八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四話 三人目の人はその一
第四話 三人目の人は
僕は小夜子さんを連れて詩織さんも一緒にだった、畑中さんを入れて四人でアパートの食堂で朝食を食べた。今朝のメニューはというと。
「白い御飯にですね」
「はい、それにです」
畑中さんが僕に答えてくれた。
「メザシにエリンギと舞茸のお味噌汁にです」
「お漬物とですね」
「納豆です」
この組み合わせだった。
「今回は和食です」
「そうですね、そういえば和食も出るって聞いてました」
「如何でしょうか」
その和食の朝食の感想もだ、畑中さんは僕に聞いてきた。
「ええ、とても」
はっきりとだ、僕は畑中さんに感想を述べた。
「美味しいです」
「それは何よりです」
「特に御飯がいいですね」
それが一番美味しかった、主食のそれが。
「これが」
「そうですね、このお米はです」
「何処のお米ですか?」
「秋田小町です」
「あれですか」
「しかも秋田で採れた」
それだというのだ。
「しかもシェフがその腕によりをかけて炊きましたので」
「だからこの味ですか」
「そうです」
「普通に食べる御飯よりずっと美味しいです」
「最高の素材を最高の技術と最高の器具で調理しているのです」
それならというのだ。
「味が素晴らしいのも道理です」
「どれも最高だからですね」
「左様です、朝に美味しいものを食べてこそ」
「それからですね」
「心地よい一日をはじめられます」
「だから今朝もですね」
「美味しい食事を召し上がられ」
そのうえで、というのだ。
「一日を励まれて下さい」
「わかりました」
僕は畑中さんに頷いて答えた、そして。
ここで詩織さんと小夜子さんを見た。詩織さんはいつも通り普通に食べている。そして小夜子さんはというと。
凄く姿勢よく食べていた、背筋を伸ばして。しかも。
箸の動きがとても綺麗だった、その綺麗さがだ。
凄かった、それで僕は思わずその小夜子さんに言った。
「あの」
「はい」
「小夜子さんはお茶やお花の家でしたよね」
「そうです」
「だからですか」
そのせいでと言うのだった。
「姿勢が凄くいいです、それに」
「それに、ですか」
「お箸の使い方も」
それもだった。
「丁寧ですよ」
「お嬢様なんですね」
詩織さんも驚きを隠せずに言う。
「小夜子さんって」
「いえ、これは」
ここでも謙遜して怯えている様に言う小夜子さんだった。
「ただお父様とお母様が」
「お二人がですか」
「躾けて頂いたので」
「それでなんですか」
「身に着けているだけで」
それで、というのだ。
「何でもないかと」
「いえ、何でもありますよ」
僕は小夜子さんに驚きを隠せない声で答えた。
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