」
「それ以上はなのね」
「どうしても」
「はい」
 そうだとだ、女の子達に答える小夜子さんだった。
「申し訳ありません」
「いえ、別にいいけれど」
「そこまで言うのならね」
「まあ四つも部活掛け持ちしてたら」
「流石に無理よね」
 ある程度以上言って駄目でもだった、女の子達も引き下がった。
 そしてだ、こう言うのだった。
「じゃあいいわ」
「何時でも待ってるからね」
「はいりたくなったら何時でも来て」
「部室の扉は何時でも開いてるから」
 何か総理大臣みたいなことを言う人もいた、そして。
 そうしてだった、皆それ以上は言わなかった。それでだった。 
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